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コンプレックスな反逆者たち  作者: ゾンビ―鈴木
第三章・竜と狩猟の世界編
63/114

初めの出会い

突然の悲鳴、いったいなにが……

それでは、どうぞ

  Side:藍


 突如聞こえてきた悲鳴。

 オレたちは【三位一体トリニティ】で声がした方へ走り続け、やがて森から湖へ出ると、その湖のほとりの所……


「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

「いやあああああああああああああああ!!」

「「「!!」」」


 おとぎ話にある民族衣装のようなものを身につけ、褐色の肌に金の髪をした、まだ十にも満たない幼い女の子がその数十倍は大きい竜に襲われていた。

 どうやら竜はこの女の子を狙っているようだ。


「シアン。どうする」

「決まっている! あの女の子を助けるぞ!」

「そうか」


 そうとなれば……と、走り出そうとした瞬間。


「グワァ……………!」

「ひっ……!」

「「「!?」」」


 竜は口を閉じ、大きく息を吸い込んだ。

 あれって……


「……!? まずい!」

「マゼンタ!?」


 何か気が付いたのか、突如マゼンタが走り出した。


「おい! マゼンタいったい何を……」

「来るな!」

「「!!」」


 あとを追いかけようとすると、当の本人に止められた。

 いったいなぜ……と、思っていると。


 ゴオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!!


「「!?」」


 竜の口から火が放たれ、マゼンタと女の子を飲み込んだ。

 そうか! たしかおとぎ話では火を噴くやつもいた……!

 轟々と放たれる炎……あれに触れたらひとたまりもない!


「マゼンタ!!」

「ちょっと! 無事なの!?」


 オレとイエローが心配になって呼んでみると…………


「大丈夫だ!」


 マゼンタ……無事なようだ。

 女の子の方もマゼンタが身を挺して庇ったことにより、火傷ひとつない。

 なんとか二人にけがは無いようだ。


「グル!? グルァ!!」


 竜も竜でまさか無事で済むとは思わなかったようで激高したようだ。

 まずい……!


「く……!」

「!?」


 その後、マゼンタは女の子を抱きかかえ、すぐさま竜のもとから離れようとする。

 しかし……


「グアアアアアァァァァァァァァ!!」


 竜は逃がすまいとマゼンタたちを追いかけようとする。

 そんなことはさせない!


「イエロー!」

「わかったわ! お願い!」

「ああ!」


 オレは【音速移動クイックムーブ】ですぐさまマゼンタと竜との間に割り込み……


「オラァ!」

「ガッ!?」


 大口を開けた竜の口内に……


「ガァァァァァァアアアアアアアアアア!!」


 音叉刀スイングフォークを口内から下へ突き刺した。

 そして……


「『ァァァァァアアアアアアアアアアアアアア!!』」

 キィィィィィィィイイイイイイイイイイン!!

「ガァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!」


 オレの声を音叉刀から伝い、竜の体を振動させた。

 その不快な状態により、竜は一時的に怯む。

 そこへ……! 


「【冷可視ひやかし】!」

「グル!?」


 安全なところまで逃げたマゼンタの【冷可視ひやかし】により竜は足を凍らされ動けなくなる。

 よし、今だ!


「イエロー! 頼んだぞ!」


 オレは音叉刀を引き抜き、すぐに竜から離れる。


「了解! 【引する重力の爆弾(グラビトンボム)】!」


 そこへ、イエローは先ほどから力をためて、【引する重力の爆弾(グラビトンボム)】を動けなくなった竜へ向けて放った。

 手から離れた黒い球体は竜のもとへ着くと……


 グオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォ!


