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27 北方エドガード森林国

目と言うのは力を持つ。

彼らの強い想いを写した

憧れ・信念・思想そして怨み。


それは暖かな陽射しの様に、

又は強い北風の様な厳しさを見せ

ゾッとする程の雨風だったりする。


強くなればその目は意志を宿し

目を見ればその人となりがわかると言う。

大陸の遥か北方には嘘か誠か

見ただけで現実に干渉するような

魔術の伝承があり

色々な御伽話の逸話にも度々登場する。



目の前の青年は自分より年上で、

中年と呼ぶには若く

30代では無いだろうと思える。


若干病的にコケた頬に加えて

色白を通り越して青緑?

危ない薬の常習者の様で

目だけが爛爛と見開かれた様は

ヤバさ全開である。


その顔はとても整った顔をしており

表情を除けば高貴さも持ち合わせた不思議な

雰囲気を持っている。

街を歩けば出会う娘に放っては

置かれない程だろう。


青年は自分の前に正座して

1秒たりとも目を逸らす事なく

僕の目を見つめ瞬きもしていない。


コワイ


「そ、それでアルナさんとは何処かでお会いしたことがあるんですか?」


嬉しさと共に少しだけ哀愁を帯びた

表情を作ると、落ち着いた美しい声色で彼は

僕に語りかける。

『御方様、どうぞ下僕かアルナと呼び捨てに…』


「いやいや(汗)呼び捨てとかはちょっと…」

しゅんとする美丈夫。

「それよりも、どうやって僕らの所まで来たのかな?ここは見ての通りブリザードが数週間続くような厳しい山脈の途中だよ?」


実際周囲の街や村からは遠く険しい。

この季節早くから雪が降り始め、

一帯は最も遅くまで雪と氷に閉ざされる。

何人も寄せ付けない様な難所として知られるのだ。


『聖国をふらついておった時にです、

呼ばれたのです!御方様のお声で!

あとは匂いを辿って参りました!!』


イケメンのお兄さんが焦点の定まらない

ギラつく目をして悶えている。


アディとフランはブチ切れつつも、

若干引き気味である。


スミスは逆さまにはめた頭を傾げて

「はて?」

とか言ってるし。



ーーーーーーーーーーー


アルナと呼ばれる青年は僕の手を取り

自分の事を幻獣神の一柱 

蟒のアルナ・グランマール・ニーズヘッグ

と名乗る。


滑らかな所作でひざまづくと、

あっと思う間に手の甲に口付けをして

うっとりするアルナ


ブチ切れる女子2名


古代語が脳内に猛烈に流れ込んで来て

クラクラしたが、気を失う程じゃなかった。


『あなた封印はどうしたの?』

どうにか笑顔を貼り付けた、

とても整った美人のお姉さんが

滲み出る不機嫌を上手く隠す。

『…』

アルナは何も聞こえませーん

と言う具合に完全シカトである。


『ピキッ』

フランのこめかみにははっきりと青筋が

「ア、アルナ?」

『ハイ!御方様!』


身長がかなり高いアルナは

目をキラキラさせてこっちを覗き込む


「フランが話してるよ?」

『ふ、アバズレ系モブの話など聞かなくて良いのです御方様。NPCの定型文にわざわざ付き合うとかナシ寄りのナッシングです』

路傍の石を見る様な冷め切った目で

フランを見るアルナ。

ブチ切れ寸前のフラン

『だ、だれがモブですって!』


ボッ


アルナの脇を掠める白い拳

『チッ!』

アディは当たらなかった事にイラついた目で

『ナンデ避けるんじゃぁ?』

『呪イコロスゾ?』

縦に割れた瞳孔で睨み返すアルナ

「こ、こらー(汗)」

力無く注意する僕

コワイ


みんなが落ち着いた所で

アルナが持ってきてくれた物資により

なんとか生き延びれそうだと分かった僕らは

ほっと胸を撫で下ろした。


それまで恐ろしく吹き荒れた天候が

翌々日の明け方にかけて嘘の様に晴れる。

そのブリザードの切れ目を狙って、

ミラージュ大氷河を抜けエドガード森林へ到達した。


ーーーーーーーーーーーー


雪がまだ降り続け、

エドガード領に入っても厳しい事に変わりはないが、幸いアルナが持ち込んでくれた物資はこのまま旅を続けるに十分な量であった。


聳え立つ霊峰オロムから北へ伸びる山脈に

西から流れ込んでくる大量の湿気を含む

風を受け麓に雪と氷をもたらす。


エドガードはミラージュ大氷河の北方山脈を隔てて西側に広がる森林地帯だ。

遥か後方どんよりと黒い冬曇りの切れ間

向こう側に霊峰オロムが霞んで見えている。

そして目指す北側の奥地にはエルフ族の収める自治領がある。


エドガード南方にはカーラ聖国があり、

カーラを経由する安全なルートもあるが、

とにかく通行料が高すぎるのだ。


それに加えて物価がおそろしく高く、

聖国の教義に触れると言う

幻獣の立ち入りを厳しく取り締まっている。


幻獣や魔物・動物から一部の種族を

聖国の法では良しとされず

差別的で選民意識が高く、

正直気持ちのいい物ではない。


中でも獣人族やエルフには

厳しく苛烈だと聞くが、

奴隷としては受け入れている

と言うのだからそれだけ闇も深いそうだ。


いくつかあるルートの中でも危険だが、

ミラージュ大氷河経由で北方を貫く

ソーシ街道ルートは一般的なのだ。


エドガードの奥にあるとされる神殿遺跡に

フランの本体が封印されている。

確かエドガード自治領の奥には

大森林国エドガードを収める、

ライドファールと言う

長命なエルフがいるはずだ。

森林国でしか入手できない貴重な植物や

鉱石があり一定の通商がある。


彼らは神に祝福されたかの如く

皆美しい容姿を持ちながら生まれ

その美貌が故の長い搾取の歴史を持つ為か、

保守的で排他的な種族と聞く。


人族・魔族・亜人種や魔物などから

エルフは狙われてきた。

とりわけ人族からの搾取は

目を覆いたくなる様な歴史を持つ。

奥地の森は彼らの聖域でもあり、

容易に近づけない理由である。


リム王国からはソーシ麦の輸出があり

街灯などに使われるエドガード産の

発光鉱石も大量の流通がある。


しかしエドガードと対外国とは

一部の決まった商人や人物しか交流がなく、

それも秘匿されている。


エルフ族の領内に入るには

歴史が作った大きな壁があり

近づくのは容易ではないだろう。


『ヒキコモリ系の長寿種など関わる必要はありません、コミュ障の癖にプライドだけ高く臆病な種族です、下手に出るとつけあがるだけのメンドイヤツらです』

「酷い言われようだね(汗)」

『同感じゃな、可愛くないヤツらばっかりじゃ」

アルナの身長は高いため

無表情な冷たい視線でアディを見下ろす。


『‥ なんじゃ‥』

無表情のまま

それ以上何も言う事なくアルナは

視線を外し森の奥を少しだけ見つめた後

僕の方に寄ってきた。


少し後ろではフランが少しの間アディを

そっと見つめた後

僕の右側の腕を取り絡みついてきた。

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