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第48話 勇者パーティの事

「……!」


「……」


 俺がティルム達と話をしている間も、勇者パーティの話が聞きたいと言っていた人は、目を輝かせて待っていた。

 他の人も、その人程では無いにしても、期待がこもった眼差しでこちらを見ている気がした。


 ……勇者パーティは、ほとんど、真ん中の地域で活動しているはず。この辺りにはあまり来無かったはずだ……できるだけ詳しく話をしようか……。

 いや、でも流石に全く知らないって事はないだろうし……どこから話すべきなのだろうか。


「……えーと」


「……!」


「……」


 俺が口を開くと、ほとんどのギルドの人達は「おっ」と言う反応を見せる。

 ……何だかやりづらいな。しかし、話をすると決めたんだ、今更やりづらさを感じている場合ではないな。


「……じゃあ……話します」


 俺は迷った挙句、最初から全て話す事にした。


 勇者パーティ。魔王をも倒せるかもしれないというスキル、通称『勇者スキル』を持ったディールアを始め……今はあんまり認めたくないが、かなりの実力者が集まったパーティだ。


 ……俺は、そんなパーティに、戦い以外で役に立てる事がないか必死で頑張り、入れてもらった訳だが。


「……まず今の勇者パーティは、ディールア、エルティア、ライフィ、エルダの……四人で行動していると、思います」


「……そ、そうなんですか!」


 俺がそう言うと、話を聞いている人は、若干表情を曇らせたような気がした。


「ああ、気にしないで下さい!」


 俺は即座にそう伝えた。……昼に一応、大丈夫だとギルドで言ったが、深く聞いていいものか分からず、ギルドの人達は気をつかっているのだろう。


「……まあその、皆さんご存知の通り、俺はエルティアとライフィにあまりよく思われていなかったのか、暴力を振るったという事になり、勇者パーティを追放された訳ですが……」


 俺は、ギルドの人達に気をつかわせてしまわないように、今は、勇者パーティに未練はなく、魔具職人として、頑張っていこうとしているという事を伝えようとした。

 ……しかし、俺がそう言うと、ギルドはざわざわとし始めた。


「ヒイユさんって、エルティアさんによく思われていなかったんですか?」


「それで、追放……って事は……」


「ん……?」


 俺は、なんでこんなにギルドがざわざわしているか、一瞬分からなかったが、すぐに気づいた。

 ……エルティアがどんな話をしたかは分からない。だが、さすがに俺が否定したくらいで、すぐエルティ自身が疑われるような話をしているとは思えない。


 つまり今ギルドの人達は、俺が暴力を振るったと勇者パーティに誤解されている、という解釈をしているのではないのだろうか。

 勇者パーティだしな、信頼はあるだろうし。


「ああ、えーっと……」


 そうだ! 俺はエルティアに嵌められたんだ! エルティアに罪を着せられたんだ! と言うべきか、今は誤解だという事にしておくか、俺は返答に迷った。


 ……俺は今、武器屋の皆やティルム達の力によって、一応信頼されている。

 一方エルティアは、実績もあるし、今も集められ何かしらの仕事をしているから……普通に信頼は厚いはずだ。


 今の勇者パーティに対する信頼を、今の俺が訴えた所で、簡単に崩せる気はしない。

 ……取り敢えず、今詳しい事は説明せずに、これから魔具職人としての信頼を確立してから冤罪だと訴えた方がいいのではないだろうか。


「ま、まあ、戦闘向きのスキルを持っていなかったので、多少、よく思われてなくて……あまり信用されていなかったのかもしれないですね……」


「そ、そうだったんですね……」


 ざわざわは収まったが、また気をつかわれているような雰囲気がギルドに広がった。

 ……まあ、それは……仕方ないか。


 俺は一旦、追放の詳しい事情は、ギルドでは黙っておく事にした。まだ、それを信じてもらえるだけの信頼はない可能性が高いと感じたからだ。

 ただ、ティルム達や、武器屋の皆には本当の事を言おう。


 俺はそう決意し、話を続けたのだった。

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