償い
デメテルと呼ばれる装置がある部屋に入ったシアンとマゼンタ。
その正体は……
それでは、どうぞ
Side:紅
二つ目の扉を抜け、ようやく室内に入れた俺達だったが……
「なんだよ、これは……!」
「こいつは……!」
驚くシアンと俺。
ようやく見えてきたデメテルの正体。
「マゼンタ……たしかアテネの説明じゃこの世界は……」
「ああ、人間はとっくに滅んだはずだ」
「それじゃあ、いったい……なんで……」
それは……
「なんで人間が機械の中にいるんだよ!」
それは大量の大きな容器が並んでいた。
人が入るくらい大きなガラスの容器がそこらじゅうに並んでいた。
容器の後ろには何やら太い線で繋がっており、その繋いでいる線の大本は部屋の中央の巨大な機械に集まっていた。
そして、もっとも驚いたのは容器の中には謎の青く光る液体で満たされており、更には文字通り人間が入っていた。
中の人間は裸で何も身に着けていなかった。
中の人間は男、女、子供、青年、中年、小さい、大きい、低い、高い、なんでもいた。
中の人間は意識を持ってらず、まるで眠っているように目を閉じていた。
中の人間は股間の部分になにか装置が取り付けられていた。
もはやこの光景は異様としか言えなかった。
「いったいここは……!」
俺もまた、疑問に思っていた。
と、ここで……
「おい! マゼンタ! これを見ろ!」
シアンが何かを見つけたようだ。
シアンが示したところ。それは…
「これは……」
それは先ほどの容器を形を変え、小さくした物があった。
その中には先ほどとは違い、色が赤い液体と……
「なんだと……!」
赤子の未完成のようなものがあった。
それはつまり胎児なのであった。
俺は気づいた。
「そうか…この装置は……!」
「マゼンタ! わかるのか!? この装置がなんなのかを!」
「そうだ、おそらくこの装置は……」
俺はある結論に達した。
「母親と父親が子供を作るのと同じ役割をする機械……これは、人間を生み出す機械だ!」
その時だった。
「そう、その通りよ」
後ろから声がした。
振り向くとそこは……
「デメテルとは言わば体外受精、または人工授精を自動で行う人工知能搭載の装置よ」
何度も見た灰色の髪に変わった服装の……
「デメテルは滅ぼしてしまった人間を蘇らせるため、新たなる種子を作り出すための機械なのよ」
あの女人形がいた。
「もっとも、複製と言う手もあるけどそっちは成功率が低いからね」
しかし、取り巻きがおらず、一人だけだった。
「アテネ……! いったいいつからこんなものを!」
「つい最近よ。まだまだ、種子を作るための苗床が働かなくてね」
「この人間どもはなんだ! いったいどこで……!」
「こいつらはね。ある所で、集団で餓死しかけた所を見つけ捕獲したものよ。もうすでに虫の息ですぐさま栄養注射をしたけど助かったのは半分くらいだったのよ」
周りにある大量の容器。
そこにいる人間の数はせいぜい五十人程度だった。
「じゃあなんでこんなわけわかんない機械に入れたんだ!」
「こいつらはね、もう生命維持するには装置に入れないと無理なのよ。そのまま放っておいても死ぬのよ」
「なに!?」
「それに……」
女人形は周りを見渡して言った。
「お父様が起こした取り返しのつかないこと。それを取り戻すために、デメテルは必要なのよ」
「って! 取り返しがつかないってなんだ! 取り戻すってなんだよ!」
「シアン。恐らくだが…」
俺はシアンに説明しつつ、女人形に確認するように説明した。
「ゼウスは自分がしたことを……人間を滅ぼしたことを後悔してるのではないのか?」
「え!?」
俺はそういうと女人形は……
「そうよ。自分達はやりすぎたのよ。あまりにも無残になってしまったわ」
帰った答えは是だった。
「つまりゼウスは滅ぼした人間を蘇らせ、やり直すつもりだったのか?」
「……! そうなのか、アテネ」
女人形は俯いて喋った。
