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コンプレックスな反逆者たち  作者: ゾンビ―鈴木
第三章・竜と狩猟の世界編
86/114

乱入

  Side:紅


「はぁ……はぁ……はぁ……」

「ぐふ……う……が、ぁ……」


 妙な……気分だ…………

 敵と……同じ水面(地面のようだが)で……倒れ伏せるとはな……


「まさかここまで……やるとは……」


 ブルーは片腕を失い、全身に切り傷をつけられた状態で仰向けになっている。

 俺は……再び響きだした全身の切り傷の跡と、右肩と腹部の傷、そして完全燃焼かんぜんねんしょうの後遺症から俺も水面に横たわっていた。

 俺も、ブルーも、もう一歩も動けない。

 その中でブルーは傷を負い、横たわりながらも俺を見て話しかけてきた。


「先ほどまでとは……大違いですね……」


 弱々しいも、どこか安堵を含んでいた声でブルーは言う。

 この状況でも未だに俺の事を諦めていなかったのか……


「いったいあなたに何があったのでしょうか。今のあなたからは……なにか、吹っ切れたような気が……」


 ……違う。

 そう言う事ではない。


「吹っ切れてなどいない……俺は……ただ今まで……俺が勘違いしていたことを……正しく理解した……それだけだ」

「理解した……?」

「ああ……」


 俺もブルーも倒れたまま一歩も動かない。

 俺は改めて自分自身を語った。


「ブルー。俺は両親を失ったあの日から神を倒すと決めていた」


 俺はそれを……憎しみと称した。

 それが復讐だと……俺は思っていた。


「そのために徒党を組み、リスクを承知で悪魔から力を授かり、負けてなお、こんな姿にされようとも俺は神を倒すことを諦めはしなかった」


 全ては神を倒すため……

 敵を討つためだと思っていた。


「だが……心のどこかでそれに対して違和を感じる俺がいた……」

「…………」

「ある少女に諭され……俺は気が付いた……」


 もっとも、氷に封じられたあの時、いったいなぜと思うところもあるが、細かいことはどうでもいい。


「少女……?」

「ああ。一見何も知らないようでいて……その実、俺の事を見抜いたように言った。だから気が付いた……」


 俺は……本当は復讐を願っているわけではなかった。


「親が死んだ知らせを聞いたあの時、俺は確かにあの時から神に……いや、正確には実際殺した天使に強い感情を抱いていた」

「強い感情……」

「それは……憎しみでも恨みでもなく……ただ一つの怒りのみであった」


 無くした愛情を再び求めたわけでもない…………


「俺は……死にたいとは思ったが、両親の仇を取りたいわけではなかった……」


 人類のため……そんな壮大な訳でもない…………


「謝罪であろうと、そうでなかろうと……それを赦そうが赦すまいがどうでもいい。ただ……一言でもいい。ただ……お前たちに……一言でも言いたかったからだ」


 俺はただ……神でも赤天使でもおまえでもいい。

 俺の話を聴いてほしかっただけだった。


「一言……?」

「ああ…………」


 あの日……両親が理不尽な理由で死んだことに俺は怒り狂った。

 呪うのではない。純粋な怒りのみだ。

 このどうしようもない気持ちを誰かに訴えたかった。

 しかし……


「人間にとっては他人の言葉など聴いていて迷惑だろうし、下位天使では理解どころか聞くこともない。だから神か四輝天使おまえらにしか言えない」

「それは……そうですけど……」

「しかし、四輝天使おまえらはそれを拒んだ」


 誰も話を聴いてはくれない。

 謝ってほしいのではない。ただ、そう言う気持ちを抱いていると、お前等がこうさせてしまったと、ただその怒りをあいつ等に言ってやりたかった。

 なのに……話を聴いてくれなかった。

 その結果、俺の怒りはどこにも出ることはなく俺の中に留まった。


「時間が流れても、天使たちは俺の前に現れない。何度呼んでも出てきてはくれない。ディースに拾われても収まらないやり場のない怒りは徐々に徐々にい内側へと溜まって行った」


