黄と黄の作戦
さて、研究所で大きく動き出します
それでは、どうぞ
Side:三人称
ここはある研究所の中心部。
そこには巨大なコンピューターがありました。
コンピューターには“Zeus”という文字が刻まれていました。
「ふむ。人間とは久々だな」
ゼウスは合成音声で喋りました。
ゼウスは端末である“アテネ”を通じて、あらゆる情報を見て聞いて感じていました。
今現在アテネが、シアンとマゼンタと会話した情報も入力していました。
「神に挑む反逆者、か……」
何かを思うようにゼウスはそう呟きました。
「あの時の我は本当に考えなしだった。だからこそもう一度やり直す必要があるのだ」
ゼウスはそういうと、端末の一人に命令した。
「9073よ。案内はするな。猶予はくれるから、それまでに心を改めたりしなければデメテルに入れると言いたまえ」
『わかりました。お父様』
ゼウスは意志を持つ人工知能ではあるが動くことはできない。
だからこそ、端末に命令し実行させているのだ。
「デメテル……それは新たなる種子を生み出すもの」
ゼウスは語った……
「我々は償う必要があるのだ。滅ぼしてしまった人間どもに対して……」
自分に言い聞かせるように……
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Side:黄
な……長かったわ……
たった一日でも常に歩き続ければこんなにくるんだね……
何もない荒野を歩き、
谷を越え、
山を越え、
そしてようやく見えてきた。
「見つけたぜぇ。あれが研究所とその周辺の街だ」
「うわぁ……」
あたしは驚きを隠せなかった。
そこには一つの大きな街があった。
とてつもなく広くて大きな建物と高い塔が建っている中央。
その周辺に寄り添うようにある下町のようなもの。
そして、それらの建物をぐるりと囲む大きな壁。
画期的で機能美を追求したような街。
あたしたちの世界には見ないものがたくさんあった。
これほどまでに異様な街はかえって神秘的に見えた。
「ここにシアンやマゼンタいるのね」
「ああ。ついでにゼウスもいるぜぇ」
敵の本拠地に行くのね。
あたしは見えてきた目的地を目の前に気を引き締めた。
「言ってぇおくがぁよう。目的地はあの街の中でも、中央にある研究所だ。見つかったらまじぃから、気をつけろ」
「わかった」
もう少しよ。待っててね二人とも。
「じゃあ降りるぜ」
「うん」
あたしは今いる丘を降りて行ったのであった。
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Side:藍
とりあえず、食べて寝て休んで一日くらい経過したころマゼンタが……
「さて、そろそろ行くか」
そう切り出した。
いよいよ来たか。待ちくたびれたぜ。
脱出の時は来た。ならばまずは……
「この牢屋を破壊すればいいんだな」
オレは音叉刀を出したが…
「いや、だめだ」
「え?」
あれ? 脱獄するのなら牢屋破壊して出ればいいんじゃ……
「俺は周りに何かないかと【熱感知】で探ったところ、ひとつわかったことがある」
「なんだそれ?」
近くに誰かがいるのか?
「この牢屋の柵にはなにやら熱が通っている。恐らくこれは…」
「これは?」
「無理やり壊すと何かが起こる」
ええ!? 何その牢屋は! 怖っ!
「じゃあ壁を壊せばいいんじゃ……」
「どこに出るかもわからないのに壊せるのか?」
そう言われると……
「躊躇してしまうな」
「そういうことだ」
「じゃあどうするんだよ」
「こうするのさ」
すると、マゼンタは柵を手でつかむと……
「【冷血】」
ピキピキピキ……!
「な……!」
柵を凍らせ始めたのだ。
「なにやってんだよ! そんなことしたら……」
「大丈夫だ。それは壊した場合の事だが、凍らせればどうなるか試した結果何も起こらないようだ」
そうなのか! だったら……
すると、みるみる凍っていた柵がやがて、すべて凍らせたのだった。
しかも念入りに周りの壁や床や天井を凍らせた。
そして、
「は!」
凍った柵を砕いて……って!
「結局砕くんかい!」
「なに、下準備が必要だったんだよ」
マゼンタめ、なに思わせぶりなことを…
「行くぞ」
「ああ……」
なんか釈然としない気がするもオレ達は牢屋を出たのだった。
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Side:黄
さて、町のそばまでたどり着いたあたし達だが……
「どうやって入るのこれ?」
なにせこの町は周りが高い壁で囲まれている。
その壁に入り口がついているなだが……
「アテネ……!」
そう、あの荒廃した町で見た少女にそっくりなロボットが二人いた。
おそらくあれは検問ね。
しかも壁の上部には複数のアテネがある程度間隔空けて立っていた。
ってかなんで同じ顔に同じ服に同じ髪なの?
「俺様にひとつ作戦がぁある」
「作戦?」
本当は頼りたくはないが致し方がない
聞くだけ聞いてみよう。
「ここは陽動作戦がいい」
「陽動作戦?」
それって表で敵の注意をそらすために、囮が本来の目的とは違った動きをして目立つようにして、味方の作戦を隠す作戦だったけ。
でも……
「その囮は誰がやるの? それに入り方も……」
「なぁに、入るときは任せろ。それに囮はこいつを使う」
そう言うとジョヌは手をかざし何かを唱えた。
「我が命によりし出よ。【金剛巨人】」
すると、
グゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
「うわっ! なに?」
突如、地響きがした。
「【金剛巨人】よ、お前ぇに命令する」
その内容は、
「とりあえず暴れろ」
ひどく適当だった
グゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
「え……?」
そして現れたのは本当にダイヤモンドでできた巨人だった。
それはとてつもなく大きく、堅そうだった。
「やっちまいな!」
「グオオオオオオオオ!」
「うわ……!」
巨人が吠え出すと…
ヒュン! ……ドォン!!
大ジャンプして街へ襲い掛かろうとした。
その姿にもちろんアテネたちは……
「なんだ!? 貴様! いったい何者だ!?」
「緊急事態! 緊急事態! 突如謎の物体がこちらへ襲い掛かろうとしています! 救援を要請する!」
「なんだあれは!? ロボットか……!? いや、そうは見えない!」
「何にせよ危ない! 至急、防衛機能発動! 警備機能強化!」
いろいろと混雑してた。
「うわ…………」
こいつに任せてよかったのか?
激しく後悔しかけたあたしだった。
「てぇい! もたもたすんなぁ! 今のうちに行くぜぇ!」
「ちょ……こんなんじゃバレるって!」
「大丈夫でぇい! まだほかに手がある! いいから行くぜぇ!」
「う……うん」
いろいろ不安に思いつつもあたしは町へ入ろうと、アテネがいない隙を狙って行ったのであった。
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Side:三人称
「襲撃者?」
『はい。とてつもなく大きな何かが町を襲おうとしています。これはいったい……』
ゼウスは端末の一人からの報告を受け、すぐに答えに至った。
(陽動か。やるならばもう少し賢くやりたまえ)
『どうしましょうか。お父様』
「うむ。町の警戒レベルを上げたまえ。恐らく町に仲間がいると思われる。怪しい物を見つけたら捕まえておきたまえ」
『陽動でしたか。わかりました』
そう言って、アテネからの通信を切った後ゼウスは一人考えた。
「うむ、おそらく先ほど攫った者たちの仲間と言ったところか。いやしかしずいぶんと不思議な力を持つな」
ゼウスは楽しそうに言った。
「これが異界の者の力か。ぜひ知りたいものだ」
自分にもまだ知らないことがあることに。
脱走する二人に潜入する二人
どう動くか。




