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コンプレックスな反逆者たち  作者: ゾンビ―鈴木
第三章・竜と狩猟の世界編
76/114

過去の再現

リュチェのそばで苦しくうなされるマゼンタが見た物とは……

それでは、どうぞ

――――――――――シアンが人間の住む聖域へ向かい――――――――――

――――――イエローが人竜族の男と話し合っている間―――――――



  Side:紅


 ……これは、夢か……?

 ……そうとしか言えない。なんで俺は今ここにいるんだ……?


「おーい! いったい何があった!」

「天使だよ! 近くで何かあったらしく、天使たちが介入してきたんだよ!」

「またか……まったく神様に管理される身で面倒を……」


 ここはどう見ても……俺たちがかつて住んでいたところ……

 神に支配された、あの都市ではないか……

 俺はたしかほんの少し前までは少女の父親とあの森の中にいた。

 ならばなぜ……


 それに……あの仮面男たちに襲撃された日もそうだった。

 あの時も、どこか懐かしく、それも夢とは思えないような現実さを帯びていた。

 イエローに起こされてすぐに終わったはずだったんだが……


「……それにしても、なにかあったのか?」


 先ほど天使がやって来たとかなんとか言っていたが……

 俺は騒ぎの様子を見るために、人込みをかき分けて現場へと向かった。


「おいおい! 今回はいったい何があったんだ!?」

「なんでも、以前から神様に対して反乱を企てた一味がとうとうバレてしまったとか……」

「まあ!? 神様に逆らうような罰当たりがまだいたというのですか?」

「そのほとんどは二十代から三十代の若者揃いが多いそうじゃ。まったくどいつもこいつも戦争を知らないようなガキばかりが……」

「ふふん。神様に逆らうような奴らね……まあ、そうなる前に見つかってしまうとはなんとも間抜けな……」


 ……なんだ、この周りの会話は……?

 俺は先ほどからおさまらない嫌な予感を感じつつ、群がる人ごみをかき分けて騒ぎの中心地へと進んでいく。

 周りの会話は、まだ止まらない。


「なんでもリーダーはまだ若い青年だとか……」


 まさか……


「一味が計画を企ててある所に集まっているところを襲撃されたとか」


 やめろ……!


「しかし……まだ子持ちの奴らもいるんだぜ。なんとまあ容赦がないな天使……」


 やめろ!


「きゃああああああああああああああ!!」

「!」


 進めば進むほど、俺の中の予感は徐々に膨らんでいく。

 そしてそれはやがて……


「おい! 建物が燃えているぞ!」

「早く! 水だ! 水を持ってこい!」

「いくらなんでもやりすぎだろ……!」


 沢山の人が視線をひとつに向けた先。

 そこにあるのは一つの大きな建物であった。

 主にそこは一時的に部屋を提供し、料理や娯楽品を出してくつろがせるところ。

 それが天使の監視から逃れて集まるところとなっていたのた。


 しかし、今ではそこは轟々と赤い炎が建物を飲み込み、燃やし尽くしていた。

 この建物はまさか……


「……駄目だ…………!」


 俺の中の嫌な予感はもはや確定している。


「駄目だ!!」


 俺は考えるよりも先に燃え盛る建物の方へと向かって行った。


「おい、何をしている!」

「!」


 だが、俺が建物へ向かおうとしたところを、近くにいた青年が俺の手を掴んで引きとめていた。


「危ないぞ! なに燃えている建物の中へ入ろうとしているんだ!」

「放せ……!」


 一刻も早く俺は……

 青年が俺の腕をつかむがかまわん!

 構わず俺は脚を動かして建物へと向かう。


「おいやめろ! お前まで焼け死んでしまうぞ!」

「かまわん! 放せ!!」


 これが夢なのか現実なのかわからない。

 しかし、ここで起こっている出来事がもしあの事件だったとしたら……


「誰か! 誰か!! この男を取り押さえてくれ!」

「お、おいなんだ! 何があった!」

「ちょっと! 危ないことをしないでほしいよ!」


 やめろ。次々と来るな……!

 いくら俺でも……この大人数では…………!


「やめろ……はなせ……!」


 頼む……放してくれ……!

 おそらくあの中には……あの中には……


「放せぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええ!!」


 その時だ……


 ピシッ!


 と、言う音とともに……


「……………………?」


 なんだ…………?

 急に静かになった……?

 いったいなにが……


「…………!?」


 なんだ……これは……!?

 人が、炎が、呼吸が、いや……

 時間が止まっている……!?


 いきなり発生した事態に、俺は強制的に落ち着かせる羽目になった。


「これ以上はさすがに駄目ですね」


 いきなり周りが止まりだしたことに戸惑っている最中、急に上から男の声が聞こえだした。

 この声は……


「大丈夫ですか? まずはどこからやればいいのかわからなくて……」

「…………!」


 俺は覆いかぶさる人を除けて、声が聞こえる方、つまり頭上に視線を向けた。

 そこにいたのは……


 青を主体とした軍服のような服装。

 透けるほどに白い髪。

 背中にある半透明の淡い翼。


 こいつは……


「四輝天使の一翼…………青天使ブルー!?」


 なぜだ、なぜここにきて奴がここにいる!?