 ディースに言ったところであいつは人間だから言っても意味はない。

 そうやって、あいつとの暮らしに幸せを感じながらも何年間、

 怒りを募らせた俺は、それを恨みや憎しみだと錯覚した。


「やがて肥大化した怒りは……反逆と言う形で行動に映ることになった」

「……なんという、ことですか…………」


 俺の話を聴いたブルーは……震える声で、何かが打ち砕かれたように言った。


「……そろそろだな」


 全身からはまだ痛みはあるが、俺は横たわった状態から立ち上がり、そして最後に俺は……ブルーにあのことを訊いた。


「ブルー、改めて言う。なぜお前は親を亡くした俺のためにディースを創った」

「…………」


 本当はディースを殺した奴も訊きたいが、これ以上はブルーを攻めるようになってしまう。

 せめてブルーの本当の気持ちを知るために訊いた。


「本当に俺のためでやったのか?」


 ブルーはしばらくの間なにも言わずに震え続けていたが、時間が経つと、よろよろと立ち上がり、恐る恐る口を開いた。

 それはまるで懺悔のように……半ば自分にも言い聞かせるように言う。


「僕は……あの事件が起こる前からあなたやあなたのご両親を知っていました。そして、あの頃のあなたは本当に幸せという事も……」


 他人事であるはずなのに、自分のように辛そうに話している。

 この天使は……いったい人間の事をどう思って……


「故に……その幸せを天使に奪われたあなたに対して、僕は何とかしようと思ったのです……」


 しかし、と言うとブルーは悔いるように顔を歪ませて言った。  


「しかし……僕は怖かった」

「…………!」


 怖かった……?


「哀しいという感情もあります! 辛い気持ちもわかります! 直接あなたに会って言いたいこともありました! しかしそれ以上に……僕はあなたに会う事が怖かったのです!」

「…………」


 …………それが、

 お前の本音だったのか。ブルー……


「実際あの事件を起こしたのはルージュとはいえ、止められなかったことに変わりはありません。そして、まだ幼かった会ったところで、あなたのご両親を殺した天使と同類である僕が、いったいどんな言葉を掛ければいいのですか……!」

「だからディースを創ったのか」

「…………」


 しばらくの沈黙。

 その後、黙り続けてはいたブルーが震える声で噛みしめるように、


「はい……!」


 と、

 ただ一言だけ、そう言った。


「僕があったところで、より悪い結果を起こしかねないと思い、だから幸せを与える存在を創り、幸せで憎しみを癒そうとしたのです」

「……そうか」

「でも……逆にこんなことになるなんて……!」


 つまり、ブルーの考えたことが裏目に出てしまったのだな。

 では、なぜ……


「なぜ、そうまでして俺の事を……」


 天使と人間、ましてや認識がない赤の他人同士であるはずなのになぜ……


「そんなの、決まっているではないですか……!」

「!」


 ここにきてブルーは強い調子で、自らの本当の事を言う。


「僕は、神様の感情の一部を分けて生まれました。……だからわかるのです! 愛しき者が失う悲しさが……身を裂くような哀しさが……あなたから感じられたのです」

「!」


 ……そう言えば、お前は緑天使に殺された王子を甦らせる際こう言ったな。

 その際、『罪人つみびとであるはずなのに、その人のために泣いてくれている人がいる』と、

 そうか、だから……


「僕は……あなたに償いたかった!」


 だからお前は……

 大切な人を亡くした人間を……放ってはおけなかったんだな。

 ましてや亡くした原因が理不尽な出来事ならなおさら……


「たとえ誰も悪くないと言われても、僕自身あなたを放っておくわけにはいきませんでした!」


 しかし、方法を間違えた。

 もっと他にできることがあったはずだろ。


「だから………………!」


 ブルーが続けて何かを言おうとした瞬間……








 ドッ…………!!








「「…………え?」」


 その時、ブルーの後ろから燃えるように赤い刃が背中から腹部へ貫いていた。

 だが、その刃は俺の【付焼刃つけやきば】ではない。


「な、なんだ……これは……」


 おい……いったいどういう事だ……

 俺は何もしていない。力など使っていない。

 それにこの空間は誰も入ってこないはずでは……


「この刃は……まさか……!」

「!」


 ブルー……心当たりがあるのか……

 ブルーが苦痛と驚愕に顔をゆがめ、信じられないようにつぶやくともう一つ声が聞こえた。


「……腹立たしい。腹立たしいわね……」

「!?」


 ブルーの後ろに……誰かいる!?

