vs ジョヌ2
第二ラウンドです
それでは、どうぞ
Side:黄
初めは何が起こったのかわからなかった。
いきなりものすごい揺れが起きて、引っ繰り返るような感覚に陥ってしまった。
そしてそのまま盛り上がる地面に飲み込まれて……
「う……いったい、どうなって……」
埋められるぎりぎりで周りの物を軽くしたから圧死にはならなかった。
あたしは意識を取り戻し、覆いかぶさっている瓦礫をどかして辺りを見渡してみると……
「え………?」
そこはもうこれ以上はないってくらい地形が変わっていた。
ちょっとした山みたいに高く盛り上がった地面。
落ちたらひとたまりもないくらい深く割れた地面。
なぜか落とし穴みたいに大きく凹んだ地面。
主に周りの地面が原形を留めず、ひどく変わってしまっていた。
「あーいけねぇや。こりゃあやりすぎてしまったなこりゃ」
こんなことになった原因はただ一人。
「ずいぶん世界変えちまったが……まあいいだろう」
こいつの仕業だ。
ここまで地形を変えてしまうなんて、恐ろしすぎる。
「ちょっと! あんたなんてことをしてるのよ!」
「はっ! どうやら無事でぇよかったぁよかった! このままくたばってねぇかと思ったところよ!」
何言ってるのよ。無事じゃないわよ。
あっちこっち擦り傷だらけよ。
「あんたの本気ってずいぶん容赦がないわね。地形を変えてしまうなんてね」
「はっ! なに言ってるんでぇい! 容赦がないから本気だろぉよう!」
「そう、ね!」
あたしはこの会話中に溜めた力を放つ!
「【引する重力の爆弾】!」
正直早く消えてほしい。
パンツ一丁の男天使なんて!
「はっ!【形質練成】!」
「!?」
すると、猥褻天使は自分の足音を隆起させ【引する重力の爆弾】の射程範囲外へ逃げた。
そして、変態天使はそのままあたしの方へ……
「おぉい! さっきからお前ぇ俺様に対する態度がひどくねぇか!?」
「だったら服を着なさい!!」
「はっ! この楽し戦いが終わったらなぁ!!」
直接、殴り掛かってきた!
「さっきも言ったが俺様は肉体派だぁ! 本気で殴り合おうぜぇ!」
「へぇ……!」
あたしに肉弾戦を挑むなんてね。
「【超重の身一つ】!」
あたしが自分の身体を重くしたのに対し露出天使は……
「【衝撃伝達】!」
げ……そうだった。その手があったね。
「いくぜええええええええええ!」
「こんのおおおおおおおおおお!」
ドドドドドドドドドドドドドド!!
そこからは一進一退の攻防だった。
拳と拳
脚と脚
肉と肉
激しくぶつかり合う!
足場が不安定? 関係ないわ!
「はっ! スレンダーな身体の割には随分と頑丈だなぁ!」
「ちょ! 今のはセクハラよ!」
「なに! 強さに性別はないってなぁ本当の様だなぁ!」
「ごまかすなぁ――――――!!」
裸体天使は所々食らった衝撃を逃がし、
あたしは所々攻撃を“軽く”して受け止めた。
そして、お互いの一撃がお互いに当たった瞬間……
「ぐ……!」
「が……!」
お互いに離れ、距離を取った。
「……お前ぇ、動きが洗礼されているなぁ。驚いたぜぇ」
「……こっちもよ。意外と速いわね、あんた」
「はっ! そりゃあそうでぇい! 戦いを楽しむための手段のひとつ、どんなものでも鍛え上げるってぇもんよ」
とはいえこの距離にこの状況、
「決着をつけよ。この戦い、そう長くは保たないわ」
「そうだな。お互い最高の技でもだそうぜぇ」
だったらあたしの決め手は……
これしかない!
「いくぜぇ!」
「来なさい!」
もう一度あたしは同じ手を使った。
「【重力操りで浮遊移動】!」
芸はないかもしれないが有効な手よ!
しかし、馬鹿天使は違った。
「【極大地震】!!」
「!?」
グゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!、と
とてつもない揺れがあたしを襲った。
「うわっ! いけない……!」
これじゃあ集中して操作できない……!
「はっ! 二度も同じ手が通用するかよ!」
「ちっ!」
やっぱりか、そりゃそうだよね!
「この地震があんたの最高の技?」
「はっ! 違うねぇ! 俺様の本命はこっちだ!」
すると、地中から地上に向かって何かが吹き上げられた。
それは……
「なに……これ……!?」
それは赤くてどろどろとしていてとてつもない熱気を放っていた。
「こいつぁ“溶岩”って言ってよぉこの地面のかなり深い地下にあるもんでぇい。それを俺様が引っ張り出したのさ」
「溶岩…………ん?」
地下深く?
