第2章 16 何のことでしょう。
すこーし長めです!
頑張りました…
ちょっと読みづらいかもです…
しょうもないかもですが、お付き合い下さい。
「んーっっ!! んんーーっっっ!!!」
手足と、翼らしきものを縛られ猿轡をされた自称刺客は家の中でじたばたと暴れていた。
「あの……これ、どうするんですか? お父様?」
「どうしたもんかなぁ……
捕らえたのはいいんだが、刺客だかなんだか言ってた気がするしなぁ……」
皆の目線がスーッと自称大悪魔へと向かう。
「……ん? んんっ!? んーー! んーっ!!!」
何か不穏な空気を察したのか、より一層暴れ出す刺客(仮)。
「とりあえず、何言ってるか分からないし、喋れるようにしてあげた方がいいと思うわ」
「だな。じゃ、外してあげよう」
カントがどうどうと自称大悪魔を宥めつつ猿轡を外す。
「……ぷはっ! おい、貴様ら! 何をするか!? 我は偉大な大悪魔であるぞ!
その我に向かってこの仕打ち……貴様ら全員万死に値ぃぃぃぃぃっ!?!?」
猿轡を外した途端によりうるさくなった自称なんとかにベスタが治癒魔法をかける。
「……とりあえず、悪魔というのは本当みたいね」
「おおおいっ! 貴様!! 我の開口一番に治癒魔法とは何を考えておるのだ!?」
「うるさいからよ。それに、手っ取り早く調べるにはこの方法がいいと思ったの」
「思ったの。……じゃないわっ!!
貴様らは頭おかしいんじゃないのか?! 寄って集って身動き取れない人に……!」
「「「「いや、人じゃないし」」」」
「……」
「貴様らぁぁぁ!!!」
皆が一斉にハモる。ローナは真顔で見守っている。だが、その目は明らかに状況を楽しんでいる。
皆ちょっとだけこれが楽しくなってきたようだ。
しかし、カントがその空気を区切り、話を再開する。
「まぁ、おふざけはここまでにして。なぁ、あんたはここに何をしに来た? そもそも、ここの大陸の者か?
それとも……俺達を排除しに来たのか?
最も、刺客だかなんだか言ってたから、誰かに言われてここに来たんだろうが」
「……く、くくくく、くはははははは! 今更聞くのが遅いわ! 貴様らはもう助からん。
命乞いでもしたら助けてやろうと思っていたのだが。気が変わった。絶対に、貴様らは許さん。許さんぞぉぉ!!!
くははははははは! 我が動けるようになったら貴様らを……」
「ふーん。何も知ってないようだし、そんまま寝るか!」
「そうね、寝ましょうか」
「かしこまりました。シーツの取り替えは済んでおります」
「今日は皆お疲れですしね」
「いつも以上に疲れた気がしますよ」
皆、各々の部屋に向かって歩いていく。
「ちょ、貴様ら! お、おい! わ、分かった。話してやろう。我がどうしてここに来たのか。
そして、貴様らをどうするのかを!」
「じゃ、皆! おやすみ! 明日も調査に行く予定だし、皆もやることあるだろうから早く寝ろよー」
「「「はーい(かしこまりました)」」」
「わ、分かった! 分かったから!! 全部話すから!! お願いだから、少しは話を聞いてくれっ!!」
…………ひとまず作戦勝ち。
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「それで、あんたは何しに来たんだ? あと、ここはどこなんだ? あんたはここの者か?
魔法は使えるみたいなんだが……
あ、でも言葉が通じるみたいだし、あんたもあっちの大陸の人……いや、悪魔なのか? えーっと、あとはー……」
「ちょ、ちょっと待て! 一つずつ答えてやるから一気に言うな! 訳が分からなくなるだろう!」
「えー、ちょっとなら見通せるんだろ?