 それにこの女の声、どこかで……


「いくら制約付きで神様に許してもらえたとはいえ、まさかジョヌやヴェールに続いておのれまでこのような行為をするとは……本当に腹が立つわ」

「な、なぜ……いったい何のつもりで……!」


 ブルーが背後にいるものに対して訊くと、女はゆっくりと、低い調子で答えた。


「それは己が面倒くさいからよ。ペラペラペラペラやかましいから黙らせたのよ」

「!?」


 ブルーの後ろにいたのは……特徴的な格好をした女であった。


 赤を主体とした、巨大なマントと踊り子のような恰好。

 透けるほどに白い髪。

 そして、背中にある半透明の淡い翼。

 その女は敵意を隠さない目で俺とブルーを見ていた。


 なぜ……おまえがここにいる……!?


「四輝天使の一翼……〈朱炎しゅえん〉のルージュ……!?」


 俺が名前を呼ぶと、律儀にも赤天使はブルーを刺した刃をしまい、改めて自己紹介をする。


「ええそうよ。初めまして背信者はいしんしゃの人間。わたくしは四輝天使の一翼、〈朱炎しゅえん〉のルージュよ。天使であるからには……己の敵よ」


 すると、赤天使は右手をゆっくりあげ、こちらへ向けると……


「だから死になさい。【断タレ罪ヨ(コンヴィクティオ)】」

「!」


 何かが来ると予感した俺は反射的に横へ跳んで避けた。

 その後、すぐに体勢を立て直し赤天使の方を見ると……


「!」

「あら、まだ動けるとは意外ね」


 赤天使の右手。

 そこには刀身が厚く大きく、それでいて装飾などまったくない無骨な大剣が、真っ赤に燃え盛りながら先ほど俺がいた所を通過していた。

 赤天使は明らかに釣り合っていない大剣を担いで鬱陶しそうに言う。


「けど、無駄な事よ。ここで終わることに変わりはない」

「…………!」


 この女……ここで殺す気か……!

 赤天使は敵意を隠さずこちらへ歩んでいくと、腹を貫かれたブルーが無理をした様子で声を出した。


「ま……待ってくださいルージュ!」

「……なに?」


 ブルーが静止の声をかけると、赤天使は怪訝そうに足を止め、ブルーの方へ向きなおした。


「止めないでブルー。この背信者はいしんしゃは敵よ。敵を殺して何が悪いと言うの?」

「そ、それは違います! 敵という理由だけですぐに強硬な手は出さないでください!」

「うるさいわね……」


 赤天使は鬱陶しそうに言うと、燃える剣を仕舞う。


「己も堕ちたわね。天使化していないとはいえ人間に敗けてしまうなんてね。まあそれほどまでにこの人間は外の力に順応してきたことだが……」


 赤天使はブルーから視線を変え、俺の顔を覗くように見て、また再度ブルーを見て言う。


「……だから十数年前に言ったじゃない。いずれ将来危険となるものには早いうちに摘めって」

「…………?」


 こいつ……いったい何を言っているんだ……?

 十数年前……だと……?


「そうでしょ背信者はいしんしゃ。あなたには他にも道があったのに自ら滅びへと向かって行った」

「だめです! 聴いてはいけません!」


 なんだ……

 こいつ……今から何かとんでもない事を言うような……


「やめてください! 僕はそうならないように、いろいろと手を尽くして…………!」

「手を尽くす? あんな冒涜的な屑人形でごまかそうとしても、その結果この者は形だけの復讐に走ったじゃない」

「!?」


 まさか……!?

 俺の気配を察した赤天使はこちらを見て、嘲りを隠さずに言った。


「折角、屑人形もろとも、今よりは楽に死の先の世界へ旅立てたのにね」

「…………!?」


 なん、だと……!?

 まさか……ディースを殺したのは……!?


