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コンプレックスな反逆者たち  作者: ゾンビ―鈴木
第二章・銃と機械の世界編
58/114

答え

イエローは何を言うのか

それでは、どうぞ

  Side:黄


「神を倒した後一体どうするのか……」


 あたしは思った。

 あたしが神を倒す理由。

 やっぱり一番は仲間を死なせないため。

 そして、第二の理由

 それは、人類に管理は必要ないとされること。


「決めたわ、神を倒し、人類を解放した暁には……」


 神が人類を管理するきっかけ。

 五十年前の戦争。

 荒れ果てた世界。

 そして、


(人間に憎悪した神……)


 ならば、あたし達を含めた人類に見せておくものがある。


「外の世界へと進むことよ」

「!」

「ほう……」


 あたしたちの元の世界。

 それはドーム状に覆われた都市しか見ていなかった。

 話に聞いたのは戦争により荒れ果てた世界だということ。

 けど実際には見たことはない。

 だからどんな世界かは解らない。

 だから……


「外の世界へと進み、もう一度世界をやり直すことよ!」


 五十年前の戦争。

 その時の人類はどういう判断をして戦争をしたかはわからない。

 でも……


『しかし、神の管理から放たれ、もう一度戦争をする場合はどうするかね』

「それはあるかもしれない。でも、五十年前と同じになることはないわ!」

『なぜそう断定して言えるのかね』

「それは…………」


 神も言っていた。

 自分が管理しないと人はまた戦争するって。

 でも、そうとは限らない! なぜなら……


「五十年前の戦争、最終的に人類は神に負けた。負ければ冷静になって何がいけなかった解るはずよ。そうなれば同じ過ちを繰り返そうとはしないはずよ」


 同じ過ち……


「そのための外の世界よ」

『……………』

「まず人類は……あたし達を含め、まずは外の世界を見るべきなのよ。まずはそこからよ。あたし達を含めほとんどの人類は外の世界を知らない。だからこそ、そこを解放する必要があるのよ」


 この世界だってそう。

 初めて見たときは驚きしかなかった。

 人のいない世界がこんなにさびしいとは思わなかったわ。


「たとえどんなに荒廃した世界であろうとも、そこから見て何も学ばないことなどないんだから」

『……………』

「今の人類は荒廃した外の世界を見れば、いかにそれをもたらした先人たちの行いの恐ろしさを知るはずよ。同じ過ちなど起こさせはしない」

『しかし、急に自分たちの居場所を失った人類は何をすべきかと迷うのでは?』


 まあそうね。

 いきなり管理されなくなりました、だと驚くわよね。

 でも……


「ゼウス。とりあえず(・・・・・)の目標は決まったけど、解放された人類をどうするかなんて決めるのはその人その人よ。あたし達は別に解放された人類の王になるつもりはないわ」

『なんだと……!』


 それだと前とあまり変わらないわ。

 生き方を決めるのは……たくさんの人たちよ。


『それで……それで世界はやり直せるというのかね……!』


 ゼウスが声を荒げている。

 まるで「お前の言ってることは容易ではない、簡単に口にするな」みたいだね。


『人間がいる分まだいいが、もしその世界がこの世界同様の荒れ果てた世界ならどうするのだね!』


 この世界……

 マゼンタの言ってたことは正しかったのね。

 そしてゼウスもそれをわかっていて……


「それでも……世界はまだやり直せるかもしれないわ」

『……何故そう言いきれるのだ!』


 ……叶わないと諦めたんだね。

 でも……望みはあるのよ!


「それはね……これがあったからよ」


 と、言いあたしはジョヌが残した置き土産を取り出した。

 それは……


『……! 君はいったいどこでそれを……!』

「違う世界からの贈り物よ」


 それは手の平サイズの小さな袋だった。

 その袋の中にはぎっしりの土と、


「この世界を蘇らせる、もう一つの“種子”よ」


 芽を出して間もない植物の苗だった。


(あいつ……こんな置き土産を残すなんてね)


 マゼンタは言ってた。


 人間を蘇らせてはいるが、それだけではだめだ。

 世界を蘇らせる……緑が必要なのだと。


「ゼウス。あんたの機械でこれを育てて、緑を蘇らせてみない?」

『緑が……蘇るのか……!?』

「それはあんた次第だけど、ほら、これとマゼンタの言ってた……」

「デメテル」

「そう、デメテルでもう一度世界をやり直してみない?」

『……世界は……この世界は、やり直せるのか……!』

「ええ、だってここに、やり直すための鍵があるんだから……」


 気が遠くなるほど時間がかかるかもしれない。

 でも……


「諦めなければ……きっとやれるわ!」

『ああ……ああ……!』


 ゼウスは顔があったら涙を流していたであろう感嘆な声で言った。


『もう一度……! もう一度我らと人で……!』

「ええ、素晴らしい世界に蘇らせて」


 あたしは決めた

 神を倒し、人類を蘇らせたら、世界を蘇らせようと。

 そう……これは……


『神はなぁ、愛する者を奪った人間どもを強く憎んでいたんでぇい』

『はっ! 決まってんだろ! そいつはな……世界と呼ばれていたものさ』


 もともとの始まりは世界を破壊した人類。

 私たちはそれを償う必要が……あるんだから。

 そして……


「どう? シアン、マゼンタ。これがあたしの決めた反逆の先の事よ」

「イエロー……」

「私たちは忘れてはいけないわ。世界の大切さを……」

「世界の大切さ……」

「今度は人類にそれを教える必要があるわ」

「随分壮大な話だな」

「そうね……」


 世界は広いわ。

 どれくらいあるかわからない。

 でも……


「もう、神のような……悲しませるものを出さないためよ」

「そうか……」


 シアンは真剣な顔になって何かを考え出した。

 マゼンタは……よくわからない無表情のままだった。


(二人は……どう考えているんだろう……)


 ゼウスの問いかけ。

 それは、あたしなりの答えを出して、終わったのだった。

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