第35話 怪しい建物
……そして夕方、俺達は地図で示された場所に行こうとしていた。
本当に入り組んだ道だな……大丈夫なのか?
「……あ、ここみたい」
不安を抱きつつ道を進むと、何やら怪しい雰囲気の建物が見えてきた。
……だいぶボロボロだし、一体なんの建物何だ……?
「……ああ、どうぞどうぞ」
そんな事を思っていると、キイイと怪しい雰囲気の建物の扉が開き、何だかさっきと様子が違う噂の有名人が出てきた。
「……ヒイユ、行こう!」
「う、うん……」
俺は、不安を感じながら、ケスタと共に怪しい雰囲気の建物に入って行ったのだった。
「……じゃあ……どうぞ」
「……ああ、大丈夫……ですよ」
建物に入ると、噂の有名人はお菓子を用意していた。
「いえ、遠慮なく……。……そして……付与の話を、するんだよね……」
噂の有名人は、そう呟くと、ギルドで見た時と同じような様子になった。
「……僕の名前は、アルヘル。まさか、ここで付与の話ができる人と出会えるとは……。君もそうなのかい?」
「……は、はい!」
噂の有名人、アルヘルさんは、俺にそう問うと、もう一度ケスタの方を向き、嬉しそうに笑みを浮かべていた。
「……僕は、沢山の魔法を使えて……その関係で名が知れ渡っちゃったんだけど……。ああ、付与の話をするのは久しぶりだなぁ……」
「……アルヘルさん?」
「あ、ああ……すまないね」
アルヘルさんは、どうやら、ひとりごとをつい言ってしまうような人……なのかもな。
俺は心の奥でそう思った。
「……俺もです」
そして、アルヘルさんの話を聞き、ケスタはゆっくりとそう答えた。
「えっ?」
「俺も、中々付与を……詳しくどころか、少しでも知っている人は少なくて……だから、噂を聞いた時すぐにアルヘルさんが付与に精通している人だって知りました」
「「……!」」
ケスタの言葉に、アルヘルさんは目を輝かせ、ケスタもまっすぐにアルヘルさんを見つめていた……。
……どうやら、通じ合うものがあったらしい。
しかし、付与のやり方って、詳しい人だけでなく、知っている人も少ないのか……簡単な物は簡単だが、やはり魔法言語が、取っ付きにくいんだろうな……。
……それならやはりこの機会は、もう二度と無いチャンスかもしれないな。
アルヘルさんから、しっかり付与の話を聞かなければ……と、俺はそう決意したのだった。




