休息 マゼンタの場合
今回はマゼンタです
それでは、どうぞ
Side:紅
天使の戦いから一週間
俺達はひとまず休息をもらう事にしていた
その中でも現在俺は…
「ふっ! はっ! はっ! はあっ!」
自分の身体を動かしていた
ここは騎士の訓練所である
俺はそこで思う存分体を動かしているのであった
「はっ! はっ! はっ! はっ!」
まったく難しい物だ
鈍っているとは違う感じだ
あの時……
――――――――――――――――――――――――――――――
Side:紅
「はあ……はあ……はあ……」
「ふふふ♥ ようやく体の動かし方が見つかったようね」
この女、想像以上に強いな
……だが! 俺はまだ……!
「ふふふ。名残惜しいけど、ここでお別れね」
なに……!
「どういう…つもりだ…」
「ふふふ♥ ここで殺すには惜しいと思ったから、かな?
「貴様……!」
「ふふふ。また会いましょ♥ ふふふふふ」
そう言って女は立ち去ったのだ
――――――――――――――――――――――――――――――
あの時はまだ体の動かし方を完全に掴んだわけじゃない
まだ入口に立ったようなものだ。だからこそ、
「はっ! ふっ! はっ! はあっ!」
こうしていろいろと身体を動かしているのだ
その時だ
「おや、今日もいらしてたのですね」
俺に声をかけてきたのはこの城の騎士団長である
あの時は臣下共に嵌められてしまい、牢屋に送られたとか
「ああ。今日も使わせてもらっているが構わないよな」
「構わないよ。それよりどうなんだ、何か見つけたか?」
「それは……」
確かに、あの暗殺者との戦いで何かをつかんだ感じがする
あとはそれを決定づけるためにこうしているんだが……
「その様子だとあんまりってことか……」
「……………」
そう、決定的な何かが見つからないのである
いったいそれは……
「だったら儂とやってみないか」
「何……?」
騎士団長と訓練か……
まあ、このまま一人でやるよりはましか
「ならば、頼もうかな」
「よし。じゃあ訓練用の剣を持ってくるから待っとくれ」
「わかった」
さて、見つかるといいが…
――――――――――――――――――――――――――――――
結果だけ言えばうまくいった、と言うべきだ
あとは実戦と言いたいが、それはだいぶ後なので俺は城下町へ行くことにした
ま、金一応働いて貰っている。ほんの数日だけだったがな。
何かいい店はないか? と俺はいろいろと回っていたのだが…
「や、やめてください!」
「ん?」
声がした方に振り向く
そこには…
「おいおいねーちゃん。ちょっと遊びに行くだけなんだからさぁ」
「そうそう。怖いことなんてないよ」
「大丈夫。だからおとなしくしてね」
ぎゃははは、と笑う六人の男たち。
なんというかご愁傷様だな。
あんな解りやすいのもそうはいないぞ。
「こ、困ります! 私、このあと大事な用事があるのです! だから、離してください!」
「いいじゃん。ちょっとだけだってば」
「後で送ってやるからよぉ」
さて、どうしようか
できれば目立つことはしたくないし、わざわざ助ける気はないが……
……そうだな。
「その辺にしとけ」
「あぁ?」
男どもが一斉にこちらを見た
邪魔されて不愉快そうだ
「なんだぁこの男は。邪魔しないでくれるかなぁ」
「そうそう。俺達はこれからこの女と遊ぶんだからさぁ、邪魔しないでくれる」
「デブは引っ込んでろ! ってね」
ぎゃはははと笑う男ども
さて、と俺はまず女を掴んでいたてに手刀をかます
「ぎゃ!?」
「早く行け」
「あ、はい! ありがとうございます!」
そういって女は急いで逃げて行った
「あ、シゲチャン! 女が逃げていきやがったぜ」
「手前ぇ……こんなことして英雄気取りですか? あぁ!!」
べつに助ける気はない
ただ…
「やっちまいな!」
「おお! こんなデブに負けるわきゃねーぜ!」
「代わりにお前で遊んでやるからよぉ!」
「覚悟しぃや!」
ただ俺はこいつらで試したかっただけだ!
「おらぁ!」
「ふっ!」
まず俺は殴り掛かってきた男の右こぶしを左手で受け止める
パシィ!
「なにっ!?」
そのあと俺は相手の拳を握ったまま思いっきり引き寄せ、その胴体に膝蹴りをかます
「ごふっ!」
そのあとはハイキックだが脚が上がらないので裏拳で相手の顔に当てる
「ごっ!」
まず一人
「こ、こいつ~~~~~!」
二人同時に襲い掛かってくる
おいおい、挟み撃ちならとにかく正面で二人は…
俺はそう思いつつ、相手の攻撃を受け流し、
「おぉ!」
「何を!」
相手の頭をつかみ、思いっきりぶつける
「「ぎっ!」」
さて、三人
「こいつぅ!」
相手がナイフを取出し、襲い掛かってきた
相手がナイフを横薙ぎに振る。
俺は身をかがみ、ナイフを避けつつ、足払いで相手の足を払う。
「何!?」
そして、落ちてきた頭に対し、俺は屈んだ身を一気に起こすように頭を蹴り上げた
「ごはっ!」
さて、四人だ
「どうした。来ないのか?」
「「ひっ、ひぃぃぃぃぃぃぃ!」」
残りの男どもは逃げて行ったようだ
あまり強くなかったな、と思い俺は昼食を食べに行ったのであった
「!」
……突然視線を感じたが……
……警戒はするか。
――――――――――――――――――――――――――――――
そのあと俺はもう一度訓練所へと行き、騎士団長と特訓をした。
その帰りの事。
「あ、あの!」
「ん?」
そこには先ほど男に絡まれていた女がいた。
「さ、先ほどはありがとうございます。おかげで私…」
「ああ、いいんだよ。わざわざそう言わなくても。俺が勝手にしたことだ」
「でしたら、あの、お礼をさせてもらえませんか」
「お礼? 別にいい。わざわざ受け取るようなことなどしてない」
「いえ、受け取らせてください! ……私との、再戦を♥」
「!?」
その声はまさか!
