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その話題は禁忌

「海鮮とキムチの相性っていいんですね」

「肉とキムチ、チーズとキムチ、なんでも合う」

「酒にも合うし米にも合うぞい」

「ソースにだって合っているわけだしな」

「マヨキムチはまだ規制されていないだけで、近い内に規制が入ると噂だ」


 どこからの噂だそれは。

 そっちの世界での話か?


「確かに……。この旨辛い味わいは一度味わうと癖になります」

「真に受けない方がいいですわよ?」

「そうじゃぞ。それに、規制が入るならマヨキムチよりも酒の方じゃわい」

「そっちも規制は入りませんよ」


 多分。

 まぁ、酒類に規制をかけたらどうなるかって言うのは、アメリカが証明してくれてるからね。

 禁酒法……異世界でやったら、確実にドワーフ達の反逆に合うんだろうな。

 何なら、ワインですらアウトだろうからエルフ達も反旗を翻す。

 まともな考えをしてたら、そんな悪法、設定しないわな。


(もしその法が施行されようとするならば、わしが顕現して懲らしめねばならんくなる)


 そういやそうか。

 この異世界の神様、ワイン大好き神様だった。

 そんな神様からワインを取り上げようとするとなると、文字通りの神罰が下るのでは?


「ところで、気になっているのですが……」

「どうした?」

「この、『もんじゃ』というのはどう言った料理なのでしょう?」


 ――来たわね。

 いやまぁ別に、隠してるわけでもないんだけれども。

 とりあえず、ラベンドラさんを手招き。

 そして、スマホでもんじゃ焼きの作り方の動画を見せてっと。


「この後、もんじゃを目の前で作って貰います。その後再現出来ます?」

「任せろ」


 はい、というわけで、まずは鉄板の掃除から。

 ソースやチーズの焦げはヘラでこそいで隅に寄せますわぞー。

 んで、


「もんじゃは結構スペース取るので、とりあえず二人前にしときましょう」

「「はーい」」


 最初はいいんだけどね。

 土手を崩してから、どこまでが誰のもんじゃか分からなくなるだろうから。

 それに、もんじゃは薄く広げてパリサクとした食感があった方が美味しいと思うし。


「どのもんじゃにするかは俺が決めても?」

「うむ。食べた事の無い食べ物だ。カケルに任せる」

「あなた方も食べた事無い?」

「無い」

「ないですわね」

「無いのぅ」


 いやぁ、家でもんじゃ焼きは流石にやったことが無い家庭の方が一般的じゃないかなぁ?

 分かんない。世の中にはもんじゃ愛好家が存在して、週に一度はもんじゃをしてる、とかあり得ないとは言い切れないのが日本という国だし……。

 まぁ、とりあえず、


「明太餅チーズもんじゃと、スナックラーメンもんじゃにするか」


 俺の思う、ザもんじゃ、な二品を注文。

 追加で、店員さんに焼いて貰うオプションを設定しまして。


「この人がもんじゃ焼きに興味があるそうなんで、軽く説明しながら焼いて貰えます?」


 もんじゃを持って来て、焼く体勢に入った店員さんにそう告げる。

 もちろん、この人とはラベンドラさんの事。


「任せてください」


 最初はラベンドラさんの方を見て、日本語分かるのかな? と考えてるようだったけど、ラベンドラさんの無言のサムズアップに笑顔で答えてくれた。

 そして、


「しっかり混ぜ合わせて、具材だけをまずは鉄板に落とします。そうしたら、具材をドーナツ状に広げて土手を作り、具材に火が通ったら生地を中央に流し入れ、具材としっかり混ぜ合わせます。薄く延ばして、生地が半透明になったところは火が通っているので、ヘラでそのまま食べてください」


 と、流れるようにもんじゃを作ってくれた。

 ちなみに今のはスナックラーメンもんじゃの方。

 続いて明太餅チーズもんじゃ。

 同じく具材を広げ土手を作り、火が通ったら生地を入れて……。

 混ぜ合わせる時に、明太子の皮を切断するように、ヘラを立てて混ぜ合わせる。

 そうしてしっかりほぐした明太子が、生地全体に広がり、見事なもんじゃ焼きの完成。

 というわけで実食タイム。


「んーこれこれ」


 生地に入っているソースの味、チーズのコク、焦げから来る香ばしさ。

 明太子のピリッと来る辛みと、魚介の旨味、ソースとはまた違う魚卵由来の塩味。

 美味いなぁ。いくらでも入る、もんじゃ焼き。

 ……なお、粉物なので普通に腹にたまるもよう。

 なので俺は、異世界組が食べてるのを横からチョイチョイ摘まむ程度でいいかな。

 美味しいんだけどね。


「見た目からは想像出来ない味ですわね」

「作る過程を見てなかったら俺は魔物のとs――」

「黙れ」

「……カケル?」


 今、何を言おうとしていた?

 一つ、現代日本の常識を教えてやろう。

 もんじゃ食べてる時に、絶対に話題にしてはいけない物がある。

 

「この食べ物を何かに例えることは、この世界の法律が禁止しています」

「なんだと……」

「もしその法を犯してしまったら……?」

「市中引きずりまわしの上、獄門打ち首切腹な上に三代祟られます」

「ひっ!」

「……この食べ物はもんじゃ。何かに例えることはしない」

「それでいいんです」


 そもそも食事中に下品なというか、汚い話題を出すもんじゃないのよ。

 全く。


「これに入っている具材はなんでしょう?」

「ラメーンの麺だな。乾燥させ、湯を入れるだけでラメーンになる便利な麺だ」

「……非常食に良さそうですね。あるいは軍の携帯食にも……」


 ちょっと違うけどね、インスタントの麺じゃないよ、使ってるの。

 駄菓子の方。

 あと、この国でも非常食用にインスタントラーメンは備蓄されてるよ。

 しかも割と凄い数。日本だけじゃなく、海外とかでの災害時にも放出されるみたいね。


「次、カルボナーラもんじゃが気になるのですが」

「頼もう。私も作ってみたい」

「旨辛もんじゃが気になるぞい!」

「海鮮もんじゃ!!」


 ……しばらくは色んなもんじゃが食べられそうだな。

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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます∠(`・ω・´) 翔君渾身の言わせねえよ( ゜д゜ )クワッ!! 神様も聞いてるだよね(;´∀`)真に受けて異世界で再現されたもんじゃ焼きをみて禁句を言った人に神罰下しそう
駅雑炊ですね。わかります なお、温める前のMREも…
地獄の拷問めいた灼熱の鉄板に店員が優雅な手つきで生地をぶちまける。そして書道めいて具材をまとめ茶道めいた動作で混ぜ合わせる。ワビサビである。この時一言でも声を発すれば礼儀知らずとしてムラハチとなる。や…
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