第27話 付与は無事に
「こ、ここです」
バティヤの案内に従っていると、家と小屋のような建物が見えた。なるほど、ここに武器が……。
「こっちの小屋かな?」
「は、はい……あっ! 待ってください!」
俺が小屋の扉に手を置こうとすると、バティヤはそれを止め、何やら詠唱を始めた。
「……こ、これで大丈夫です。通れます」
「通れます!?」
……小屋に、何かしら通れない仕掛けがあったのだろうか。
「……よし。あれが武器か……」
改めて小屋の扉を開くと、奥の方に厳重にしまわれている武器を発見した。
「ああっ、まだ待ってください!」
……しかし、近づこうとするとバティヤはまた止め、また同じく詠唱をする。
「……こ、これで触れられます」
「触れられます!?」
……既に厳重にしまってあるのに、まだ何か仕掛けがあったのだろうか。
……それにしても、慎重すぎないか?
扉の魔法、武器の魔法、さらにその状態で、厳重にしまっている……どれがひとつは無くても良さそうだが……。
「こんなに奥にしまってあったら、使う時に大変じゃない?」
「ま、まあ……でも、壊されるよりはましです……」
バティヤは、何かを思い出しているような動作で、そう呟いた。
壊されるよりはまし……? ティル厶……? なるほど、何となく察したぞ。
「……もう、付与して大丈夫?」
「ああ、はい……!」
もう仕掛けは無いか、俺は念の為に聞き、武器の方に近づいた。
「じゃあ、この付与で間違いないよね?」
「は、はい」
こうして俺は、バティヤの武器に魔法を付与したのだった。
「これで大丈夫かな?」
「おお、ありがとうございますヒイユさん。すみません、武器を動かしたくないなんて理由で呼び出して……」
「大丈夫だよ……じゃあ、さようなら」
「はい! ありがとうございました!」
……付与は、そんなに難しいものも無かった。
ギルドで悪い噂も立っていなかった。俺がしていたのは、無駄な心配だったようだ。
……これで、俺はエルティアとライフィを……。
……見返せるのか?
よく考えたら、俺は助けられてばかりだ。フクシア、レイーナ、ケスタにはもちろん、今回のギルドも、ティル厶が居なかったら、もしかしたら行けていなかったかもしれない。一人では、誘い一つ断れていないじゃないか。
「……」
付与を終えた帰り道、突然そんな気持ちが浮かんできた。
……そうだ、俺は、まだまだじゃないか。
まだ、レオキヌさんの誘いも断れていないし……。
自分自身を、もっと変えなくては。
中途半端な自分を、変えたい……。
「次は、レオキヌさんの所だな……」
俺は、感謝を受けて、自信が湧いた。
……しかし同時に、これで大丈夫なのかという不安も感じ始めた。
「……きちんと、断らなくては」
前に進もう、と俺は武器屋に戻って行ったのだった。