「もうわかるでしょ? あなたが親のように慕ったあの男を殺したのは……」

「待ってください! ルージュ!!」


 やめろ……

 それ以上、それ以上は…………!








「そこまでよ! これ以上あたしの仲間に手を出さないで!」

「!」








 今度はなんだ!?

 なんでここにきてあいつの声が……!?


「! ブルー! 己まさか……」

「待ってください! 僕はなにも……!」


 天使たちも動揺してる……

 すると……


 ピキピキパキピキパキパキ……!


「「「!?」」」


 なんだこれは……!?

 突如、俺の付近で空中にひびが入るという奇妙な現象が起こる。

 天使たちはさらに動揺し、そしてある可能性が思いつく。


「なによ……!?」

「もしかして……即席とはいえ仮想空間に干渉を…………!?」


 ……どういうことだ!?

 俺はよくわからないまま、徐々に広がっていく罅をただ呆然と見つめていた。

 やがて、罅は人間が通れるほど大きさになると……


 パリンッ!!


「とぉ――――――――――――――――う!!」

「うおりゃぁ―――――――――――――――――――!!」

「「「!?」」」


 罅が裂け目のように大きく割れ、中からは三人の人間が現れた。


「!? お前等……!? なんで……!」


 その内の二人はこれまでに何度も何度も共に死線を潜り抜けてきた仲間であった。


「まったく、折角傷が治りそうだってのに新しく怪我をするなよバカ!」

「イエロー……」

「まったくだ。オレも人のことが言えないがおまえも相当だぞ」

「シアン……」


 俺の身を心配してくれるのはいいが、なぜついて来たとかどうやってここまできたとか、いろいろ訊きたい事があるが……


「おじちゃん!」

「ぐっ!?」


 俺がこいつらに質問をする前にもう一人の少女が飛びつくように俺に抱きついてきた。

 突然ではあったが少女の身体から伝わる震えに俺は拒むことはしなかった。


「少女……」

「おじちゃん……よかった……生きてるんだね……!」

「ああ……」


 少女は泣きそうになりながらも懸命にこらえた様子で、力強く俺の身体を抱きしめていた。

 俺も再び不安にさせないようしばらく少女を離さないままにしていたが……

 だが、


「不愉快ね。死んで」

「!」


 いつの間にか俺のそばに移動した赤天使が、そんな暇も与えないようにもう一度、燃える大剣を振り下ろした。

 しかし、


「【重たい空間(クラビトン)】!」

「!?」


 先にイエローが力を使い赤天使を押さえつけた。

 続けて抑えられた赤天使にシアンは嫌な顔一つで言う。


「……不愉快はどっちだっつーの」

「己…………!」


 シアンのその声には若干怒りがこもっていた。

 女天使は不愉快さを隠さず、眼前の敵を睨む。


「勝手に他人の決闘に入り込む方がよっぽど不愉快だ」

「そんなの、わたくしの知ったことではない。敵相手に格好つける必要があるの?」

「ま、基本そんなのはないけどさあ……」


 と、言いながらシアンはイエローにアイコンタクトを送る。

 すると、赤天使にかかった負荷が強くなる。


「ぐ……っ!?」

「あんたはしばらくここで黙ってなさい」


 赤天使が動けないことがわかると、俺はなぜここにやって来たのかを訊いた。


「シアン。お前らはいったい何故……いや、どうやってここに?」

「そうですよ! 仮想空間の中に入り込むなんていったい……」

「あ―――まあ、何でここに来たのかと言うと……」


 シアンが俺とブルーを交互に見ながら説明する。


「オレはさ、マゼンタが帰ってくることは信じているし、お前とマゼンタの決着だけだったらそのままにしてはおいたが……」


 その後、重力で動けないルージュを睨みながら言う。


「ある者からの情報でな、横槍を入れてくる無粋な奴がいるって言われたからな。急いでここまで来たんだ」

「ある者……?」


 ブルーは解らない様子ではあったが俺には誰なのか察した。


 ノワール…………


 何のつもりかは知らないが、俺に死なれると困るからか?