「……そうよ。お父様はこの機械だらけの世界にもう一度、人間の世界を作ろうとしたの!」
「……そうか」
その言葉を聞くと同時に俺は気づいたのだ。
「女人形。俺達の足りない物がわかったぞ」
「……マゼンタ。オレもだよ」
珍しいことにシアンも気が付いたようだ。
「……そう、気が付いたのね。あなた達の反逆に何が足りないかを」
「ああ」
かつてのあの機械と同じ
目先の事だけ。
つまり……
「……反逆が終わった後、どうするかってことだろ」
つまり、神を倒した後、俺達は何をすべきなのか。
そのことが全く描かれてなかったのだ。
「そうよ。神とやらを倒せば終わりじゃない。問題はその先にあるのよ」
「しかし、俺達はその先をまったく口にしなかったから…」
「ええ、かつてのお父様と同じって言ったのよ」
なるほど、確かに放ってはおけないってことか。
「あらためて問うわ。あなた達は神に反逆し、いったいどうするの?」
「マゼンタ、オレはその……」
「シアン、俺もだ」
足りないものがわかったとはいえ、
「そう、まだ見つかっていないのね」
まだ分からないものである。
「アテネ、必ず答えを出す。だから今はオレ達を歪んだ…」
「待て」
俺はシアンを止めた。
「なんだマゼンタ」
「いや、別世界に行く前に、会いたい奴がいる」
「え、まさか……!」
そいつは……
「ゼウスに会わせろ。そして、そいつと話がしたい」
俺は女人形にそう言った。
帰ってきた応えは…
「残念だけど、お父様はここにはいないわ」
「え!?」
「なに?」
意外な答えであった。
「ここにあるのはデメテルだけよ。昔はここにいたけど今は違う所にいるわ」
「それっていったいどこに……」
女人形は俺やシアンに向かって言った。
「そうね、あなた達にお父様の居場所を教えましょう」
「なに! 本当か!?」
「その代わり条件があるわ」
条件?
「その前にひとつ聞かせて」
「なんだ?」
「あなた達はどうしても神に挑むの?」
「ああ」
「そうだ」
「死ぬことを恐れないの?」
「恐れてないとは少し違うな。けど、絶対に生きて帰る。そう約束もしたからな」
シアン…
王女との約束のことだな。
「そう、そこまで言うのなら」
女人形は独り言の動作に入った。
おそらく仲間に連絡しているのだろう。
「ええ……そう……そういうことよ。だからあれを……ええ、頼むわ……」
連絡を終え、再び俺達に向いた。
「あなた達の覚悟を示すために、あなた達には“ケイロン”と闘ってもらうわ」
ケイロン?
また新しい名前が出たな。
「そいつを倒せば教えると?」
「そうよ。わかりやすいでしょ」
「おいおい、何でいきなり戦うことになるの?」
シアンが面倒そうに言った。
正直言うと。足りないものがわかってもそれでもあなた達には行かせてほしくないし、できれば生け捕りにしてデメテルに入れたいわ」
「おい」
デメテルがなんなのかを知った今、絶対にあれには入りたくない。
「大丈夫よ。もしかしたら永遠の快楽が味わえるかもしれないわ」
「そんな文句で誘っても無駄だから進めろ」
それならどういうつもりで……
「自分はね、あなた達に行かせたくはないと思っているけど、同時に期待をしているのよ」
「期待だと?」
「そうよ。あなた達ならお父様のようにはならないかもしれない。げど、確証はない。だから…」
女人形は踵を返した。
「ついてきて、あなた達の覚悟がどんなものか見させてもらうわ」
その言葉を聞き、俺もシアンも女人形へとついていったのであった
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Side:黄
隠し階段を降りて行ったあたし達だったが……
「どこよここ!?」
「俺様が知るかぁ!!」
何だかさっきより危ない機械に追われていた。
「ホントどこに居るのよ――――――――ッ!!!」
見つけたら一発づつぶん殴ってやるんだから!
今回出番のないイエローとジョヌでした(笑)
アテネの言うケイロンとは……