「……あんた、そんな真似して大丈夫なの? もうかなり世界に影響が……」
「はっ! そんなの決まってるでぇい」
なによ。
「大丈夫じゃねえに決まってんだろ」
「大丈夫じゃないんかい!」
「はっ! 決着付けるってぇのにんな細けぇこたぁ気にしてられるかよ!」
「あ―――……そう………」
もうなにも言えなかった。
この快楽天使……いいや、ジョヌはもういろいろ駄目だと思う。
「俺様はルージュたぁ違って触れたら焼けるじゃあすまねえ。だからこうするのさ!」
ジョヌは湧き出た溶岩を不思議な感じに空中の一か所に集めた。
ものすごい量だ。人一人は飲み込みそうだ。
そして……
「これが俺様の本気だ。食らいやがれぃ!」
集めた溶岩をまるで拳を突き出すかのようにあたしに放出した。
「【溶岩鉄拳】!!」
随分危険そうな技ね、
でも……
「時間は十分あったわ! こっちもとっておきを見せてもらうわよ!!」
あたしは先ほどから溜めた力を解放した。
「【全てを飲み込む黒い穴】!!」
「なに!?」
あたしの手の平から黒い穴が現れる。
そして……
グオオオオオオオォォォォォォォォォ!!!
「溶岩を……吸い込んだだと………!?」
何を驚いているのよ。
雷吸い込んだことだってあったしね!
黒い穴は溶岩を吸いつくし、そして……
「うお!? うおおおおおおおおおお!?!?!?」
離れているジョヌを吸い込もうとしてた。
ジョヌは必死に地面に手をついてまで踏ん張っている。
「こん……のおおおおおおおおおおおおおお!!」
駄目か……!
「ぐ……あああああああああああ!!!」
とうとう耐え切れず、吸い寄せられてしまった。
……よし! あとは……
「俺様が……こんな形で……敗けるなんたぁ……!!」
「いいえ。違うわ」
ジョヌが穴に到着する寸前で……
「あんたにはちゃんと負かせないとね!」
フッ……
黒い穴を消した。
「なに……!?」
「これで二度目よ!」
そう、今の状況。
拳を構えるあたし。
吸い寄せが止み、宙に浮いているジョヌ。
そして、そのジョヌの体勢はまさに無防備。
まさにベストポジション。
「しまった……!」
「今度は一撃じゃ済まさないわ!!」
右手と左手。
両方に力を……重さを籠める!!!
「喰らいなさい! 【重たすぎる乱撃】!!」
ドドドドドドドドドドドドドドッ!
「ぐおおおおおおおおおおおお!?」
「りゃあああああああああああ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!
「ぐがごげがぐぎががぎごぐごぐがげがぎが!!??」
「あああああああああああああああああああ!!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!
殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、
殴って!殴って!殴って!殴って!殴って!殴って!
殴って!殴って!殴って!殴って!殴って!殴って!
殴って!!殴って!!殴って!!殴って!!殴って!!殴って!!
殴って!!殴って!!殴って!!殴って!!殴って!!殴って!!
殴り続け、そして……
「ていやああああああああああああああああ!!!!」
「ぐ…………………!」
最後に顎に一撃を決めたのだった。
宙へと舞ったジョヌはやがてゆっくりと落ちていき……
ドサッ!
地面に着いたのだった。
動く様子は……全くなかった。
「はあ……はあ……はあ……はあ……」
こんなに殴り続けたのはいつ以来だろうか。
手が……大変なことになってるし。
「これで……もう……」
もう起きないでくれ。
体はボロボロよ。
だが、
「………はっ!」
「え……?」
そんな……!
「……はっはっはっはっはっ!」
「!」
あたしが視線を向けると、
ジョヌが地面に寝そべりつつ高笑いしていた。
「あんた……なんで……!」
「はっ! こんなにも楽しい思いをしたのは久しぶりでぇい! いや、それどころか初めてかもしれねえなぁ!」
そう言ってジョヌは立ち上がった。
「ああ大丈夫だ。俺様の負けだ。もう立っているだけが限界よ」
そもそも立ち上がること自体タフすぎるわよ。
「まったく、あんたって……………!?」
「ん? どうした」
気が付いた。
最後の一方的な殴りの時は気分が高揚してたから気が付いていなかったが、今気が付いた
「あ、あんた……なんで……」
「あぁ? どうしたんでぇい」
無視できなかった。
叫ばずにはいられなかった。
「あんた何ですっぽんぽんなのよ!?」
「あぁ?」
そう、今のジョヌはパンツすら脱げていて、完全な全裸だった。
「ああ、さっきの変な穴に吸い込まれそうになった時に脱げてしまったんだな。うん」
「い……い……い……!」
男天使の全裸。
つまりあたしの目の前にはむき出しで“アレ”がさらされていた。
しかも肉体派を自称するわけだからそれはとんでもなくて……
「あん? 何を震えて……」
「い……い……い――――――――――や―――――――――――――――――!!!!」
「え? ちょ! おま…………!?」
気が付いたら二度目のラッシュを決めていた。
今度は容赦なくだ。
「いやっ! いやあっ! いやあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「ぎゃあああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」
ジョヌが珍しく悲鳴を響かせていた。
やっぱりこいつは猥褻物露出全裸変態馬鹿天使だった。
ジョヌ、哀れ……
自業自得だけどね(笑)




