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コンプレックスな反逆者たち  作者: ゾンビ―鈴木
第二章・銃と機械の世界編
53/114

葛藤する者

  Side:藍


 まったくもってマゼンタの言う通りだな。

 はは、まだまだだなオレ。

 やるんなら胸張ってやらないとな。


 とはいえ神の事は後にして今はゼウスに会いに行かないとな。

 と、言う訳で……


「目的地ニ到着。着陸シマス」


 翼の箱はこのまま船の甲板(?)に到着した。

 さてと……


 このまま向こうにある研究所に行けばいいんだな!


「シアン、イエロー。いくら姿を消しているとはいえ、油断はできない。気を付けていくぞ!」

「わかった!」

「わかったわ!」


 しかしまあ、ずいぶんと遠くにあるんだな。

 翼の箱、もうちょっと近いところに着陸しろよ。

 そう思いつつオレ達はこの船の上で一番目立っている、研究所らしきとこへと向かったのだった



――――――――――――――――――――――――――――――



 そして、しばらく進んだところで……


「……! 来るぞ!」

「へ?」


 マゼンタの突然の声。

 いったい誰が……


「上だ! 上を見ろ!」

「上…………!」


 すると上からは……

 空を飛ぶ大きな人型の機械がこちらへ向かってきた。


「……!? これは……!」

「ああ、女人形が言っていた、ケイロンとは違う型の機神……!」

「でも……【熱幻ねつげん】と【無音化サイレント】の二つを使っているから大丈夫だよね?」

「……それはどうかな」

「なに?」


 すると向こうは……


「……! 生体反応アリ。警告、警告。侵入者ハ直チニ、ココカラ退去シテクダサイ。繰リ返シマス。直チニ、ココカラ退去シテクダサイ!」

「な、なにぃ!?]


 何でバレるの!? 視覚と聴覚以外に見つけだす要素があるの!?


「カウントダウンシマス。10……9……8……」

「やはり一筋縄でいかぬか。到着まではうまくいったのだが……」

「感心してる場合か! とにかく何とかしないと……!」

「……2……1……0……。侵入者、未ダ退去セズ。コレヨリ、排除モードヘ移行シマス」

「…………くっ!」


 正直、面倒な相手とは思っているんだが……やるしかないか!

 と、オレがそう思っていると……


「【引する重力の爆弾(グラビトンボム)】!」

「!」


 いつの間に力を溜めていたのか、イエローが【引する重力の爆弾(グラビトンボム)】を機神に向かって放った。

 膨張する【引する重力の爆弾(グラビトンボム)】により、大型の人型ロボットは……


 グオオオオオオオオォォォォォォォォォォォ!!


「ガ…………」


 体のほとんどを飲み込まれてしまい……


 ピ――――――――――ッ! ドォ―――――――――――ン!!


 残った部分が爆発したのだった。

 って、え…………?


「……………」

「……………」

「ふう、あらかじめ溜めておいて正解だったね。しかし、大きいからって強いとは限らないわ。むしろ的が大きくなって当たりやすくなったし」


 「「………………」」


 ……う……嘘だろ!?

 ケイロンの時は結構苦戦したというのに……!

 なんでこいつは……ケイロンとは違うとはいえ……一撃で……


「あれ、シアン。どうしたの?」

「……いや……何でもない……」


 なんか……虚しい……


「シアン。こういうのは相性の問題だ。イエローと機神とは相性がいいってことだ」

「ああ……」


 やっぱりイエローがいると全然違うね……


「よくわからないけど、早く進んだ方がいいわ! 今の爆発で気づかれたかもしれないし」

「…………そうだな、急ぐぞ」


 待ってろよ、ゼウス!



――――――――――――――――――――――――――――――



 ブゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウンンンンンン!!


「……! なんだ!?」


 向こうから何かが俺達に向かって走ってきた。


 ……キィィィィィイイイイイイイイイイ!!!!


「……! なんだ!?」


 そして、何かはオレ達の前に止まった。

 それは頭に被り物をした誰かが鉄でできた妙な物に跨って目の前に現れた。

 そしてその誰かは被り物に手を当て、被り物を脱いだ。

 そいつは……


「お待ちしておりました。皆さん」

「アテネ……!」


 完全武装をしたアテネが跨っていたものから降りて、こちらへ向かっていた。


「アテネ! これはいったい…………!」

「これは、お父様からの最後の試練であります。無事にお父様の元へたどり着ければ合格しますので」

「そうじゃなくてお前はいったい何を……!」


 案内役ならそんな武装はしないはずだが……


「正直に言いましょう。自分たちは今、混乱しているのです」

「混乱だと?」

「ええ」


 突然何を……


「今、お父様はここにいるロボットたちにあなた達を迎撃しなさいと命令が下っているの。もちろん、その中には自分は……いえ、自分達は入っているの」

「自分達って事は……」


 一括りでアテネ全員か。


「そしてお父様はこう言ったわ。『逆らう事は許されない』って」

「なんだそれは……!」


 いったいどういうつもりでそんな命令を……!


