脱走中
アテネは個体によって微妙に性格が違います
それでは、どうぞ
Side:紅
現在俺達はあるところを目指して脱走中である。
途中見つからないように、【熱幻】を使っている。
「マゼンタ! 脱出するのはいいが、どこに行けばいいんだ!?」
「ここから出た所で、結局歪んだ空間の力場は向こうが掴んでいる! なら……」
俺はある結論を出した。
「ゼウスに会う! 直接話し合うのだ!」
「でも何処に居るのかわかるのか!?」
「わからん! だが、こういうのは大抵奥にあるものだ!」
「奥って、こんな通路ばかりの所のどの道が奥行きなんだよ!」
と、ここで通路の角から…
「なに! ニンゲンが脱走しただと!?」
「「!」」
「そんなはずがない! あの牢には破壊されても感知する機能があるのだ! 密かに抜け出すのは不可能のはず……!」
俺達は止まって、曲がり角の向こうを顔だけ出して覗いた。
そこには…
「バカな! 牢が凍らされていただと!? どういう冗談……いや、自分らは冗談が言えなかったな」
女人形が通路に立っており、独り言を言っていた。
仲間と話しているのか?
「だとしたらいったいどうなって……!」
「「!」」
急に女人形がこちらを見た。
「誰だ! そこで何をしている!」
なぜかバレた。
(おい、どうなっているんだよマゼンタ!? 【熱幻】で見えないんじゃなかったのか!?)
(ああ。熱で空気を変えて見えなくしているのだが……)
いったいなぜ?
「見えなくしても無駄だ! そこからは足音と熱反応がしたのだから!」
「ちっ!」
こいつ、シアンや俺みたいに探知できるのか!
「マゼンタ、ここは…」
「そうだ。こういう時は…」
「……! 脱走者か!」
「「強行突破だ!」」
手荒だが仕方がない! どうせ、他の人形にもばれているんだろう!
「く……っ! 抵抗するのなら!」
そう言うと女人形は懐からあるものを出した。
それは……
「……銃か!」
「動くな! おとなしくしないと撃つぞ!」
円盤よりは小型だが厄介に変わりはない。
「シアン! 気をつけろ!」
「ああ! わかった!」
「なお抵抗するか! ならば……!」
バンッ! バンッ! バンッ!
女人形は発砲した、が
「当たるかよ!」
「なに!?」
シアンは加速し、女人形の銃を持った腕を斬り落とした。
「が……!」
「悪いとは言わねえ! お前とは敵同士だ!」
「なにを……こんなの!」
すると女人形は無事な方の腕から直接銃を出して発砲した。
ズダダダダダダダ!!
「なに!?」
シアンは驚きつつも素早く退避した
「うおおおおおおおお!?」
「……く!」
俺もなんとか曲がり角に退避した。
あの女人形、人型ではあるが機械に変わりない。体内に武器が仕込めるということか。
「無駄よ、もうすぐ仲間が駆けつけてくるわ。おとなしくして頂戴」
「駄目だ。おとなしくしても俺達はデメテルっつーよくわからんものに入られるんだろ」
「ええ、そうよ」
それがなんなのかはわからないが。
「ゼウスに会わせろ。あいつと直接話がしたい」
「断るわ。あなた達のような危険な人間をお父様に会わせることはできないわ」
「なら、無理にでも会いに行くだけだ。シアン!」
「よし! 【撹乱不快音波】!」
シアンの【撹乱不快音波】により一瞬だけ足を止める女人形。
「なに!?」
「今だ! 【熱線】!」
「!」
俺は【熱線】で女人形をバラバラに割いた。
首だけになった女人形はなおこちらを睨んだ。
「貴様……!」
「悪いが俺達は行く。立ち止まるわけにはいかないんでね」
「そういう事だ。マゼンタ、行くぞ!」
お前が仕切るな、と思いつつ。俺達は先を急いだ。
後ろで女人形が……
「おのれ……ニンゲンが……」
ピ―――――――ッ ドォ――――ン!!
爆発した。
俺達は構わずに進んだのであった。
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Side:黄
「ちょ、ちょっと何よ! これは!?」
現在、町に侵入しているあたし達だが何やらジョヌが大量の変な人形を出していた。
「変な人形じゃねぇ。こいつは【粘土人形】って言う名だ」
「その【粘土人形】で何する気よ」
「こうするのさ。【粘土人形】!」
いったい何を……?
