宴もたけなわ
「タンドリーチキンです」
俺とアメノサさんがそんな事になった後も、当然の様に宴会コースは進み。
恐らくは鳥のもも肉をスパイシーに焼き上げたであろうタンドリーチキンが登場。
これ多分あれだな、唐揚げの代わりだな。
味が濃いからお酒も進むだろうし、鶏肉に揉み込まれたスパイスにはターメリックとかのアルコールの分解を助ける作用があるものたちが使われてる。
そう考えると、唐揚げよりもツマミとして完成されているのでは?
「これにはビールじゃな」
「だな」
で、そんなタンドリーチキンを見て、飲兵衛sはビールへ舞い戻り。
エルフ達は、
「赤だな」
「ですわね」
と、赤ワインに戻る。
ちなみに俺とアメノサさんは……
「コーラにしよ」
「私は黒烏龍茶」
当たり前にソフトドリンクですわよ。
俺が酔い潰れるわけにもいくまい。
「むほほほ! 肉はしっとりジューシィ、口の中ではスパイスたちが跳ねまわるわい」
「そこに流し込むビールの美味さったらねぇな!!」
タンドリーチキン一口齧ってジョッキ丸々飲み干すじゃん。
すげぇな、改めて、この人ら。
「強いスパイス感が赤と合いますわね」
「肉自体の味わいは白だろうが、スパイスを考えるとどうしても赤になるな」
「合っているから構わん」
エルフを見習いなよ。
グラスに注いだワインを優雅に飲んでるんだから。
……居酒屋でする事か? と言われたら正直反応に困るけれども。
「……ちと遅いか?」
で、ですよ。
まぁ、この席だけで……というか、飲兵衛二人で酒を軽く二十は頼んだあたりでですね……。
その……提供までの時間がちょっと長くなってきまして。
まぁ、しょうがないよね。
お店も商売なわけだし。
「忙しい時間帯になったんでしょうね」
お店の思惑とか教えたらどんなことするか分からんし、適当にはぐらかしとこう。
別にお酒が来ないって訳じゃないし。
「なるほどな」
「ではしょうがないですわね」
……エルフ二人は気付いてそうだけども。
俺の言葉にすぐに同調してくれたおかげで、飲兵衛二人は納得した様子でした。
――気付いていないエルフ?
ほら、今丁度そこで、
「なぁ、カケル。本日のデザートは何だと思う?」
最後に出てくるデザートに思いを馳せている方ですね。
まだもう少しだけコースは続きますよ?
「季節のフルーツって書いてありますし、冷やしたパイナップルとかですかね?」
「なるほど! 冷やし果実か!」
まぁ、分かんないけど。
夏だしスイカとか? とも思ったけど、お酒とスイカって食べ合わせが悪いみたいな話あるんじゃなかったっけ?
だとしたら居酒屋で出てこないかなぁとか思ったり。
「お待たせしました。生中お代わりと鮎の姿揚げです」
で、ようやく届いた飲兵衛sのお酒と共に、コース料理の一品が。
ほぉ、鮎の姿揚げですか。
頭と尻尾には衣が付いて無く、腹の所だけ衣がまぶして揚げてある。
……この形状の鮎の天ぷらを見ると、どうしても言わなきゃいけない台詞があるよな……。
「なんちゅうもんを食わせてくれたんや……なんちゅうもんを」
はい、翻訳魔法さん、正解!
っぱ鮎に天ぷらとくればその台詞よ。
あ、その先の言葉は言わなくていいよ。
何かを評価するために別の何かの評価を落とすのは良く無いからね。
「身はふっくら甘く、軽い衣の食感と合わさり最高だ……」
「ふわりと鼻に抜ける香りも味わい深いですわ」
「何も付けずにそのままが美味いな」
「これには焼酎だったか……」
「日本酒も良さそうだぜ、とっつぁん」
「ほいひい」
と、鮎の天ぷら大絶賛ですわね。
まぁ、家じゃあ作らないしなぁ。
そもそも天ぷらが苦手だし、鮎をわざわざ買わないからなぁ……。
たまに渓流とかにリフレッシュに行った時に、小屋とかで売られてる塩焼きを食べる程度。
鮎じゃなくて圧倒的にニジマスが多いんだけどね。
「失礼します。この後〆とデザートと続きまして、アルコール類のお飲み物ラストオーダーとなりますがいかがしましょう?」
「『異世界への誘い』って焼酎のロックを一つ」
「『八階堂』の水割りじゃな」
「ワインの白を三つ」
「ファジーネーブルのノンアルコールを」
「私もそれと同じやつ」
という事でコース料理は以上との事。
後はこれからのお酒と、〆の一品をいただいて、本日のフルーツですって。
俺は結構満足してるけど、普段の食べてる量からすると異世界組は物足りなかっただろうな……。
「のぅ、カケル」
「どうしました?」
「カケルの家に戻って、元の場所に戻る前に……」
「前に?」
「カップ麺、食わせてくれんか?」
「構いませんよ。やっぱり足りませんよね」
「まぁ、酒を要求したのは俺らだからな。そこに文句はねぇンだが……」
「どうしても物足りませんわよね」
「私はいらない」
やっぱり。
まぁ、カップ麺くらいなら許容かな。
人数分くらいはあるやろ。
……アメノサさんはいらないみたいだし。
「〆のざるラーメンになります」
「……」
「……」
「……」
「……」
〆でもラーメン出てきたけど? みたいな顔で見られましても……。
コースの構成考えてるのはお店ですし……。
……はぁ、カップ焼きそばにしましょ。家に帰ってからみんなに食べさせるの。
「デザートのパイナップルです」
で、デザートは俺の読み通りパイナップルでしたわ。
キンッキンに冷えてて、噛むとジュワッと蜜が溢れる極上の代物。
まぁ、一人の反応は言わずもがなだよね。
文字通り飛びあがってました、とだけ。




