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コンプレックスな反逆者たち  作者: ゾンビ―鈴木
第一章・剣と魔法の世界編
23/114

介入

ひとまず決着です

それでは、どうぞ

  Side:藍


 突然現れた謎の男

 いったいどうなってんだと思いつつも俺はその男に言葉を投げかける。


「おい! 誰だか知らないが危ないぞ! 早く逃げ……!」


 その時オレは気が付いた。

 男の格好にだ。

 あれは……!?


「もうやめるのです。ヴェール」

「あ、あんたは……!?」


 その時だ。

 男は右手をヴェールに向けると何か唱えた。

 すると……


「【絶氷の牢獄(グラッソン・ラーゲル)】」


 ピシッ……!!


「なに!?」


 ヴェールが巨大な氷の中に封じられてしまい、大きな人型の雷も消えてしまった。

 今のは……!?

 

「何よこれ!? どういうつもりよブルー! なぜあたしの邪魔をするのよ!」


 ブルーって、やはり……!

 青を基調とした軍服のような服

 透けるほどに白い髪

 そして、半透明の淡い翼

 こいつも四輝天使の一翼か!


「なぜ? ヴェール、あなたの先ほどまでの行いがどれほど神様に反しているかわかるのでしょう?」

「え?」

「こちらの世界に来ただけでも十分なのに、さらにはこの世界の人間の殺害や建物の破壊、挙句の果てにはこの世界で【天使化】を行うなど、数々の違反を起こしています」

「それは……!!」


 よほどオレ達が許せなかったんだな。


「ヴェール。神様に対する信仰もいいですが、そのために神様の決めた規制を破るのはいけません。僕はとても残念な気持ちです。このままだと〈輪なし(ノ・セルクル)〉ではなくなりますよ」

「! それだけは…」

「ですが……」


 ブルーは一息おいて


「あなたが殺した人間は罪人であったため(・・・・・・・・)、輪付けは勘弁しましょう」


 なんだと……!


「ブルー……!」

「ですが、あなたはここで暴れすぎました。よって、強制的に還らせてもらいますよ」

「待て!」


 このまま帰すかよ!


「このまま逃がすわけにはいかない! その女はな、人を殺したんだ! 許せるわけねーだろ!!」

「ですが、その人は人を殺した罪人つみびとなのです」


 またかよ……また罪人なのかよ!


「どうしてお前たちはそう躊躇いなく人を殺せるんだ! 人を殺すあんたも十分罪じゃないか!」

罪人つみびとは人ではありません。故に罪人つみびとには“殺し”ではなく“裁き”と言うのです」

「……! どうしてあんた達はそうすぐに“殺す”って決めるんだよ。償いすらさせてもらえないのかよ!」

「償い……ですか」


 ブルーはこちらを見たまま話す


「償いなど、できないものです。それを許す人が死んでいるのなら、許されることはないのですし、失ったものは還らないのです。償いは……罪人つみびとが自己の行いで満たそうとした誤魔化しなのです」

「だから殺すのか! 立ち直ることも、生きて償う事も、駄目だというのかよ!」

「……………」

「たしかに、死んだ王子の父はもう戻ってこないし、許してくれるかはわからないかもしれない! だけど、その妹には許してもらうために頑張ろうとしたんだ。必死で妹に対して償おうとしたんだ! ならそれで……いいじゃないか……!」

「シアン……」

「リヴィアちゃんが……」

「どうしてあんたは……あんたらは……!」


 オレはどうしようもない気持ちだった

 オレは弟を拒絶したせいで弟は死んだ

 もう、弟に対して償いはできない

 だからオレは今でも自分自身を許していない

 でも、王子は……まだ償う道が……あったってのに……!


「……生けるものへの償いですか……」

「え……?」

「反逆者……いえ、少年。一つ答えてほしいのです」

「なんだ?」

「その罪人つみびとが死んだ時に、その罪人つみびとに対して誰かが泣いていましたか」


 なんだ……この、問いかけは?


「どうなのですか?」

「ああ、いたよ……」

「誰なのですか?」 

「……王子の妹だ」

「そうですか……罪人つみびとにも泣いてくれる人がいるのですね……」


 するとブルーは少し下がって何かを取り出した。

 それは、王子の遺体だった


「あれ!? それはあたしが埋めたはずじゃ…!?」

「まだ時間はそれほど経っていませんね」

「何をする気だ」

「……慈悲と、償いですよ。【天使化(リー・アンジェ)】」


 ブルーの翼が輝きだす。


「ブルー、あんたまさか……!? まて! それだけはやめて!!」

「【母なる海(マザー・メイル)】」


 ブルーが何かを唱えた

 すると王子の身体に光る何かが纏わりつき輝きだした

 輝きが収まったころには……


「なに!!」

「え!?」

「嘘だろ!?」


 王子の胸にあった穴が何もなかったかのように塞がり、さらには息をしているのであった


「蘇生…だと……!?」


 馬鹿な! いくら天使でも、こんなことが……!?