 まあ、おかげで助かったのだが……


「なぜ少女がここにいる。わざわざ危険な所へ共にに行かせたりするんだ」

「おじちゃん……」


 俺が氷に封じられた時の声は謎だが、目の前には危険な赤い天使だっている。

 それなのになぜ……

 俺が言うと、イエローが露骨にため息をついて説明した。


「……決まっているでしょ。そんなの」

「なんだ?」

「あんたの事が心配だったからよ」

「…………!」


 少女……

 そうまでして俺を……


「では僕が作り上げた仮想空間を、いったいどうやって……!」

「ああ、それは簡単よ」


 ブルーの疑問に対し、今度はイエローが答えた。


「シアンがあんたの位置を知っているようだからね、そこに向かったのはいいけど肝心のあんたがいない。しかしどうやらそこであたしの《重力》が何らかを察知したようでね」

「なに?」


 察知しただと?


「うまく説明できないけどこう……歪み? みたいなものを感じたからね。あたしの《重力》をとにかくいろいろ使って試したところなんだか罅みたいなものが出ちゃって……」

「……要するにぶっつけの力技ってことか」


 まったく……


「お前も人のことが言えないな」

「なによ。あんたがそれを言う気?」


 ……お前もお前で大した度胸だ。

 まったく……


「と、言う訳で……」


 と、シアンは俺を支えながら立ち上がり


「オレ達がここに来たのは無事にマゼンタを回収することだ。無理に戦う必要はない。それに、おまえのお願いを聞かないといけないしな」

「なに?」


 お願いだと?

 ブルー……こいつになにを……?


「安心しろマゼンタ。別に悪い事じゃあないから」

「……そう言われても素直に安心できない」


 俺の視線に気が付いたシアンがそう言うが安心などできない。

 だが、それを問い詰めるのは後にする。


「だからまあ、ここは一旦オレ達が引くってことで見逃しては……」

「……させないわ」


 だが、シアンの言葉を遮るように敵意を籠めた声が聞こえた。

 イエローの力で動けないはずの赤天使が、俺たちを射抜くような目で言う。


「己ら背信者はいしんしゃが……こうも一斉に揃っているもの……これを見逃すことなど……!」

「ちょ、ちょっと……なにを…………!?」


 赤天使が這いつくばった状態から徐々に体を持ち上げている。

 まさか……


「わたくしが許すわけないでしょう!!」

「うわ!!」


 こいつ……!

 イエローの重力を力技で破った!?


「世界を壊し! 神様に悲劇を与え! それでもなお逆らい続ける背信者はいしんしゃなど死ねばいい!」

「待って、ルージュ!!」


 ブルーが再び止めようとするが、全く聴かない!


「死になさい! 【天カラノ罰(ダンナーティオ)】!」

「!」


 轟ッ!!

 と、赤天使の身体から勢いよく炎が上空に向かって噴出すると……


「まずい……!」


 その直後、炎が雨のようにこちらへと降り注いできた。


「ちょ、ちょっと!」

「お前正気かよ!!」


 イエローもシアンも慌てているが俺もそうだ。


「な、なにこれ……!」


 こっちにはなんの力もない少女がいる。

 このままだと巻き込まれ……


「【天使化リー・アンジェ】!」

「「「!?」」」


 その時、

 ブルーの翼が力強く輝きだした。


「ブルー!? 己はいったいなにを……!?」

「【慈悲の抱擁(マーシー・エンブラシ)】!」


 ブルーが唱えると、俺たちの周りを何かが堤、そのまま炎の雨を防いだ。

 そして、俺たちが無事であることがわかると再度何かを唱えだした。

 まさか……!


「これよりあなた達をこの空間から脱します! みなさん固まってください!」

「待ちなさい! ブルー!!」


 今度は赤天使が止めようとするがブルーも聴かない。

 徐々に変質していく風景から俺はなぜかブルーの名前を叫んだ。


「ブルー!!」

「……大丈夫です。僕は天使ですから……」


 待て……!

 お前にはまだ言ってないことが……!


「神様の住む地で……待っています」

「ブル―――――――――――――――!!」


 俺の叫び声も、なんの意味もなく響き…………

 俺たち四人はその瞬間元の森へと戻って行ったのだった。

さてそろそろ次元の穴探しも行わなくては……

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