走行戦
Side:藍
現在、オレ達はアテネが操作する『おーとばい』の『さいどかー』とやらに乗り、研究所へと目指している。
とはいえ、この『さいどかー』とやらは狭く、三人では入りきらないので……
「ちょ、なんでオレがマゼンタに肩車されないといけないんだよおおおおおぉぉぉぉぉぉ!!」
「大声を上げるな。しっかり掴めなくなるだろ」
「うおおおおおお、か、風があああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………!!」
マゼンタに肩車され、イエローとで何とか入りきった状態であった。
風圧で顔がかなり辛いくせに、マゼンタが飛ばされないようにしっかり掴んでいる。
「なんでオレなのおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ………!!」
大声でさけばずにはいられなかった
風で自分の声が消えそうだと思ったからだ。
「小さいから、風を受ける面積も狭いし、肩車しやすいからだ」
「そんな理由かよおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ずいぶんと消極的な理由で選んだな、おい!
「……! 気を付けて! 後方と上空から敵が来る!」
「なに!?」
「なんだと!?」
アテネの言葉に反応する。
上を見てみると……
「侵入者発見。侵入者発見」
飛行型のロボットがいた。
それだけじゃない。
マゼンタが体を回したのでオレも後ろを見てみると……
「なんだあれは……?」
アテネが操作しているおーとばいを若干形状変化させたものが俺達を追いかけていた。
誰も乗っていない、しかしひとりでに動いていた。
「侵入者発見。侵入者発見」
「迎撃セヨ。迎撃セヨ」
こいつらもロボットか。
と、ここでマゼンタが……
「おい。お前がいるから敵が攻撃してこないと思うか?」
そうか。
アテネもロボットだから攻撃される心配は……
「……それはないね」
え?
「なぜだ?」
「先ほど自分がロボットを一体破壊しましたので、自分もその対象に……」
そんな……だめなのかよ!
「シアン」
と、ここでマゼンタはオレに呼びかけてきた。
「なんだあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「俺は上の奴を何とかする。お前はお前で【音速移動】であいつらを何とかできるか?」
随分ぶっ飛んだ内容だった。
「……ずいぶんな内容だなあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ! できないわけはないと思うがあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「じゃあ頼めるか?」
「任せろおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
やるしかないや。
マゼンタがオレの足を掴む手を緩めると……
「【音速移動】!」
マゼンタの肩を踏みきって、後ろのロボットに跳ん……
「なに!?」
しまった!
空中は別だから、オレが空中にいる瞬間に、皆先へと進んでいった。
「なにを!」
すぐさまオレは地面に着いた瞬間に切り返して、皆の方へと走った。
しばらく、走り続け、何とか敵のロボットに追いついた。
おーとばい似の数は三つ。皆、すごい速さで走行中だ。
「こんなにも【音速移動】で走り続けるとは……」
すごい勢いで体力が底を突きそうだ。手早くやるか。
まずオレは【音叉刀】で一体目の胴体に深く刺し、
「はあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「……! 危険! 危険!」
そのまま声による共振作用により内部を揺すった。
「……! ………? ……!?」
「一か八かだが、ロボットにも聞いたな」
そのまま、【音叉刀】を抜き通り、蹴り倒した。
ロボットはそのまま起きることなくじっとしたままだった。
「まずは一体!」
と、ここで他のロボットが、
「危険! 危険!」
「機銃発射用意!」
ようやくオレの事を脅威と思ったのか反撃の準備をした。
ロボットは横の部分から手を出しそれをオレの方へと向けた。
ズダダダダダダダダダダッ!!
「!」
銃か!
オレは音速で走りつつも小刻みに動かして弾丸を躱そうしたが……
「うおっ!?」
いかんせん、ただでさえ走り続けるのは辛いうえに、こうして弾丸を避け続けるとさらに体力が減っていく……
「いかん、早くしないと……」
とにかく急がねば。
「シアン、避けろ! 【冷可視】!」
「!」
すると、マゼンタの【冷可視】により一体のロボットの一部を凍らせた。
そのままロボットは滑りながら転倒してしまい……
ドォ―――――――――――――ン!!
横の壁に激突し、爆発したのだった。
よし……あとは一体。
しかし、体力の限界も近い。
なら……
「てい!」
「!?」
オレはロボットに近づき、そのまま跨いで乗った。
乗り物型なら乗ればいいじゃん、と思ったのだが
「危険、危険。削除します」
「げ……」
すると、ロボットの手からケイロンの槍と同じく、回転する棘を出してきた。
オレは急いで音叉刀で、手ごと棘を切り落とし、
「そろそろかな」
走行中のロボットから降りつつも音叉刀で斬った。
ドォ―――――――――ン!
ロボットの爆発を背景にオレは急いでさいどかーへ戻った。
そして再びマゼンタの肩に乗り、一言。
「つ、疲れた……」
「よくやったな、シアン」
「すごいわね、シアン。よくあんなに走り続けたね……」
飛行型の方も終わらせたようだ。
「もうすぐ研究所よ。このまま突っ走るわ」
「わかった」
もうすぐか……そう思っていた瞬間
「待ちやがれー」
「「「!?」」」
なんだ!? 今の間抜けそうな声は!
声のした後ろを見てみると……
「殺してやるー」
「……………」
何やら人の上半身と、とんでもなく大きい下半身にごちゃごちゃと大量にガラクタを取り付けた者が、こちらを追いかけていた。
なんというか……すごい変な形をしたロボットだった。
しかし、そのロボットはというと……
「でかい……」
「ああ……」
とてつもなく大きかった。
下半身が大きいが全体的にも大きい。
「気を付けて! あれはアレスと呼ばれる機神よ! 機神の中でも上位に入るロボットなので!」
「また機神か……!」
あんな姿で上位かよ! とは思ったものの……
厄介だな……けど!
「イエロー! 【引する重力の爆弾】の準備は!」
「ええ! できてるわ!」
イエローは後ろを向いて、変な機神に向かって……
「【引する重力の爆弾】!」
放った。
しかし……
「跳んでやるー」
「!」
機神……アレスはそんな姿のくせして想像ができないくらい大きく跳んだ。
そして……
「飛んでやるー」
下半身の一部からものすごい勢いで炎を噴きだした!
「なに!?」
そのまま奴はすごい速さで、飛びやがった。
「イエロー! もう一回!」
「無理よ! 速すぎてうまく狙いが定まらない!」
なんだと……やっかいな……!
「殺してやるー」
そのままアレスはこっちへと突っ込んできたのだった。
まだまだ走るぜ。




