再出発
復活しました! ……かな?
それでは、どうぞ
もう一つの反逆の理由。
そうね、すこし昔話でもしようかしら。
突然だけど、あんたってさぁ。男は女より上だって思っている?
……へぇ「男だろぉが女だろぉが実力がありゃあ認められるものよ」ね。はは、あんたらしいわね。
そう言う実直なとこ、いいわ。でもね、
そう思っている馬鹿な男がいたのも事実よ。
……そうよ。腹立たしいことに……
戦争があった時代、それは男女不平等の時代だったのよ。
女は男より劣る? 誰が決めたのよ、そんなこと。
「だが神は男女平等を謳い、それを広めたんだぜぇ」って?
そうね。神に対する唯一の感謝ね。
でも、あたしが住んでいたところはそうでもなかったわ。
戦争が終わり、人類が一か所に集められる前の時代。あたしの曽祖父……つまり、ひいおじいちゃんはね、ある国の王様だったのよ
その国の名は……『オーキオストラ』
古い姓だけどね。
思い出した? そうよ。徹底的な男尊女卑の国だったらしいわ
なんせ、国にとって女は子供を産むための道具でしかなかったようだし。
末期の頃には女性革命者と男性国王軍との抗争が勃発して。そのせいで神に締められたらしいし。
え? 「お前ぇは戦後生まれだろうに、それがどうした」って?
そうね、むしろここからが本題よ。
神が造ったあの都市であたしの住んでいた地域はね、そのオーキオストラ国の生き残りが多く住んでいたんだけどね、そこの住民の多くの男は男尊女卑の思想が残っていてね。
「くだらねぇ」か……そうね。で、あたしの父は特にその傾向が強かったわ
怖いくらいに……
なにせ、男尊女卑の王国の元王族だったからよ。男が女より劣ることはないと思うような人だったの。そのせいで、母が産んだあたしは女だったことが、父にとっては不都合だったのよ
今思えば、嫌な記憶ね。
父はね、幼かったあたしにこう言ったの。『俺の子供が娘とは何事だ! そんなんじゃ男に舐められるだろ!』ってね
『おまえは今日から男だ! 男として生きるんだ!』ってね
……そうよ。とんでもない父親だったわ。
女の恰好をするな。男の服を着ろ。
髪を伸ばすな。短く切れ。
その言葉遣いは何事だ。もっと強く言え。
めそめそ泣くな。強気になれ。
思えばあたしは一度も……たった一度でも。
父がいた場所で、女にはなれなかった。
身長も比較的高く、ますます女になれなかった。
それでね、ある日外に出ると、男の子が女の子をいじめる光景が目に入ったのよ。それも、あからさまな暴力じゃなく、差別する言葉で……
……そう、天使の監視には引っかからなかったわ。
天使の監視はいつもどこかで抜けているわ。
見えないところは存在するし、犯罪に達っしないのなら傷つける言葉は無視される。
それでね、あたしは女の子をいじめる男の子にこう言うのよ。「女だからって舐めないで!」ってね。
喧嘩もして……勝ってしまったわ。
まあそれが原因で……
アニキって呼ばれ、女に好かれちゃうんだけどね。
でもね、とうとう目をそらせないことが起きたのよ
さらにひどいのはそこからだった。
胸がね……膨らんできたのよ
……は? そんなに言うほどないですって?
だから今の姿は本当の姿じゃないわよ。
でもまあ、それが原因で……
父はあたしを見て……こう言ったのよ。
今でも覚えているわ。
父の……最低な一言を。
『お前は俺の子じゃあねえ。俺の女だ』って
……あはは、この天使ドン引きしているのかしら。
その時、父親があたしを手籠めにしようと襲い掛かってきて……
返り討ちにしたわ。
いや、「弱っ!?」って言うけど結構強かったわよ。
でもね、男に負けない。
そのためにあたしは強くなった。
そしてあたしは………家出した。
母親はもう、心労がたたって死んだわ
家から出たあたしは自由を感じたと同時に孤独になったわ。
でも、せめて家を出たならと女になろうとしたのよ。
男みたいに短かった髪を今度は長く伸ばした。
染み付いた男勝りをなくそうとできるだけお淑やかになろうともした。
あの頃を機に胸もだんだん大きくなっていったわ。
ようやくあたしは女になれるって喜んだわ。
でも……あたしは思った。
そもそもこうなった原因である男尊女卑はどうして残っているかって。
神は男女平等を謳った。
人々にそう言ったの。
でもどうしてだめなのか。
考えてあたしは気が付いた。
そこに一番大事な所が抜けている、と。
それは、人と直接触れることよ。
だってそうでしょ。
ああしろこうしろって言って、すぐに言う事聞く子がいる?
監視してもこっそりやる人いる。
身を持って教えないといけないわ。
それにさ、自分から何が良くて何がいけないかを考えるようにならなくてはいけない。
言われただけじゃダメ。
何でいけないかを考えるようにならないといけない。
戦争がないから平和? そんなものは偽りよ。
管理じゃだめなのよ。下の声を聴かない統率者はだめなのよ。
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Side:黄
「と、言う訳よ。これで満足?」
「あぁ。よぉくわかったぜ」
はぁ……何で天使にあたしの過去の事を話しているのかしら。
「それじゃ俺様は十分に楽しんだことだし行くとするわ」
「そうね、早く行って。そしてもう二度とあたしの前に顔を出さないで」
あたしに“アレ”を見せた天使なんて……
「ああ、そいつぁ難しいがな。だがその前にひとつだけ」
「えぇ?」
まだ何かあるの?
「いやなに。ここまで地面を滅茶苦茶にしてしまったからもうこれ以上はないな」
「は?」
なにをする気なの?
「置き土産だ。これであのロボットのもとにでも持って行きな。そうすればお前ぇの仲間、解放されるだろ。じゃ」
「あ、ちょっと待って! 置き土産っていったい何を………」
あたしは振り向いた。相手が全裸でも知ったこっちゃない。
しかし、
「いない……」
もうすでにあいつの姿はなかった。
いったいなんだったのかしら。
「ん?」
足元に何かがあった。
それは………
「これが置き土産……」
アテネにこれを交渉として使い、シアンとマゼンタを返してもらえって事ね。
「あいつ……」
ずいぶんな土産を残すものだ。
世界に影響が出るかもしれないってのに。
「………よし!」
あたしはあの二人と合流するため、もう一度、研究所を目指したのだった。
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Side:紅
女人形に案内され、また『エレベーター』とやらに乗り、たどり着いたのはまたしても広い部屋だった。
そしてそこにはある大きな機械があった。
「なんだこれは?」
ひとつは壁に設置されているもの。
もうひとつは翼が付いた巨大な鉄の塊だった。
もう一つの方は形状が俺達をさらった鉄の箱に似ていた。
「お父様のいるところは歩いては行けられない所なの。だから、これに乗って行くわ」
女人形はそう言い、壁の機械に向かったのだった。




