第28話 自分の力で
「じゃあ、今日の仕事はこれで終わりよ」
「はい!」
「……」
俺は、仕事が終わった後、すぐギルドの方へ向かった。ティル厶に会うためだ。
俺は休みの日に、レオキヌさんの所へ向かう事にした。だが、流石に何も言わずに行くのはあれだろうと、ティル厶に、レオキヌさんの所へ行く事を伝えてもらおうと思ったのだ。
「……自分の力で……行くぞ……」
ギルドのトラウマはまだ完全には抜けておらず、少し動きが遅くなってしまった。
……だが、一歩ずつ、確実に進んでいる、行ける、入れる、入れるぞ……。
「……よ、よし」
そしてついに俺は、ギルドへの一歩を踏み込んだ。……よ、よかった……もう俺は、自分の力でギルドに入る事が出来るようになったんだ……。
そんな喜びを感じながら、ティル厶を探したのだった。
「あ、いた!」
「……ヒイユ君!?」
ティル厶はちょうど依頼を終えて、帰ろうとしていた所だったようで、ティル厶、そしてバティヤを含む四人で、行動していた。
四人パーティ……うっ、トラウマが……。
「あっ、早速使わせてもらってます……すごいですね、あんなに素早いのに、品質を落とすこと無く……!」
バティヤは心底嬉しそうな顔をしながら、こちらを見ていた。
「……あん? 誰だよお前」
一方、おそらくティル厶のパーティメンバーの、滅茶苦茶ガラが悪い口調の女性が凄く鋭い目付きでこちらを見ていた。
「……?」
また、もう一人、綺麗な、桃色の髪をした女性で、不思議そうにこちらを見ているが、全く喋らない。
「ちょっと、モスィちゃん、この人は、ヒイユって言ってね、前話したでしょ?」
「ぼ、僕も、話したんですけど……」
「……ああ、あの武器屋の、魔具職人か……ふーん」
ティル厶にモスィと呼ばれたその女性は、そう言い残すと、ギルドから出て行った。
「ああ、ごめんね。モスィちゃん、口は悪いけど、根はそんなに悪い人じゃないから……。えっと、それで、何か用だった?」
「あ、ああ……レオキヌさんの事で……」
俺は、ティル厶に、レオキヌさんの所へ行くから連絡をして欲しいと頼んだ。
「ああ、そういえば、まだ返事をしていないって言っていたね。……返事をしにいくのかな?
うん、大丈夫、伝えておくよ」
「ああ、ありがとう」
……よし、無事に一人でギルドに来て、ティル厶と話す事が出来た。
俺は、ホッと胸を撫で下ろした。
……しかし、後ろの桃色の髪の人、本当に全く話さないな。
「……?」
「あ……じゃあ、また……」
俺は、桃色の髪の人の様子を気にしながら、帰って行ったのだった。
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「……よし、次の休みの日に、レオキヌさんの所へ行くぞ……」
俺は夜空を眺めながら、そう決めたのだった。




