あったなぁ
『かんぱーい!!』
とりあえずはね。
焼けるまで飲み物で喉を潤しましょうや。
ツマミの鉄板焼き出来る物も頼めばよかったな。
「……ほぅ」
ソクサルムさん、ハイボールを一口飲んで驚いた様子。
美味しかったのかな?
「飲みやすいわりに香りがしっかりと味わえますね」
「美味いじゃろ?」
「とても」
良かった、気に入って貰えたみたいだ。
「……で、これはどのようにして食べる物なのでしょう?」
「まず満遍なく混ぜる。そうしたら鉄板に落とし、しっかり焼いてひっくり返す。両面焼けたら完成だ」
「なるほど……」
「豚肉入りを頼んだ方は先に肉だけ焼いてください。火の通りが違うので」
俺とラベンドラさんで全員のお好み焼きを管理しつつ、全員の焼く邪魔にならないように……。
ちなみにマジャリスさんとリリウムさんは、最初っからラベンドラさんに焼くのを丸投げなもよう。
「どれだけ食べても定額なのですよね?」
「ですね」
「どころか酒も、どれだけ飲んでも定額じゃぞ?」
「……潰れないのですか?」
なんか、四人からもそんな質問された気がするなぁ。
「基本的には客側が得することは無いです。じゃないとすぐにお店が潰れちゃうので」
「……なるほど」
メニュー表に乗ってる値段で計算して元を取った、と喜んでも、原価で見たら全然なんて事は当たり前だしなぁ。
なんというか、食べ放題って、元を取るどうこうより、値段を気にせず好きなだけ好きな物を食べられる権利、みたいなもんだからな。
下手に元を取ろうと考えるより、楽しんだ方が絶対に美味しく食べられるのよな。
「ただ、他の店でもわしらが言ったが、わしらの世界ではこのシステムは無理じゃろうな」
「でしょうね……」
それには同意。
大体、酒はミネラルウォーターレベルでグビグビ行く種族がいる時点で無理ぞ。
そもそも、現代でも日本以外ではそうそう見かけないというのに。
特に飲み放題なんかはさ。
「そろそろひっくり返すぞ」
というラベンドラさんの言葉の後、目にもとまらぬ速さで全てのお好み焼きがひっくり返される。
――な訳ないでしょ。明らかに魔法でひっくり返してからに。
「……なるほど」
ソクサルムさん? 何がなるほどなのでしょう?
「目の前で調理が行われるとお腹が空きますね」
「じゃな」
「焼き上がるまでの時間が空腹に良く無いですわ~」
「デザートにパンケーキ……は無いか。フルーツゼリーとシューアイス……うぅむ……」
なんか早速デザート食べようとしてるエルフ居ない?
ダメとは言わないけど空気は読もうね?
今それを頼む空気かな?
「む? アイスクリームバーもあるのか!? ちょっと行ってくる!」
もうじき焼けますけど。
まぁ、いいや。
「そろそろ頃合いだな」
という事で、もう少しで焼き上がりのタイミングでやる事と言えば?
そうだね、ソースやマヨネーズをかける事だね。
てなわけで俺とラベンドラさんで各お好み焼きにソースとマヨネーズを遠慮なくかける。
すると当然、鉄板で焼かれてそれはそれはいい匂いが漂うというもので。
「ぐ~~」
誰かのお腹から、我慢の限界を示す音が。
まぁ、発生源はガブロさんなんですけど。
顔を赤らめるな。
「鰹節や青のりは?」
「お任せします」
ラベンドラさんがソクサルムさんに尋ね、全員に鰹節と青のり。
俺はそこに紅しょうがをのせて……。
ラベンドラさんが鉄板上に生卵を割り入れ。
片面だけ焼いて、それをソクサルムさんのお好み焼きの上へ。
そっか、月見チーズ玉だっけか。
「おぉ! 焼けているな!!」
で、どこかへ行っていたマジャリスさんも帰還。
――手に持ってるのはまさか……。
「メロンソーダにソフトクリームを入れてきた! コースについているようだったからな!!」
やりおる。
ともあれ、焼き上がって全員そろいましたわよ。
となればやることは一つ。
皆さん、手を合わせてください。
「いただきます」
『いただきます!』
*
「海老はプリプリ、イカは柔らか。海鮮とタレやマヨネーズの相性も良く最高だ」
「あら、チーズだってソースやマヨネーズとの相性は負けていませんわよ?」
「結局肉が一番じゃろ、肉が」
「豚キムチの旨辛さがタレやマヨネーズと調和して最高だぞ!」
「……美味いですね」
それぞれいい反応をありがとうございます。
ソクサルムさんはなんと言うか、味わうというか、分析してるみたいな食べ方してるみたいですけども。
「これ、ソースは秘伝の物なのでしょうか?」
「まぁ、秘伝っちゃ秘伝……ですかねぇ」
卓上にはちゃーんと馴染み深い能の面のマークのソースがあるわけですけれども。
じゃあそれを作れるか? と言われたらノーなわけで。
秘伝でいいんじゃないかな。
「近いものならばレシピがあるぞ?」
「戻ったらいただきましょう」
「あら、剛権ですこと」
「大方、次の会食の時にでも振舞うのだろう」
お好み焼きを?
会食で?
なんと言うか、場違いじゃない?
お好み焼きはもっとこう、仲良くというか、ワイワイ言いながらやるものでは?
大体、鉄板で焼ける音が響く中で会食とか出来んでしょ。
知らんけど。
「あっという間に食べてしまった」
「次だ次!」
なんて言ってる間に、完食してるんだよなぁ、この人ら。
複数の味を楽しむために、普段よりも小さいサイズで提供されるとはいえだよ?
俺まだ半分くらい残ってるんですけど。
あと、ソクサルムさんもしっかり完食してたから、この人も食べる側なのかな?
「この焼酎ハイというのは?」
「美味いぞ? 頼め」
「どうせ飲んでも飲まなくても定額なのですから、飲まない方が損ですわよ?」
「確かに……。では頼んでみましょう……」
勧められるままに頼んでるけど、大丈夫かな……。




