vs レイヴェン王子
セリフの文脈が……
それでは、どうぞ
Side:藍
王子は何かを唱えると、オレに向かってきて離れた場所で持っている剣を振り下ろした。
すると刀身からまるで斬撃が飛ぶようにオレに襲い掛かってきた。
「っ!!」
オレは右へ跳び、斬撃を躱す。しかし、
「まだだ!」
王子は唱えながら、次々と斬撃を飛ばした。
オレは何とか躱しつつ【音速移動】で王子に接近し、音叉刀での一撃を叩き込む
しかし、
キィン!
「なに!?」
俺の音叉刀が王子に触れる手前で何かに阻まれた!
「なんだ! これは!?」
「【ウィンド・バリアークス】」
防御の魔法か!? 本当に面倒だ魔法ってやつは!
ならば!
「ァァァァァァアアアアアアアアアアアア!!」
キィィィィィイイイイインンンンンンン!!
音の振動で切れ味を増してもう一度斬りかかる
ギィリリリリリリリリリリリリ!!
だが、これでも王子には届かない……!?
「くそっ!」
「お前の攻撃など効かない!【エアロ・アタッチ】!」
……!
王子の剣の刀身部分に何かがまとわりついてくる……
……風!?
嫌な予感がする。距離を取って離れないと……!
「遅い!」
……! 突進してきた!?
そのまま風を纏った剣がオレの頭めがけて……!
「『はっ!』」
オレは咄嗟に【音声砲】で剣を弾こうとしたが、
「ぐっ……!」
軌道をずらすことはできたが、弾くことはできずその結果、王子の剣がこちらの肩を浅く斬ることになってしまった。
そのまま起動のずれた剣は、左の地面に深く斬り込んだ。
(なんつー切れ味だ。地面が深く斬られるって…)
おそらく、纏わせた風の効用でもあるんだろう。
直撃したらまずい。
だが、離れすぎるとあの飛ぶ斬撃が来る。
ならば、
「はあ!」
キィン!
オレは王子の剣に音叉刀をぶつけた。
接近戦である。
「はあああああ!」
「うおおおおお!」
ガギギギギギギギ!と、お互い譲らずの一進一退を繰り広げる中、オレは王子に問いかける。
「おい、王を殺したのは王位が欲しいって理由だったよな!」
「それがどうした!」
「お前は本当にそんな理由で王を殺したのか!」
「なに……!?」
……ちっ! ようやく一撃が入ったと思ったが、またしても防壁の魔法に阻まれる……
本当に厄介だ!
「どういうことだ!?」
「大体おかしいんだよ! わざわざ遅効性の毒を選ぶってのも。事故死を装った殺しもあるし、暗殺者に依頼もあるし」
「何が言いたいんだ貴様!?」
王子の剣が鈍っている。
悪いが言わせてもらう!
「お前は王位欲しさに父親を殺したんじゃねえ! お前はただ……
……自分の事を見てほしかったんではないのか!」
「!! ……そんなことは……ない!!」
「くっ!」
王子が激しく突き技を出す。
回避! 悪いが話すのはやめねーぞ!
「あんたが暗殺者ではなく、遅行性の毒を選んだのもそれが理由だろ!」
「それがなんだってんだ!」
「あんたはさっき言ってたろ! 『最後まで僕の事を見もしなかったがな』って、おそらくお前は父親が何かを言ってくれたら、解毒剤なりなんなりで父親を助けようとしたんだろ!」
「それって……!」
オレの言葉にリヴィアは驚愕の表情を浮かべる。
その様子に王子は大声で否定する。
「それは……違う!」
……まだ認めないのか?
だったらもっと言うぞ!
「それに本当にリヴィアが邪魔ならなぜリヴィアも毒殺しない! なぜ暗殺者なんて回りくどいことをする!」
「それは……」
「それに、暗殺者の存在がラヴィニスにばれるのもおかしい! 暗殺ってのは密かに殺すことなんだろ! それに、逃げられることも依頼主がばれることもおかしい! どこかでばらしやすいようにしたんだろ! そうやってお前は心のどこかでリヴィアが奇跡的に生きている方に賭けたんじゃないのか!」
王子は攻撃をやめない。
オレは話すことを止めない!
「リヴィアに対する嫉妬とリヴィアに死んでほしくない気持ちが矛盾してしまって、あんな中途半端な状況を作ってしまったんだろ!」
本当に殺す気ならいくらでも手はあったんだぜ。
信頼している人の元に近づいて殺すのにそんなに苦労はいらん。
ましてやリヴィアならなおさらだ。
「ちがう! 僕は王位が欲しかった! 僕を認めない父に代わって僕が王になったんだ!! 僕も父も知らないお前に何がわかる!」
「王については会ったことはないから何も言えないが、お前はわかる……いや、わかったんだよ!」
「なに!?」
「お前は、昔のあいつと同じなんだ。同じだったんだよ!」
リヴィアは言ってた。
『父からはとても厳しく教養されていましたが、弱音を吐かず、ずっと努力をしていました』
『どんなにつらそうなことでも、「大丈夫だ」って笑ってくれるような方でした』
ずっとずっと耐え続けたのに、その努力を認めなかった結果が……
そうだよ。確信した。
こいつは同じだったんだ。
オレの…………オレの…………
……オレの弟と…………!
「だからこそわからせてやる! お前がなんだったのかを!」
ぐ……王子の剣が、オレの頬を掠めた……!
こっちの攻撃が当たらないのに、向こうは当たるのは厄介だ。
仕方がない。この手は使いたくなかったが……
「リヴィア! 耳を塞げ! 思いっきりだ!!」
「え……なぜ?」
「いいから早く!」
リヴィアが耳を塞ぐのを確認すると、オレは思いっきり息を吸い込み、
「貴様、何を……!」
叫んだ。
「【撹乱不快音波】!『――――――――――――――――――――!』」
それは何を叫んでいるかは表現できない。
その叫びを聞いたものは…
「ぐああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
相手の五感をかき乱す!!
今だ!!
「うおおおおおおおおお!!」
王子は今、オレの声に立ち眩んでいる。
その隙を狙い、王子に一撃を……!
「ぐあっ!」
……叩き込め!
「…………がっ!」
当たった…………
……やっぱりな。
集中力を切らせば、防壁の魔法は消えるか……
「お……の、れ…………」
王子……
やっと……倒れたか……
「お兄様!」
リヴィア……
大丈夫、心配いらない…………
「安心しろ。峰打ちだ」
……いろいろと、きつかったが……
何とか王子に勝利した…………
――――――――――――――しばらくして――――――――――――――――
オレとリヴィアは王子の元でしばらくしていると、王子の口から声が出てきだした。
「うっ……」
「! 気が付いたか……」
もっとも時間はそれほど経ってないが……
「き、貴様は……なにを……」
「オレが勝ったから。オレ達の話を聴いてもらおうか」
「話……だと!?」
「ああそうだ。悪いが拒否はさせねーからな」
と、その前に確認だ。
「リヴィア、オレが先でいいか?」
「……はい、構いません」
……さて、話すか。
「そうだな。話の内容は……
……弟の想いに気付いてやれなかったバカな少年の話だ」
突然の昔話
その意図は…




