第39話 信頼
「…………」
次の日、俺は重い足を何とか動かし、武器屋まで来た。……増築はまだ途中のようだが、もうそろそろ出来上がりそうな様子だった。
「……ああ、大丈夫かな……」
俺は、何とか足を進め、武器屋のドアを開け、チラッと中を見てみた。
武器屋の中には、レイーナ、ケスタが居た。
ロコロは……武器屋の奥にいるのだろうか。
「ああ、ヒイユ……」
ケスタがこちらに気づくと、勇者パーティの話を知ったのか知っていないのか微妙な反応をした。
「……家に帰る途中、近くの人から聞いたんだが……暴力を振って、勇者パーティを追放されたって……」
……ああ、完全に聞かれていた。
俺はケスタと目を合わせられなかった。
こんな事になるんだったら、先にケスタに事情を話しておけばよかった、と後悔した。
……いやいや、まだ大丈夫だ。ケスタにもきちんと事情を話せば、きっと信じてもらえるはずだ。
……そうだ、信じてもらえる……。
「……、…………、……」
……そうは思ったが、全く言葉が出てこなかった。
俺が黙っているのを見て、ケスタはまた何か話そうとしていた。何を言われるのだろうか、怖い……。
「……それは、事実なのか?」
「えっ?」
俺は思わず驚いてしまった。そんな事を聞かれるとは思っていなかったからだ。
……なんというか、もっと色々詳しい事情を聞かれると思っていた。
「……暴力で、勇者パーティを追放されたって話は……事実なのか?」
「……いや……違う! 俺は、暴力なんて振ってない!」
俺がそう言い切ると、ケスタはホッとしたような表情になった。
「……よく言い切ったね。私は、とっくにヒイユに話したものだと思っていたのだけども……」
レイーナは、やれやれといった様子でこちらを見ていた。
……うっ……すみません……っ。
と俺はレイーナから思わず目を逸らしてしまった。
……しかし……よかった。信じてもらえて……。
確かにケスタとは、もう結構一緒に働いて、仲良くはなって来たと思ってはいるけども、それでも信じてもらえるか、不安だった。
フクシアの時は、後がないのもあり、味方を増やせればいい! と、半ばヤケクソで打ち明ける事が出来たが、やはりある程度共にいると、打ち明けた時の反応などが気になってしまい、中々言う事が出来なかった。
けれど、まさかこんなに信じてもらえていたなんて……。
……もしかして、あっちのギルドでも、勇気をだして本当のことを言えば、ケスタのように信じてくれる人もいたのだろうか。
「……」
いや、そんな事を今更考えても意味は無い。
今は……こっちのギルドの事だ。
弁解をしに……行くべきだ。いや、行かなければ。
大丈夫だ……ケスタは信じてくれた。
後が無いわけじゃない、きっと上手くいくはずだ。
俺は、ギルドに行く覚悟を決めた。