「……何でお前が?」
「ふふふ♥ あそこで絡まれたのはあなたがどれほどのものになったのかなって確かめたくてさ」
「なるほど。先ほどの視線もお前か」
「あら、やっぱりばれてたのね。やはりあなた凄いね」
「ふん」
まさか変装して探っていたとはな
さて、再戦となると
「場所を移動していいか。ここだと…」
「いいわよ。だったらさ……」
俺と女はある所へと移動した。
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ここは町から外れた所の平原だった
女はもう変装は説いている
「ここなら、周りの心配はいらないでしょ」
「そうだな。思いっきりやれる」
お互いそういうとほぼ同時に動き出した
女は下がると一体どこに仕舞っていたのか鉄の杭を俺に投擲する
俺はそれをかわそうとするが…
「……くっ!」
やはり体の面積が広いと回避が難しくなる
多少躱しつつ俺は女のもとへ向かう
「ふふ♥」
女は俺に直接杭を刺そうと杭を持ったまま右手を突き出す
俺はその右手首を掴もうとしたが…
ガシッ!
「なに!?」
先に女が右手首を掴もうとした俺の左手首を掴んだ
このままでは杭が俺の顔にあたる
「くっ!」
俺は頭を身体ごと後ろに倒して躱す
と、同時に右足を膝を曲げた状態で思いっきり上げ、女の左手を蹴り上げる
「!?」
俺の左手が解放される
その瞬間俺はバックステップで女と距離を取る
「へぇ。肥満のせいで上がらない足を体全体で補ってるんだ」
そう、俺がこの体になって不便になったことは二つある
一つは体の面積が上がって攻撃を回避しにくくなったってこと
そしてもう一つは体が重くなったって事だ
そのせいで軽い動きはできず、足も上がりにくくなったってことだ
「今鍛えるべきは敏捷力とバランス力だな」
「その体で? ふふふ、難しいことよ?」
俺は牽制含みで女の方へ突撃した
そして、女の腹部に右で速い手刀を繰り出す
「はっ!」
女は身を捻るように躱す
俺はすぐさま身体を前に出すように左の手刀を叩き込む、が
「当たらない!」
これも躱されてしまい、俺の背後に回る
ならどうするか
俺は左の手刀を突き出した勢いで左足を軸に身体を右に回し…
「!」
右肘を回すように背後の女に叩く!
「くっ!」
女は咄嗟に防御したようだ
女は後ろへ跳び再び距離を取った
「ふふっ。あんたやるじゃん」
「はっ! よく言うぜ」
あの時杭を使っていたらやばかったはずだ
この女は……
「なぜもっと杭を使わなかったんだ」
「ふふ。あなたが能力を使わないのと同じよ♥ これでも抑えてるのよ」
「ならどうしてほしい?」
「あなたと踊りたい、かな。これを躱したら、褒めてあげる♥」
そう言うと女は両手に杭を持ち俺のもとへと来た。
「右か左、どっちにする?」
「どっちも嫌だ」
女は杭を持った両手ですごい速さで繰り出した
頭と胸、同時に攻撃だ
その攻撃に対し俺は……
「ふん!」
「何!?」
俺は刺突を紙一重で躱し、
頭の攻撃に対し頭と肩で、
胸の攻撃に対し脇で、
それぞれの腕を挟んで止めた
「へぇ。大した反射神経ね。紙一重でかわし、しかも止めるとはね」
「速さなら、たくさん見てきたんでね」
ドン!
「ぐはっ!」
そのあと俺はがら空きの胴体に思いっきり正拳突きをかました
「どうだ。俺の一撃」
「ふふふ。なるほど。動きがいい感じになってたよ」
「そいつはどうも」
「ふふふ。楽しかったわ♥ 直接肉弾戦ってのも悪くなかったしね」
「もう終わりか?」
「ふふふ。殺し合いじゃないわ。こうして思いっきり体を動かしたかっただけよ♥ あなたの身体の調子も見てみたかったしね」
「……………」
やっぱりこいつは厄介だ
病み上がりがばれるとは
「でも、それなら大丈夫ね。ふふふ、この後仕事もあるし。あ、あなた達じゃあないから安心してね♥ いい準備運動になったわ。それじゃあ」
そういって女は立ち去ったのであった
さて、もうこんな時間。俺もそろそろ行くか。
今晩には歪んだ空間の力場についてのことだな。
俺は急いで宿屋へと向かったのであった。
マゼンタの一日でした
お次はシアンです




