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第36話 自分にしか出来ない付与?

「……僕が付与を知ったのは、もう思い出せないくらい昔だよ。魔法言語のパターンが、ほとんど書いてある本を見つけられて、良かったなぁ……」


「……ああ、やっぱりその本で……」


「そうそう……ああ、ケスタ君も持っているんですか? ……もしかして、この本で僕が付与について知っていると?」


「はい! ……それ、結構目立つ色の本だし、そんなに分厚い本、滅多にないから……」


「……」


 ……隙がない。

 アルヘルさんとケスタの話に割り込む隙が。


 余程、付与について話せる仲間が出来たのが嬉しいのだろう。

 ……だが、俺も、アルヘルさんから、付与について詳しい話を聞きたい!

 ……もう結構話したから、そろそろ話も途切れるだろう。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「……難しい付与が……」


「ああ! やっぱり……」


「……」


 しかし、話は一向に途切れる気配がない。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「岩にも、理論上は付与できるらしい」


「……でも岩に魔法を付与しても、岩が耐えきれないんじゃないのか?」


「そう、だから……」


「……」


 本当に、話が尽きないな……。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 ……。


「……もしかして、それなら、ヒイユだったら、素早く……」


「ヒイユ……君と一緒に来た、この人だね。そんなに素早く付与が出来るのかい?」


「……ああ、だよね、ヒイユ?」


「……」


「……ヒイユ?」


「……はっ、あ、ああ……えーと、な、何?」


 まずい、あまりにも二人の話が長くて、呼ばれている事に全く気づかなかった。


「ヒイユは、素早く付与ができる……よな?」


「……あ、ああ……」


「なるほど……」


「えっ?」


 俺が返事をすると、今度はケスタもアルヘルさんも黙り込んでしまった。

 ……話を聞いておくべきだったな……。


「……えっと、俺はスキルの力で、素早く付与が出来ます」


 俺はアルヘルさんに一応そう伝えた。


「スキル……なるほどね……それなら……」


 ……くっ、中々さっき何を話していたのかが分かる言葉を言わないな……。


「それなら……?」


「君は、普通付与出来ないような物にも、魔法を付与することができるかもしれないね」


 ……やっと話してくれた……。

 しかし、普通付与できないものにも魔法が付与できるとはどういうことなのだろうか。普通付与できないもの……って、例えばなんだ?

 なんとなくぼんやり……岩……とか聞こえたような。


「一体、どう言う原理で?」


「……『復元』という魔法を知っているかな?」


「は、はい……」


 知っている。武器などが、少し壊れた時、一瞬にして元の状態に戻る魔法だ。付与する事も……出来るが……。


「例えば岩は、普通の武器よりも魔法に対する耐性がない。だから、弱い威力の魔法でも、付与すれば、岩は耐えきれず、壊れてしまう。でも、ヒイユ君の力で無理やり『復元』を大量に付与すれば、魔法に耐えきれず壊れる力よりも魔法の効果が上回って、普通付与が出来ない物にも、魔法が付与された状態になる……って事だよ」


「……!?」


 その言葉を聞いた瞬間、俺はドキドキとした。……そんな事が……可能なのか?

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