 するとブルーの翼が元の半透明に戻った

 ヴェールがブルーに問い詰める


「ブルー、あんたなんてことをしたのよ! しかもよりにもよって罪人クズを蘇生させるなんて……」

「ヴェール。怒るとはらしくありませんね。静かにしなさい」

「けど……!」

「ヴェール」

「……わかったわ」


 オレも信じられないように問いかける。


「本当に生き返ったのか?」

「そうです。記憶は、殺される瞬間が曖昧になってますが元に戻りました」

「国王も元に戻れるのか」

「それは無理です。死後半日は経過しないことが条件なのです」

「そうか……だとしても何でこんなことを……」


 天使は罪人を許さないんじゃ……


「それはですね…償い、ですよ」

「償いだと?」

「そうです。生きた人への償いに意味があるかどうかと思ったのです。だからここは懸けたのです。そんなことが可能か、とね。それに……」

「それに……なんだ」

「慈悲、ですよ。罪人つみびとであるはずなのに、その人のために泣いてくれている人がいるという事です。なら、涙を流してくれる人を殺すことも罪なのです。」


 オレはこのブルーの事がよくわからないと思った

 だかここは受け入れるべきであろう


「今は見逃す。だけど次会った時は容赦はしない」

「僕も同じですよ。神様に刃向かう以上迎え討たないといけませんから。さあ、ヴェール。行きましょう」


 ブルーは氷漬けで動けなくなったヴェールを抱えて帰ろうとしたが……


「ときに反逆者さん。あなた達は神様がどういう思いで人類を管理していたかわかりますか?」

「「「?」」」


 突然何を……?


「神様が人類に対して抱いている感情。それを理解しない限り、どうあってもうまくいきませんよ」

「ブルー!」


 そう言ってブルーは霧が晴れるように消えて行った。

 神が人類に対して抱く感情?

 それは、哀れみなんじゃ…


「シアン。考えるのもいいが今は今でやるべきことは多い。早く済ませよう」

「そうね。お城もボロボロになったし、臣下たちも締め上げないとね」

「……そうだな」



――――――――――――――――――――――――――――――



 ひとまずオレ達は後始末をした。

 まずはリヴィアに王子の生還報告。

 リヴィアは始めは信じられない様子だったが後になって泣いて喜ぶようになった。

 癪ではあるがあの青天使には感謝だ。

 そして臣下達は…えっと…詳しくは解らないが牢屋にぶち込んだ的なものだ。

 王子も牢屋に行くのかと思ったがリヴィアが「生きて償うのならお父様以上の執政をして」と言った。

 無茶だとは思ったがそれが適切だろう。今も王子は国の執政に携わっているようだ。つーか仕事量多!

 城に関しては時間をかけて直すしかなかろう。


 そしてもっとも大変だったのは城下町の人たちに対する弁解だ。


 なんせ城は破壊されるわ、光り輝くものが見えるわ、リヴィアが宿屋に運ばれるわでたくさんの人に質問攻めされたよ。

 臣下達が暗殺者を雇って、王子に対して行ったクーデターだと言い訳をした。

 まあ、あながち間違ってないしね。城の騎士も閉じ込めていたし。

 いくつかの暗殺者は逃げられたが、問題はないね。依頼主は全員捕まったし。


 とはいえオレ達はいろいろくたびれたわ。

 歪んだ空間の力場(ゲート・スポット)探しは少し後にして、

 オレ達は休むとするわ。



――――――――――――――――――――――――――――――



  Side:三人称


 その頃、ブルーとヴェールはと言うと…


「ブルー」

「どうしたのですか?」

「あたしが言うのもなんだけどあんた正気? 蘇生なんて規制されていることをやるなんて…」

「そうですね。でも、ヴェールの“違反”を僕の“違反”で元通りにしたと言えば納得するでしょうか?」

「それは、屁理屈よ。屁・理・屈。うふふふふふ」

「おや。いつものヴェールに戻りましたね。そっちの方がいいですよ」

「あたしもよ。怒鳴るなんて、慣れないことはするもんじゃないわ。うふふふふ♪」


 楽しそうな会話である


「ところで、ね……」

「?」

「あんた、何で神様の気持ちとか、反逆者(あいつら)に話したの?あいつらが反逆者であることは変わりないのに」

「ヴェール。あの方たちは神様の本当の気持ちを理解していないのです。人類解放とか復讐とかいろいろ理由があって反逆をしています。けど、もしそれを知ってなお、反逆するかどうか迷うのではないか、と。だから話しました」

「たしかにあいつらは勘違いしている。どうせ哀れみとか思っているけど、本当は…」


 口を閉じるヴェール

 その表情はどこか辛そうである


「ねえブルー。あんたがそのことを話した理由はそれだけじゃないでしょ」

「ヴェール…」

「あたしは解るよ。あんたが誰よりも神様の事を心配しているのは……」

「……そうです。あれ以来、神様はいつも悲しそうな感じがしています。僕はもしかしたらあの方たちに……








 ……神様を救ってほしいと願っているかもしれません」

「……ブルー……」


 天使たちはあの三人に何を願っているのか。

 しかし、今の三人にはそれを知るすべを持たない。

問題はひと段落しました

次はゲートを探す前に休息に入ります

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