第4話 新たな仕事
「あー……うん」
そして俺たちは、フクシアの知り合いが居るらしい武器屋に来たのだが、ドアを開けてそうそう、多分フクシアの知り合いだと思われる、ポニーテールの女性に、苦笑いを向けられた。
「フクシア……またなのね」
その直後、その女性はやれやれといった態度でフクシアを見た。
もしかしたら、俺が勇者パーティを抜ける事になった理由を知っているんじゃないかと思ったが、どうやらそうでは無いらしい。
「レイーナちゃん……お願い、この人は、元勇者パーティの……あっ! ヒイユさん、言っても大丈夫ですか?」
「あ、はい……」
ポニーテールの女性は、レイーナと言うらしい。
……勇者パーティの事情を話されるのは、フクシアという味方が一人出来たからこそ、正直、あまり良い気分にはならなかったが、聖人の知り合いなら、多分大丈夫だろうと思い、頷いた。
「やっぱりね……」
レイーナは、話を聞くとため息を吐いた。
「……それで、またここで働かせて欲しいというのかしら?」
「いやあ、まあ、ヒイユさんが……望めば」
フクシアの言葉を聞いた後、レイーナは疑惑の眼差しを俺に向けていた。
……なるほど、話から察するに、フクシアが困っている人をここに連れて来たのは、初めてじゃないみたいだ。
通りで馬車に乗っている時、すぐ衣食住や仕事を用意する、と言い切れたわけだ。
……しかし、望んでいると言っていいものなのだろうか。
「……ああ、えっと……」
「……分かったわ、大丈夫よ。行くあてがなかったら、最後に来るといいわ」
俺が返答に迷っていると、レイーナは、またやれやれといった様子でそう言ってくれた。
彼女も聖人だ……!
……俺は、その時、絶対に一人で生きようという覚悟のようなものが芽生えた。
俺は多分ここで甘えてしまったら、永遠に成長出来ないままだ。
相談などはしても、頼り切るのは違うのではないだろうか。
「ありがとう、さようなら」
俺は覚悟を決めた声と顔で、レイーナに別れを告げた。
「……フクシア、俺、一人で仕事を探してみるよ」
さらに、フクシアにも、そう告げた。
フクシアは、少し驚いていたようだったが、すぐに、困ったらまた、ぜひ、家に来てください。とだけ言い、俺を見送ってくれた。
「よし、行くぞ……」
こうして俺は、この町で仕事を探す事にした。町中を周り、仕事を必死に探した。……若干苦手意識が芽生えてしまったギルドにも、行……こうとした。
しばらく探した後、俺は一つの答えにたどり着き、ある場所を目指して歩き始めた。
「……ふー」
俺は緊張しながらその場所の扉を開ける。
「レイーナさん、よろしくお願いします」
「あー……」
そう、ここは、武器屋だ。
俺は必死に仕事を探した……そりゃもう必死にだ。まあしかし、『速筆』というスキルと、雑用の経験しか無かった俺が、そんな簡単に雇ってもらえるはずがなかった。
『速筆』を活かせるような仕事はすぐに見つけられなかった……ここに戻ってくるしか無かった……。
「まあ、何となく察していたわ。……いいわ、ちょっとこっちへ来て」
こうして、俺は、新たな仕事を得たのだった。
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