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コンプレックスな反逆者たち  作者: ゾンビ―鈴木
第三章・竜と狩猟の世界編
75/114

少女の願い

三者三様、それぞれが動き出す中……

それでは、どうぞ

  Side:藍


「はあ!? なんじゃここは!?」


 なんとか空を飛ぶ鳥もどきな竜を倒したオレは、限界範囲から出るギリギリで何とか謎の音を追跡することができた。

 そんでもって途中から人数が増えるとしばらく止まったのちに急加速して移動したため追いつくのに結構な体力を使ってしまった。

 まあ、また変な竜に遭遇してしまったんだがそれはまた別の話。


 で、オレが今いるのは、横幅が広くて縦に長くてそれでいて側面が絶壁のとてつもなくでかい岩山であった。

 オレは耳を澄ましてみると……


「……頂上から、声がする」


 ってことはあいつらここを登ってそのてっぺんに住んでいるってことか。

 だったら上等じゃないか。


 オレはいったん屈伸とか伸びとかして自分の身体を軽く動かしていくと……


「行くぞ!」


 オレは岩山の絶壁に向かって走り出したのだった。



――――――――――――――――――――――――――――――――――



  Side:黄


 今頃シアンはどうしているのかしら……

 あいつ、いろいろと何も考えずに突っ込んでいくことがあるからね……

 まあ、あたしの方も今の状況……


「さあ小娘。貴様たちはいったい何者で、なにをしにここへ来たのか話してもらうぞ」

「…………」


 ……あんまり大丈夫とは言い難いけどね。

 ここは、マゼンタが眠っている治療室ではない。

 洞窟内の、特に大きい部屋。そこであたしに対して三人の人竜族のおじさんがあたしと向かい合う形で話し合っていた。


 シアンが出て行った後、人竜族の大人たちが入ってきて、開口一番にあたしに向かってきてこういってきたのだ。


『小娘、貴様に話がある。ついてこい』


 とのことだった。

 おそらく昨夜の戦いであたしたちの力を直接見たもんだから疑問に思ったんだろう。

 それに今のあたしたちはかなりグレーな所だ。なんせ種族は人間。しかしあたしたちは普段からこいつらが憎んでいる人間とはちがうからね。

 まあ、異世界からきた人間だからって説明、素直に信じてくれるかわからない。

 が、ここは白黒ハッキリさせたいところだろう。

 いい加減得体の知れない奴らを自分たちの住処へ置いていくわけにはいかないからね。


「どうした! 黙ってないで話さんか!!」

「……一つ、訊いていいですか?」

「……なんだ」


 さて、どうしようか。

 あたしはマゼンタほど口がうまいわけじゃないからね……


「もしも、あたしたちの目的があなたたちにとってろくでもないものなら……どうします?」

「なに?」

「あ、あくまでもしものはなしです!」


 いちおうしっかりと前置きを言って仮定の話を言うと……

 …………うわ、

 このおじさん人を探る眼でこっちを見ている。


「……その時は簡単だ。貴様らを殺すまでよ」

「…………」


 ……………。

 簡単に和平交渉じゃいかないわね。


「では、もしもあたしたちの目的があなた達とは無関係でしたら?」

「…………」


 あたしたちの本来の目的は歪んだ空間の力場(ゲート・スポット)を見つけ、そこの次元の穴に入ること。

 そして、一刻も早く神の元まで行くことなのだが……


「……その時も簡単だ」


 おじさんは何の迷いもなく言った。


「貴様ら人間は、とっとと我々の住処から出ていってほしい。そのための協力なら惜しまない」


 …………!

 以外にもおじさんは案に危害を加えないと言い出した。


「貴様らはたとえ人間だとしても我々と共に戦ったことに間違いはない。見逃すくらいなら構わないことだ」

「…………」


 なるほどね。

 もしそれなら歪んだ空間の力場(ゲート・スポット)探しに協力してくれるかもしれないし、あたしたちにとっては好都合な話だろう。

 しかし……


「…………」


 リュチェちゃん……

 以前のあたしたちならともかく今はリュチェちゃんの言ってたことを護らないといけない。

 つまり、人竜族と人間の関係をこのままにしておけない。


 なら、追放されるのも得策じゃないな。

 どうしようか……


「……わかりました。あたしたちの事について、話します」


 ああもう、うまい方法が思いつかないわ。


 現在、シアンの帰りが遅いってことはどこか……人間について何か重要な所に行けてるのかな?

 マゼンタは今だ目を覚まさない。確かに怪我の数は多いんだけど……切り傷だし、起き上がれないわけはないと思うんだけど……

 なら、あたしにできることは……


「ただし、ひとつだけ言わせてください」

「なに? なんだ」

「あなたたちの事についても教えてください」

「…………?」


 なんとか人竜族についての情報を引き出してみないとね。

 リュチェちゃんからだとわからないこともあるからね。

 まあ、そううまくいくとは思わないが……


「……まずはそちらから話せ。おれらの事などそれからだ」

「……はい」


 まあ、追い出されると言ってもさすがにマゼンタが起き上がらないうちはないでしょ。

 ならばそれまでに何とかしないと……



―――――――――――――――――――――――――――――――



  Side:リュチェ


 おねーちゃんが……とうとうおねーちゃんが行っちゃった……

 あの中に、おとーさんがいなかったけどほかの大人の人がおねーちゃんを連れていっちゃった。

 ほんとうならボクが引き留めようとしたんだけど……


『大丈夫よ。別にあたしはそう簡単にはやられないから……』


 おねーちゃんは笑顔でそう言ってたけど、本当に大丈夫なの?

 だって、おにーちゃんが帰ってこないのに何でそう信じていられるの?


『だから、リュチェちゃんはマゼンタを看てて』


 そういわれても……おねーちゃんがひとりで行っちゃうのは安心できないよ。

 ボクはそう言ったのに、おねーちゃんは……


『お願い。だってこいつ……寂しがり屋なんだから』


 …………。

 だったら仕方がないね。

 だからボクはひとりおじちゃんを看るためにここに残ったんだけど……


「おじちゃん……」


 おじちゃんの顔……さっきからずっと静かだよ……

 全く動かない。まるで……まるで……


「おじちゃん……早く目を覚まして……」


 死んじゃダメだよ、おじちゃん。

 おねがい。死なないで……


「おじちゃん……!」


 おにーちゃんも、おねーちゃんも、頑張ってるんだから……

 だから…………!


「ぐ……うぅ…………」

「! おじちゃん……!?」


 ほんのわずかだけど、今おじちゃんの声が……

 もしかして、もうすぐ起き上がるの……!?


「ぐ……ああぁ…………!」

「!? おじちゃん!」


 ……ちがう。おじちゃんの様子がおかしい。

 なんだか、苦しそうにうなされている。


「おじちゃん! しっかりして!」


 おじちゃんがどこか苦しそうったからおじちゃんの手を取ったんだけど……


「熱っ!?」


 な、なんなの……!?

 おじちゃんの手が……熱い…………!?


「ぐ…………うぅ…………!!」

「おじちゃん……!」


 おじちゃん、しっかりして!

 まだボクは……おじちゃんに……おじちゃんに……


「ありがとうって言えてないんだから……!」


 おじちゃん…………!

マゼンタに異変が……!?

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