「化けろ!」
「へ?」
どういう指示? かと思ったら人形が形を変えて……
「なっ……………!」
あたし達そっくりに化けた!
「よし、お前ぇ等ぁ! それぞれバラバラに散って撹乱しろ!」
ジョヌがそういうと人形は散り散りに動いた。
「これでぇ少しは楽になったろ」
「へぇ……あんたってちゃんと考えてるんだね」
「そりゃあどういう意味でぇい」
それじゃあ……
「急ぎましょ」
「ああ」
あたし達は一目散に研究所へと向かった。
……が。
「見つけたぞ! ニンゲン!」
「え?」
いつの間にかあたしたちは大量のアテネに囲まれていた。
同じ顔がこうも揃うとちょっと……
……って!
「なんでこうなったのよ! あんたの変な人形は凄かったんじゃないの!?」
「俺様が知るかぁ! 大量にばら撒いたんだ! そうそう本物は……」
「残念ながら」
すると、たくさんのアテネたちの中から一人出てきて言った。
「あなたたちの囮には熱反応も生体反応も感じられませんでしたので、本物を見つけるなど容易でした」
「……………」
「……はっ! 敵さんの方が一枚上手ってぇ事だな!」
さっきまで感心してたあたしが馬鹿みたいだ……
……でも!
「お願い! シアンとマゼンタを返して! 別にあたしたちは……」
「存じていますよ。あなた達が異世界人だという事が」
「え……? 何で知っているの?」
「あの太ったニンゲンが話しましたので」
マゼンタか。なんであいつはあっさりとバラすの。
「それに、あの方たちは現在脱走中で別の自分が追跡しています。どちらにしても無事で返すのは難しいでしょう」
「あいつら……」
何でこう次から次へと面倒なことを……
「はっ! やっぱ骨と根性があるねぇその人間!」
「感心するな!」
無茶してるだけよ!
「まあ今はあなたたちの心配をしなさい」
ガチャ!
ガチャ! ガチャ! ガチャ!
「「!」」
周りのアテネたちが一斉に銃(だったよね?)を構えだした。
「おとなしくしてください。抵抗すれば射殺します」
「そんな……!」
「あぁ? おとなしくすりゃぁどうするんだぁ?」
「その時はこのまま連行します」
「連行って……」
あまりいい予感がしない。でも、
相手するには多すぎる!
すると……
「はっ! なんとまあ滑稽だぁ!」
「……?」
ジョヌ。こんな時に何を……!
「滑稽だと?」
「ああ! たかが人間が作ったもので俺様を殺すとでも? そりゃあ無理なもんでぇい」
「なんだと!」
「はっ! 格の違いを見せてやるよ!」
なに挑発してるのよ!
こんな大人数で、しかも銃を持っているのに……!
「ジョヌ!」
「はっ! まぁ見てな」
「抵抗するとみなす! 撃てぇ!」
バンッ! バンッ! バンッ!
バンッ!バンッ! バンッ! バンッ!
バンッ! バンッ! バンッ!
バンッ! バンッ! バンッ!
四方八方から襲い掛かる弾丸にジョヌは……
「【形質練成】」
ジョヌがそう唱えると……
「なに!?」
「バカな!?」
すると、金属の弾丸は泥になってしまい、そのままジョヌに当たって砕けてしまった。
「あーあいっけねぇ。汚れちまったでぇい」
「貴様、いったいどういう……!」
「はっ! これで終わりかぁ!? 【衝撃伝達】!」
その時だ、
ジョヌが急に足を振り上げ、震脚するように強く地面を踏みつけると……
ズンッ……! ドッ!
「何!?」
「え!?」
なんと、周りにいたアテネ達が一斉に弾け飛んだ。
そして……
「ゾ……続行不可能。機能停止します」
「ガガ……修復不可能。機能停止します」
「約七割破損。機能停止します」
ピ―――――――ッ!
ドォン! ドォン!! ドォ―――――ン!!
ほとんどのアテネが破壊されてしまった。
「き、貴様! いったいなにをした!?」
「あーあ。俺様におとなしくしろだぁ? ったくぬるすぎるぜぇ!」
ジョヌは凶悪な笑みを浮かべて言った。
「この殺し合いを、楽しむとするぜぇ!!」
こうして、
四輝天使の一翼ジョヌと機械人形のアテネの
一対多数の虐殺劇が始まったのであった。
……あたし? あたしは銃は恐ろしいので控えめに。
銃にも怯まない天使でした。
ちなみに肉体派です。




