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コンプレックスな反逆者たち  作者: ゾンビ―鈴木
第三章・竜と狩猟の世界編
65/114

発見。しかし……

 Side:紅


「おじちゃんたち! もうそろそろだよ」


 さて、どうやらもう少しで少女の故郷が見えてくるのだが……


「……! マゼンタ。イエロー」

「「?」」


 突然シアンが耳元に手を当ててきた。

 この仕草は……


「シアン……まさか……!」

「……誰か来るのか?」

「ああ、すごい勢いでこっちに来てる……!」


隣で少女が「え? お、おにーちゃん……どうしたの?」と少女が言ってくるが、シアンは全くその声を聞いていない。


「……! どういうことだ!? なぜ……!」

「シアン、どうした? 何だ……!?」


 シアンが信じられない様子で耳を澄ましていると……


「リュチェ――――――――――ッ!」

「「「!?」」」


 はるか上空から野太い男の声が聞こえてきた。

 俺たちは声のした方角に驚き、視線を真上へと向けた。

 ただ一人、少女だけは違う驚きであった。


「! この声って……!」

「…………!」


 まさか、少女の知り合いか……?

 やがて、音はだんだんと近づいてくる……!」


「リュチェ――――――――――ッ!」

「お…………おとーさん!」

「「「!?」」」


 現れたのは、少女と同じ金の髪に褐色肌の中年の男性だったのだが……


(シアン。あんな生き物、見たことあるか?)

(いや……まったくない……!)


 そう、その中年の男性は、姿かたちはほとんど人間と変わらないのだが……


(に……人間って背中に翼なんかあったっけ!?)

(いやないだろ)


 ……その男性の背中の部分に、大きな翼が付いているのだ。

 天使のそれとは違う、コウモリのような翼である。

 おそらくそれでここまで飛んできたのだろう。


「リュチェ! 大丈夫か! どこか怪我はないか!」

「おとーさん! ボクは大丈夫だよ! おじちゃんたちに助けてもらったから!」

「なに…………?」


 少女の「おじちゃん」という言葉を聞くと、男はこちらを見て……


「き……貴様等……!」

「「え?」」

「…………」


親の仇を見るような険しい表情になった。


「リュチェ! こっちへ来なさい!」

「え? おとーさ……きゃ!?」

「「…………!」」


 男は少女の腕をつかむと強引に引き寄せた。

 その乱暴なやり方にシアンとイエローは反感を抱く。


「おい! 何をしているんだ!」

「ちょっと、その子痛がってるじゃない!」

「うるさい! 貴様等やはり奴らの仲間か!」

「なに?」


 奴ら? 誰のことだ。


「いったいどんな手を使ったかは知らないが……人の身でわれらと同じ姿に成りすまして娘を騙そうとするがそうはいかんわ!」

「「「???」」」

「おとーさん!? 何を言ってるの!?」


 いったい何を言っているかはさっぱりとはわからない。

 ただ一つわかるのは……


「皆の者! こいつら、我らのふりをして娘を騙そうとした不届き者だ! 引っ捕らえろ!」

「おとーさん! やめて!」


 こいつら、誤解付きで俺たちのことを敵対しているようだ。

 男の合図に周りからどんどんと、同じ者たちが現れてくる。

 共通しているのは、金の髪、褐色の肌、そして大きな翼だ。


「おいおい、どうするんだマゼンタ……!」

「最悪の状況だな。ただでさえ疲労困憊だってのに……!

「それだけじゃないわ」


 イエローがどうしようもない表情で周りを見つつ言う。


「この人(?)たちは悪いことをしているわけじゃない。誤解しているけど娘を護ろうとしているだけよ」

「……それじゃあ……もう…………!」


 さすがのシアンもこの状況でできることが一つしかないと悟った。

 それは……


「…………」

「…………」

「…………!」

「ほぅ……抵抗しないのか。いい判断だ」


 下手に抵抗しようとしてもどうしようもない。

 おとなしく捕まることにするのだった。


「待って! おとーさん! べつにボクは……!」

「黙れ!」

「!」

「俺に黙って勝手に外出したんだ! 今日は一日家でおとなしくしなさい!」

「でも……!」

「リュチェ!!」

「…………!」


 少女も少女でなす術などないのだった。

 俺たちの周りに男どもが集まっていく。


「貴様等……少しでも妙な真似でもしてみろ」


 少女の父親であろうその男は俺を拘束しながらこう言い放った。


「ただでは……済まさないからな」

「…………」


 シアン……イエロー……

 二人とも同じ表情をしている。

 どうしようもないこの状況に……苦い顔をしている。


 だが、歪んだ空間の力場(ゲート・スポット)の手がかりがない以上。

 ここで逃げたところでまた振り出しだ。

 それどころか、不休で空腹のままでは体力が持たない。

 ならばせめて、よほどのことがない限り……

 ここはおとなしく、捕まるとしよう。


「連れて行け! リュチェ! お前はこっちだ!」

「いや! やめて! おじちゃんたちを連れて行かないで!」

「静かにしろ!」


 パシッ!


「うっ……!」

「さあ、とっとと行くぞ!」

「うぅ……おじちゃん……」


 ただ、連れて行かれる中、後ろから響いた少女の叫びは……


「おじちゃぁぁぁぁあああああああああああああああああああん!!!」


 ……悲痛としか言い表せないのだった。



―――――――――三人が謎の集団に連れて行かれている最中―――――――――――



  Side:???


 神様……


 神様……ひとつ許してほしいことがあるのです。


 どうか僕に、あることを行うための許しがほしいのです。


 はい。その内容は……


 ………………………………………………


 ……だめ、ですか。


 それは……そうです……


 僕は今でもあのことを忘れていません。


 いえ、誰も悪くないとか僕は悪くないとかのいうわけではありません。


 ただあの者たちは運が悪かったと……言いたくはありません。


 ……本当に運が悪いのは……残された子供の方ですよ


 僕は……あの日からずっとあの子の泣き声が聞こえてくるのです。愛する者の死が、このようなことになった理不尽さが……


 それなのにあの子は泣きません。表に出さないのです。


 それが、時間をかけて……あんなことに……


 僕は……そろそろこのことに決着をつけないといけないのです。


 ……なぜ今になってそう言うのか、ですね。


 ……ある少年に、こういわれたからです。


『生きている人に償うことはできるんだ。ならばそれでいいじゃないか』と、


 ……はい。


 神様、償いとは本当にできることなのでしょうか。


 かつての僕はそれができると信じて、そのことにすべてを尽くしました。


 しかしそれは……叶わぬことでありました。


 だとするならば、僕は……


 ……え!?


 ……本当ですか! ありがとうございます!


 ……はい。


 必ず、答えを見つけていきます。

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