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第38話 再会

「じゃあ、また明日……ケスタ」


「……ああ」


「……」


 俺は帰る途中、頭に浮かぶ可能性を必死にまとめた。

 ……ここにエルティアが来ているかもしれない。……アルヘルさんに会いに行った時にはギルドで会わなかったから、アルヘルさんだけここに来ていて、他の魔法使いはここではないどこかにいるのかもしれない。

 例えば、アルヘルさんだけ、ここに家があって、だから他の人達は宿屋にいる……とか……。


 ……とにかく、エルティアがここに来ているとすれば、重要なのはギルドに行ったか行っていないか、だ。

 他の場所でも噂はあるだろうが、俺の付与の噂が特に立っているのがギルドだ。もしギルドに行っていたら、確実に俺がここに居る事がバレてしまう。

 エルティアがギルドに行ったとして、それがあり得るタイミングとしては……アルヘルさんと会って、ギルドを出て、そこから今。まずいな……結構時間はある。その後に誰かギルドに来た可能性はあるな。


 ……俺の魔具職人としての実力はまだまだだ。

 今エルティアに出会っても、見返す事はまだ出来ないだろう。今はエルティアがギルドに行っていない事を祈るしかない。


「……でも、絶対に成長はしているんだ。このまま、絶対にあの二人を見返してやる!」


 俺は、気合を入れて道を進んだ。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「……」


「……おやぁ、やっぱり君か……」


 ……武器屋の近くの道に差し掛かった時、背後からそんな声が聞こえた。


 聞き覚えのある声……エルティアだ。


 ……っ、今は出会いたくなかったが……仕方ないか。


「……何?」


 俺は振り向きながらそう言った。


「……ギルドで聞いたよ。君の噂を」


 エルティアは何やら怪しい笑みを浮かべながらそう呟いた。

 ……何だ? 何を考えているんだ……?

 しかし何を考えていても関係ない。俺は、自分のスキルで確実に成長しているんだ。何を言われても気にする必要は無い。


「そうだ。俺は、『速筆』の力で、魔具職人になったんだ……。勇者パーティに居た時とは、変わったんだ……」


 俺はそう言い残し、そこから去ろうとした。


「……それが何か?」


「はっ……?」


「何かが変わったとは思えないが。……勇者パーティに居た時……などと言っている割には、ギルドで、勇者パーティの話は全くしていないようだが」


「……!?」


 エルティアのその言葉を聞いて、冷や汗が流れた。

 ……つまり、エルティアは、ギルドで、俺が元勇者パーティの人で、何があったか、話したという事か……?


「……私には明日、やる事があるので……さようなら」


 エルティアはそう言い残し去っていった。

 ……くっ……武器屋の皆も知ってしまったのだろうか。レイーナは話を知っているが、もし、ケスタが知ったら……いや、特にロコロは……大丈夫だろうか。

 ……大丈夫、じゃないよな……。


 ……いや、誤解されていたとしても、俺が自分で弁解しに行けばいい話だ。ギルドにはティルムやバティヤが居る。勇者パーティに居た時とは違う、弁解の余地が……。


 ……ギルドに、か……。


 俺は、不安を抱えながら、帰ったのだった。

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