なら、俺が質問する前に答えるくらいしてみろよ」
カントが面倒くさそうな顔をする。
「いや、見通せはするのだが……
わざわざくだらん事に力を使いたくないだけだ。使うのは悪感情を確実に欲しい時とかだな。
まぁ、それは置いておくとして。では、最初の質問から答えるとするか。
我がここへ来たのは貴様らの刺客として送り込まれたからだ。
刺客と言ってもただの建前に過ぎんがな。
噛み砕けば視察というのが一番近いだろうな」
ゲイルと名乗っていた悪魔はカントの問いにそう答える。
「ほう、視察、ね。あと、送り込まれた、と。
誰に、ってのはあとから聞くとして、じゃ、次。
ここはどこなのか。まぁ、うすうす勘づいてはいるが、ここは前にいた世界ではないんだろう?」
「……ふむ、その解答としては、半分は正解で半分は否、だな」
その答えに俺達は皆、首を傾げる。頭の上では、はてなマークが浮かんでいるだろう。
「……どういう意味だ?」
「くく、やはり、勘違いをしているようだな。
ここは、雇いぬ……上の者が創り出した空想上のあちらの世界だ。
だから、ここは貴様らの元の世界であって元の世界ではない」
「……ん?」
カントには難しかったようだ。結構頭がキレると思ってたんだがなぁ……
あ、いや、カントだけではなかった。皆ポカーンとしている。別にカントがダメなわけではなかったらしい。少し安心した。
てか、雇い主っていいかけたよな、こいつ。
「……えっと、もう一度言ってもらっても?」
「だから、ここは、貴様らの知っている世界であって、知っていない世界である、という事だ。
最も、創り出した空想上の世界であるから、生物等はかなり少ないだろうがな。
いることにはいるだろう。まぁ、その場合だとかなり偏った生物の分布になるだろうが」
余計にややこしくなった気がする。こいつ、説明下手なのだろうか?
いや、俺にはなんとなく伝わったのだが、皆を見るとキョトンとした顔をしている。
「……要するに、知らない場所ってことでいいんだな?」
少し考えた末にカントが結論を出す。いや、それ最初と何も変わってなくないか……?
「うーむ……難しい話であったか……
では、少しだけ噛み砕いて説明しようか。
仮にここにAという世界があるとする。このAの世界には人が沢山いるとしよう。
この人共は1人1人生きる道が、辿る未来が違うであろう?
そのうちの1人が、取り出され、本来辿るはずであった道とは違う、創造された道にずらされた、という感じであるな。
それならば、同じ世界の違う道、となるであろう?
ここもそのような感じである。最も、終着点は同じであるがな」
なるほど。そうくるか。変な例えだなぁ……
間違っちゃいないんだろうが、なんか違う気がするんだよなぁ。
惜しいというか。まぁ、皆なるほどって顔してるからいいんだけども。
「……なるほど、分からん」
……分かってない人が1人いましたー。カントさん、そこは理解しとこうよ……隠れバカだってバレちゃう。
「むぅ、我にもこれ以上は説明しづらいのだが……
ま、まぁいい。もう貴様独自の解釈でいいだろう。
で、ここを抜け出すにはこの世界のコアを破壊すればよい。
無論、何処にあるかは我も知らんがな。
……お、おい、その使えないものを見るような目をやめろ。その視線も感情も我の好みではない。
……で、だ。本当のところは貴様らがどうするのかを我は見に来たのだ。
刺客という名目でな。今言ったことは元々教える予定であったのだ。
親切だとかそういうのではなく、な。
で、本来なら特に貴様らと殺り合う気はなかったのだが……先程散々おちょくられたのでな。溜飲が下がらんのだ。
1人2人は覚悟しておいて貰いたいものだな。もちろん、消すという意味でな。
……ほほぅ、その殺気、表情、ダダ漏れの感情。くはははは、いいぞ、なかなかに美味である。
……おい、そこの小僧。特に貴様のは我の好みに近いな。もっと、吐き出してもよいのだぞ?」
こいつはなんとなくだが、倒すべきだと思う。なんか、結構うだうだ言ってるけど強そうだし。
まぁ、捕縛された状態だからどうとでもできるのだが。
それに、こんな奴どうでもいいんだけど。
……だけど、家族を殺す殺さない言われるのは正直かなりムカつく。目の前で言われたら尚更だ。全力でぶっ潰してやりたい。
……いや、しかしこのまま感情的になったらこいつの思うつぼだろう。
ちょっと、落ち着こう。
俺はゲイルを睨みつけながらも息を深く吸って少しだけ冷静になる。
「……なんだ、つまらん。
そのなりでなかなか肝が座っておるではないか。もう少し楽しめると思ったのだが……
……む? 小僧、貴様……まさか……く、くはははは!
小僧、貴様面白いではないか! くはははははは! かなり滑稽であるな! 傑作である!
まさかこのような事が……くくくく……!」
ゲイルが何かに気付いたようにそんなことを言った。まさか、俺が中身は違うって気付いたのか……?
いや、まさか……な、何のことでしょうかね。俺は知らないよ?
「ふぅ……まぁ、そんなことより……そろそろ、いいか?」
俺がビクビクしながらそんなことを考えていると笑っていたゲイルが急に表情変えてもぞもぞしはじめた。
トイレでもしたいのだろうか? てか、悪魔ってトイレするのかな?