「グ…………」


 急速に膨張し、竜を飲み込んだ。

 そして、球体と共に飲み込まれた部位は消えてしまったのだった。


「ふう……」

「何とかなったわね」


 女の子は……無事なようだ。

 なんとか救出はできたようだ。

 しかし……


「……やっぱりその技は反則的だな」


 相変わらずイエローの能力はすごかったのだった。


「そう? でも溜めとか必要だし小さいものには躱されやすいし」

「……そうか」


 そこもやっぱり相性かな? 相性だよな……

 なんか複雑だ。

 と、ここで近くにいたマゼンタが女の子に怪我がないかどうか確認をした。


「……おい、大丈夫か?」

「…………!」


 どうやら女の子に目立った怪我はなく、何とか無事に済んだのかと思いきや……


「…………!」

「あ、おい」


 女の子はオレ達やマゼンタの顔を見ると一目散に逃げ出したのだった。

 おいおい、せっかく助けたってのに……


「……なんだったんだ?」

「……あの少女。俺たちが力を使う所を見てしまったから……」

「あたし達が怖かったってこと?」

「そうか……」


 イエローの言ってることもそうだと思うが……


「……いや、違う」

「なに? シアン。何が違うんだ」

「ああ、もう一つ思う所があるんだが……」


 さっきの女の子、マゼンタの顔を見るなり逃げ出した。

 おそらくだが……


「マゼンタの顔が見るに堪えないんじゃ「やかましい」(ドスッ!)ごほっ!」


 ちょ、そこはお腹……!


「まあ俺の場合、炎で焼かれたはずが平気だった。怖気づくのも無理はない」

「ああ……そうね」


 ……たしかにそれは吃驚するよな。

 それにマゼンタの【冷可視ひやかし】やイエローの【引する重力の爆弾(グラビトンボム)】も驚くだろうし。


「どうするんだ? これから」

「そうだな。まずは近くに村がないかどうか探す」

「わかった」


 と、オレは【広範囲音源感知サーチセンス】をしようとイヤーマフラーに手をかけようとしたのだが……


「ね、ねえ……」

「ん?」


 突然後ろから声が聞こえてきた。

 振り返ると……


「? さっきの女の子?」


 先ほぼ逃げていっちゃった女の子がなぜかこちらへ戻ってきたのだった。

 ただし少々……怯えている。


「なんだ、別に逃げたことに関しては怒ったりしない」


 マゼンタの物言いに女の子は「…………!」と少しだけ驚いていた。

 お前もう少し言い方があるだろ。


「え、えっと……おじちゃんたちにお礼を言いたくて……」

「おじちゃん……」


 女の子の『おじちゃん』発言によりマゼンタは何とも言い難い表情をしていた。

 そこまで老け顔じゃないんだけど……


「おじちゃん……マゼンタが……おじちゃん……」

「まあ……ずいぶんとした体形のおじちゃんね……」

「おいお前ら。それ以上言うな」


 はぁ、とマゼンタはため息をつくのだった。


「じ、じゃあ……おじちゃんに、おねーちゃんに……おにーちゃん?」

「なんでオレだけ疑問形なんだよ」


 いくら背は縮んでもお前よりはあるよ。


「さっきはボクのこと助けてくれて……ありがと!」

「……別にいい。仲間がそうしたいだけだ」

「こら。まったく、素直じゃないわね」

「そうだ、マゼンタ。お前はもっとな……」


 その時だ。


 ぐぎゅるぅぅぅぅっぅうううううううううう……


「「「…………」」」

「…………?」


 誰かの腹の音が鳴った。

 それは主に……


「マゼンタ。もう少しだけ空気を読め」

「無茶を言うな」


 こんどこそマゼンタの腹の音なのであった。

 と、ここで……


「おじちゃん、お腹がすいていたんだね」

「あ…………」


 女の子がクスクスと笑いだした。

 おいおい、せっかくいいところを……


「じゃあ、助けてくれたお礼に……」

「ん?」


 と、女の子がある方角を指差すと……


「あっちの方にボクの故郷があるけど、どう?」

「なに?」


 突然の申し出に、少しだけ戸惑ったが……


(どうする。マゼンタ)

(そうだな。ここままあんな怪物がうろうろしている森をさまようよりは……)

(それに、あの女の子を放っておいたらまた襲われそうだし……)

(よし、決まったな)

「?」


 と、言うわけでこのとんでもない生き物のいる世界でオレ達は……


「それじゃあ、お言葉に甘えて、案内してくれないか?」

「あ……うん!」


 初めての村へと行くのであった。


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