 そもそもなぜ俺は神が人類を管理する都市にいる!?

 それ以前になぜ、


 十数年も前の都市にいるんだ……!?


 それに、今の事件……ある集団が天使に罰されたこと……

 これはいったい……


「疑問が多すぎて、なにから訊けばといった様子ですね」


 青天使は俺の様子からして何が言いたいのかを察した。

 俺の抱える疑問に青天使は答える。


「そうですね。まずはなぜあなたがここにいるのか、の説明ですね」


 青天使は周りに人間を見渡して、焼けた建物を見ながら説明した。


「本当のことを言うと今ここにいるのは現実ではありません」

「なに?」


 現実ではない、だと?

 しかし、それにしてはずいぶんと夢のような曖昧さはなく、現実味を帯びていたようだが……


「これは僕のもつ力の一つ、【神託(オラクル)】。本来はある特殊な力を持って生まれた人間に対し、道を踏み外さぬよう神様が助言をするための技ですが……」


 青天使はこちらを複雑な表情見て続ける。

 その表情は何を語るのかわからない。


「使い方しだいでは、このように現実味を帯びた、夢とは似て非なるものができあがるのです」

「……そうか」


 つまり今のはこいつが俺に見せた物と判断していいだろう。

 だが、


「どういうつもりだ。なぜここにいるのかは今さら聞かないとして、なぜ俺にこいつを見せる必要がある」


 今俺の前で起こっていた事件。

 それは実際、十数年前に実際起こったことであった。

 当時俺はまだ、十にも満たない幼い子供ではあったが印象は深かった。

 なぜならば……


「この事件が原因であなたはご両親を失い、孤独になってしまった」

「…………!?」


 この青天使は、さも当然に知っているかのように語り、俺は不愉快を感じた。


「知ってのとおり、この事件はわれわれ天使たちが度を越した過激な介入の始まりみたいなものでした」


 そうだ。これが原因で神に対する不安を持つものが急増した。

 この事件が、俺たちのような反逆者が出来上がるきっかけとなったのだ。

 が、


「どういうつもりだ。俺の辛い過去を掘り出して、何がしたい」


 俺はこの天使がしたい事がわからなかい。

 そもそもこの天使は何が目的だ?

 俺たちに立ち向かう様子ではなさそうだが……


 青天使は落ち着いた様子で静かに話しかけた。


「落ち着いてください。僕がここへ来たのはマゼンタ、あなたとお話をするためです」

「なに?」

「僕がここへきたのは神様の命令ではない、全くの私情なのです」

「…………」


 こいつも……緑天使と同じような理由で来たのか。

 しかし、それにしてはなぜ俺個人と……


「あなたに……本当の事を話すために、このようなことをしたのです」

「…………待て」


 この事件は、俺が神に対し反逆をするきっかけとなったことだ。


「今さらそんな話をしたところで、お前等がこのようなことをしたことに変わりがないのなら俺も考えを変えるつもりはない」


 なにがどうであれ、俺の両親はここで死んだことに違いはない。

 今さら変えることなどできはしないのだ。


「別に、僕はこの事件の事について本当の事を話すつもりではありません」

「なに?」


 どういうことだ?

 俺にこんなものを見せて本当の事はこれではないだと?

 ならばいったいなんだ?


「僕が話したいのは、あなたの第二の親についてです」

「!?」


 第二の、親だと!?


「あなたの第二の親がいったい何者なのか、なぜあなたの前から姿を消したのか、そのことについて本当の事を……」

「いや、待て!」


 なぜだ……なぜこいつが……そのことを知っているんだ!?


「お前……ディースの事を知っているのか!?」

「……それは、懐かしい名前ですね」


 青天使の表情は……本当にどこか懐かしく、それでいて憂うような様子だ。

 その様子からして嘘ではないのだろう。


「僕はその方について、あなたが知らないことを知っています。つまり……」


 青天使はその後を続けずにこちらを見た。

 暗に、話を聴くか、聴かないか、どうするのだと言う意味だろう。

 正直、この天使の話をわざわざ聴く必要はないし、すべてを信用するには足りない。

 だが……


 ……この天使は俺をここまで育ててくれたあの男の名前を知っている。

 ならば…………


「……話を聴こう」

「……ありがとう」


 ここはどうしても切り捨てることはできなかった。

 俺にとってこれは理屈で切り捨てられる問題ではなかった。

 だから俺はこの天使の話を聴くことにした。


「ではまず、目の前の事件の事について詳しく説明します。何事も順序がありますので……」


 青天使は一瞬気遣うようにこちらを見るがこちらは別にかまわない。


「構わん。続けろ」

「はい、では……」


 青天使はの合図とともに、止まりだした周りが動き始めたのだった。

マゼンタの過去とは……

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