「いいって言うと思うか? 縄を解く気なのか? そりゃダメに決まってるだろう。
……もうちょい縛るか。なんかされたら困るし」
「……え? ちょ、ま、待て! これでも充分にキツイのだぞ! これ以上とは、そこの金髪の娘じゃあるまいしさすがに……
おおおおい! や、やめ……!!」
どんどんロープで巻かれていく悪魔さん。もうほとんど簀巻き状態だ。
てか、ちょっと聞こえたのだが、金髪の娘じゃあるまいしってどういう事か詳しく……
「な、な、な……!」
キャリルが何やら顔を赤くしている。さっきの事と関係あるのだろうか……?
「ぐぅ……これ程の屈辱を……!」
「ふぅ、これでよし、と。
……なぁ、あんた。まさかだけど、あんた倒したらこの世界から出られるとかそんなのはないんだよな?」
確認するようにカントは訊ねる。それも気になるし重要なことだけど、やっぱり俺は金髪の娘の部分が気になってしょうがないんだが……
「……あ、あぁ、この世界から出られる条件はコアを破壊すること。
我はそれを傍観しながら楽しむ予定である。
まぁ、貴様らがこんなことしてくれなければもっと楽しめたのだがな」
ちっ、と舌打ちをして楽しくなさそうな顔をするゲイル。
いや、もし普通に接触してなくても多分こうなってたと思うし元より楽しめなかっただろうけど。
そして、そんな事より金髪の……
「……他に、方法はないのか?」
カントがほんのちょっとだけ期待を込めた眼差しで聞く。それは重要度が高いな。
ここから出る方法が他にあるなら知りたい。そしてあわよくばさっきの金……
「……ほう? 知りたいか?」
「あるのか!? 他に方法が!?」
ズイっと身を乗り出しゲイルに顔を近づけるカント。
「あぁ、一応ありはする」
ニヤリとしながら、答えるゲイル。凄く悪人面をしてる。絶対その方法って裏がありそうな……
「……その、方法って?」
「その、方法は…………」
ゲイルのその溜めに俺達は皆、ゴクリと唾を飲む。こいつむだに溜めるなぁ……
くだらん事言うんじゃないぞ。間違って岩砲が炸裂するかもしれないぞ。
「……この世界を創り出した者を打ち倒すことだな」
「なるほど……」
カントが合点がいったうな、それでいてあまり分かっていなさそうな感じで、神妙に頷く。
そうか。簡単な話じゃないか。この世界を創り出したやつをぶっ飛ばす。何て簡単で脳筋な考えなのだろう。
「じゃあ、そいつは何処に……」
カントが期待を込めた眼差しをゲイルに向ける。俺達もカントの言葉に若干の期待をよせる。
もしかして、意外と簡単にここを脱出できるんじゃ──
「は? そんなこと、我が知るわけないだろう? 貴様らで探せばよい。
なんで貴様らにそんな事を教えねばならんのだ。我は親切で教えてやっているのではないと言ったはずだぞ?
ちゃんと聞いていたのか? 難聴ですか? くははははは!
それに知っているとでも思ったか? 教えるとでも思ったか? くはは、残念、我は教えようと思わんし、そもそも知っておらん! くははははははは!
おっと、貴様らのこの悪感情、大変に美味であるぞ! くはははははははは!!!!」
ゲイルがこちらを見ながら高笑いをしている。
……こいつはやっぱ、滅ぼすべきだと思う。なんかすっごくムカつく。
こいつ絶対、俺達の悪感情を食らうためにわざわざ他の方法もあるって言っただろ……!
「くははははは! いいぞ! もっとこの悪感情をぉぉぉぉぉ!?!?」
笑っているゲイルにベスタがかなりイライラしていたのか、上級の治癒魔法をぶっぱなす。
これは流石に効いたのだろう。さっきと違ってかなり煙が出ていて所々焦げている。
「……く、くそ…貴様……いきなり何、を……ぐぅ、覚えていろ……」
ゲイルは忌々しそうにベスタを睨んだ。ベスタはそれを気にもしていない。
「ふぅ、ちょっとスッキリしたわ。じゃ、皆寝ましょうか!」
「なっ!」
ゲイルが、なんだと?! という感じの顔をしているがそれを見事にスルーし、パンと手を合わせ、とてもいい笑顔でベスタがそう言った。
もう、この先どう繋げるか自分でもよく分からない件について。




