表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/50

第47話 付与の信頼

「……!」


 俺がギルドに入ると、たくさんの人が待っており、ざわざわが広がり始めた。


「話を……聞かせてもらえるんですよね!」


「う、うん……」


 昼にギルドに来た時俺に、勇者パーティの話が聞きたいと声をかけてきた人は、目をキラキラと輝かせていた。


「……って、ティルム!?」


 辺りを見回していると、なんと人だかりの中に、ティルムのパーティがいるという事が分かり、思わず驚きの声を上げてしまった。

 だが、そんなに驚く事じゃないよな。……ギルドだし、俺が勇者パーティの話をするって噂が立っているなら。


「……あっ、ちょっと……待って。あ、あの……ティルム」


「ああ、ヒイユ君」


 俺は、話を始める前に、ティルムの方へ向かって行った。


「……ギルドでの事……ありがとう」


「ふふっ」


 そして、お礼を言うと、ティルムは笑顔を見せた。


「……本当に良かった。ギルドの空気も、だいぶ明るくなったみたいだし」


「……その……どうして、俺の事を信じてくれたの?」


 約束をしているのだから、本当は早く勇者パーティについて、話をした方がいいのだろうが、俺はどうしても、その事が気になって、そう聞いてしまった。


「……どうしても、ヒイユ君が悪い人だと、思えなかったから……。……ヒイユ君は、もう詳しい事は覚えていないかもしれないけど、ヒイユ君が付与をしてくれたこの剣、私が今まで剣を壊していたのが信じられないくらい使いやすくて……ちゃんと、付与をする時、相手の事も考えてくれているのかな、って思ったんだ」


 ……そうか……。相手の事……か。

 俺に積極的に付与を頼みに来てくれた理由も、そうなのだろうか。


 何だか申し訳無くなってきてしまった。

 だって、俺はティルムが思っているよりいい人間じゃない。……ティルムの時は、特別な剣だと聞いたから、失敗は出来ないと思い、慎重になっただけで……一回、紙も無駄にしてしまったし。

 ……俺はいつも自分の事ばかりだ。ティルムの付与の時は、相手の事なんて考えてなかった。


 ……でも、申し訳無くなるだけじゃ、ダメだよな。

 ティルムがそう思ってくれているなら、そうなれるように頑張らなくては。


 ……どんな付与も、求めている相手がいるいうことを、忘れてはならないな。


「おい、ティルムだけが頑張ったってわけじゃねーんだぞ。バティヤだって泣いてんだろ?」


「う……い、今はないてない、よ……」


 俺がそんな事を考えていると、ティルムのパーティメンバーのモスィが、そう口を開いた。


「……私はな、正直お前の事をよく知らないから、その話については何とも言えん。だがティルムがこれだけ言ってくれているんだ、私も、ティルムが信じたお前を、全て信じるとまでは行かないが、疑わない事にはした。だから……分かってんだろうな?」


「はい。もちろん、分かってます」


 その言葉に、思わず背筋がのびてしまう。

 ……分かっている、もちろん。口調は悪いが、仲間の事を想っての言葉なのだろう。その信頼を裏切る事なんてしない。


「……」


 俺がそう答えると、モスィは「よし、後は大丈夫だ」と言い、桃髪の女性相変わらず無言で、ただじっと俺を見ていた。

 ……この桃髪の人だけはずっと謎なんだよな。一体何を思っているのだろうか。ほぼ表情が変わらないからよく分からない。

 まあ、今はそれは忘れよう。後は大丈夫と言われたのだからな。


「……本当に、ありがとう」


「……うん」


 俺は改めてティルム、そして、ティルムのパーティメンバーにお礼を告げ、勇者パーティの話をする為、元の場所へ戻って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