「自分達は今混乱している。命令を従わないといけないという気持ちと、従ってはいけないと言う気持ちを」

「お前は……」


 葛藤しているのか?

 ゼウスかオレ達かを


「自分たちはあなた達の覚悟を見た。言葉通り、身を削る思いでケイロンを倒した。自分たちはあなた達を認めた。それなのに、お父様は……」

「まだ俺達を認めず、今こうして迎撃しろと」

「ええ、そうよ……」


 ゼウスめ、なんか猜疑心で満ちてないか?


「自分はもうあなた達とは戦いたくない。しかし、お父様の命令には逆らえない」

「アテネ……」

「自分たちは今、いったいどうすればいいの? 何が最善なの……?」


 親に対する反抗と従順がせめぎ合い、混乱している。

 そんなアテネにオレは……!


「アテネ! そんなの…「甘ったれないで!」…!」


 イエロー!?


「そんな大事なこと、他人に答えを求めないで! 自分から何が良くて何がいけないかって? そんなの、自分で考えなさいよ!」

「自分で……」

「親だから従わないといけない? 何言ってるのよ! 言われたからで動くだけじゃただの人形よ!

でも、そうじゃないからあんたは迷ってるんでしょ!」

「それは……」

「正直、シアンやマゼンタがあんた達との間に何があったのかはわからないわ! でも、これだけは言えるわ!」


 イエローの言葉に耳を傾けるアテネ。

 そんな彼女にイエローは答えた。


「答えは自分で決めなさい! あたしたちの事もゼウスの事も抜きにして!」

「自分は……自分達は……!」


 その時だ、


「侵入者発見。侵入者発見。迎撃シマス。迎撃シマス」


 機神ではないが、それほどの大きさを持つロボットが現れた。

 ……!? まずい! 今ここで戦ったら……!


「……決めた。自分たちはこうするわ」

「アテネ……!?」


 アテネは装備しているたくさんの武器をひとつである、大きな筒のようなものをオレ達に……


「……! 危険! 危険!」


 ……ではなく、ロボットに向けて、何かを発射した。

 それはケイロンの時と同じ、爆弾だった。


 ヒュゥゥゥゥゥウウウウウンンン…………ドォン!!


 見事に爆弾が命中したロボットは……


「主要部分、破損。機能停止シマス」


 ピ――――――――――ッ! ドォ―――――――――ン!!


 破壊されたのだった。


「アテネ……お前……」

「不思議よ。まさか自分がこんなことをするなんて……」

「それが自分で考えた結果ってことよ」

「自分で考えた結果……」


 アテネ、お前は……


「行きましょう。これでお父様の元へ案内するわ」

「……これは?」


 なんだ?


「これはオートバイで、こっちはサイドカーって言うのよ。これらで急いで研究所へ行くわ」


 まあ確かにまだ研究所へは結構距離があるな。


「シアン。乗るのか?」

「マゼンタ」

「女人形の動かすものに乗るのかと聞いているんだ」

「それは……」


 やはり、どうも躊躇ってしまう。

 けど、翼の箱に乗って、あの研究所から出る時のアテネの顔。

 あの顔は……


「いいわ、乗りましょ」

「イエロー!」


 お前は乗るのか……!


「イエロー。女人形がまた心変わりしたらどうするのだ」

「その時はその時よ」


 ……なら!


「……オレも乗るぜ」

「シアン」

「早く研究所に着きたいしな」

「……そうか。お前等が言うなら信用しよう」


 ならば決まりだな。


「アテネ。操縦を頼むぞ」

「……わかった。あと……」

「ん?」

「信用して……ありがとう……」

「……どうも」


 オレ達はアテネを信じ、『さいどかー』に乗ったのだが……


「ちょ、お前等狭い!」

「文句を言わないでよ! だいたいマゼンタの身体が大きいからでしょ!」

「おい、俺が落ちそうだ。もっと詰めろ」

「痛たたたたたた!! ミシミシいってるって!!」

「ちょっと! 大体なんで一人分しか用意しなかったのよ!」

「……それじゃあ行くけど、振り落とされないようしっかり掴まってね」

「「「どこ(に)(だ)(よ)!?」」」


 ブゥゥゥゥゥゥウウウウウウンンンンンンン!!!


 すごい勢いで『おーとばい』は発進したのだった。

船かなり広いです

ええ、オートバイで移動するほど。

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