謁見の間へ
今回は短めです
しばらくはシアンの視点が多くなりますので
それでは、どうぞ
Side:藍
イエローに任せた後オレ達は謁見の間へ向かった。
するとマゼンタがオレにしか聞こえない音量で、
「妙だな」
「どうした? 妙って何が?」
「初めからだ。お前があの森で倒した暗殺者の度量は知らないが、そもそもなぜ王女は逃げることができたのだ」
「それはラヴィニスが早めに気づいたんじゃ…」
「だとしても依頼主まで気づくのはさすがにおかしい。あの騎士がよほど有能か、それとも……ん?」
すると、目の前にはこれまでとはひときわ違う女の暗殺者がいた。
「初めまして王女殿下とそのご一行。私はフラネと申します。お見知りおきは、ありませんけどね♥」
「フラネ……。まさか、『殺人鬼女』と呼ばれた……!」
「ええ、そうです。その『殺人鬼女』です」
「おい、誰だそい(ヒュッ)……!?」
と、マゼンタが急に勢いよく首を左に傾けた。
すると後ろの壁に何か刺さった。
鉄の杭であった。
「おいおい……」
「『殺人鬼女』は数々の、しかも強豪の暗殺をしてきた相当の手練れです。まさかこのような方まで雇うなんて…」
「うふふ…。本当は気がのらなかったけど、あなた方のような強い方がいると聞いて引き受けたのよね。だから……戦いましょ♥」
「「……………」」
まさかの戦闘狂かよ
しかしどうする。この女は相当の手練れ。なら…
「マゼンタ。ここは「シアンは先に行ってろ」ちょっと待てよ!?」
最後まで言わせろよ!
何で一人で闘うんだよ!?
「ここは俺一人でいい。おまえは王女を連れて先に行け」
「何言ってんだよ! 一人より二人の方が有利だろ!」
「それは王女という守る者がいないならの話だ」
「……………!!」
「いくらなんでも王女を守りながら戦うのは厳しい。かといって王女だけを先に行かせるわけにもいかない。なら……」
「ここはあんたに任せて、オレとリヴィアは先に行けと」
「そういう事だ」
しかし、とオレは思ったが気になんかしていられない。
「リヴィア。いくぞ」
「はい。わかりました」
「マゼンタ。気をつけろよ」
「ああ。この戦いが終わったらすぐに駆けつける」
「マゼンタ。それは……」
昔読んだおとぎ話では、そう言った奴はみんな……まあいいか。
そんな不吉なことを思いながらもオレとリヴィアは謁見の間へ向かった。
Side:紅
さて、なにやらシアンが縁起でもないことを思っていたような気もするがまあいい。
と、ふと疑問に思った俺は、目の前の女に問いかけた。
「先に行かせて良かったのか?目標は王女だったのでは?」
「ふふふ♥ 正確には王女を護衛してるであろう者たちの事よ。あの森での観測者がその情報を私たちに教えたからね♥」
どうやらあの森にもう一人伏兵がいたようだ。ったく、シアンも詰めが甘い。
ん? 観測者? 正確には俺達?
「だからね、私は強い人たちと闘いたいから王女よりは護衛の方を優先したいんだけど…」
「けど、なんだ?」
「あなたって不思議ね♥ あのおチビちゃんもそうだけど、あなたって体格と体の動きがかみ合っていない感じで、まるでいきなり体系が変わったみたい」
「……………」
名のある殺し屋ってのは伊達じゃなさそうだ
未だに今の体に昔の動きをしてしまい、かみ合わなくなっているところを。
「ふふふ♥ でもあなたってなんだか見た目に合わず凄そうだから……」
そう言うと女は服のいたるとこからから杭を取り出し、
「…………あたしを……楽しませて♥」
そう言ったのであった
「……ふっ!」
これは本気で行かないとな。
「【焼籠手】」
俺の両手が熱く……!
「【焼脚】」
俺の両脚も熱く……!!
「【焼肉】」
俺の身体はもっと熱い!!
「女。たしかに俺はとある事情で昔の身体から急激にこんな体になってしまったのでな、俺の身体がどう動かすべきか試させてもらうぞ」
「へぇ、あたしは実験台? うふふ、なら早く見つけることね♥」
そう言い放ち俺と女はほぼ同時に動いた。
Side:藍
リヴィアの案内でしばらく走った後ようやく目的地にたどり着いた
オレは躊躇なくその扉を開ける。そこには……
「お兄様!」
「リヴィア……!?」
そこにいたのはとても優しげな、悪く言えば気が弱そうな青年がいた
こいつがリヴィアの兄、レイヴェン王子か……
「くそ! ここまで来たってことは仕留めそこなったってことか。あの役立たず共が…!」
「お兄様……?」
呆然とするリヴィア。そりゃあそうだ。優しかったらしい人物がこんなことを言うなんてな。
「お兄様、答えてください。どうしてお父様を殺したのですか!」
「どうしてだと? 王位が欲しいからだ。父上は僕に王位を継がせる気がないと言ったからだ」
「そんな……!?」
王位ってそんなことのために父親を殺したのか!
「な…何を言ってるんです!? 王位は国王の嫡子が継ぐものなのです。その時が来ればお兄様が…」
「継がれないんだよ! 僕は!!」
「え……?」
「王位を継ぐのは僕ではない。父上は言ったんだ! 王位を継がせるのは僕ではなくお前なんだよ、リヴィア!」
「!!」
なんだよこれは。いったいどういう事だよ?
「では、お父様の臣下に関してはどうされたのですか!?」
「あの者たちは毒や暗殺者を手配してもらえたのだよ。あの者は僕を利用するようだが、僕を認めるのなら僕はそれでも構わない!」
「なにを……!?」
「そうだよ。父上はいつだってそうだ。僕がどんなに努力をしても、「だめだ」「まだやれるだろ」「この程度か」とか言ってくるんだ。僕の努力を認めずに……!!」
「お兄様……」
「それでも僕は頑張った。政治も、軍事も、歴史も、地理も、産業も、経済も、剣術も、魔法も、どれもこれもみんな頑張ったのに……!!」
「それなのに王位を私にと?」
「そうだ!「リヴィアが最も濃く賢者様の血を継いでいる」という理由で、せっかくの努力を見ることすらせず王位をリヴィアに継がせると……!」
「それで……お父様を……」
ああ、そうか
こいつは……こいつは……
「そうだ。僕の事を見なくなった父上に毒をもったのだ! 最後まで僕の事を見もしなかったがな!」
「それは……!」
「そしてリヴィア、お前もそうだ! お前は今の王族の中で最も賢者様の血が濃く出ているという理由で僕の事を否定した。だからお前を……!」
「それはちが……」
「待ってくれ、リヴィア」
気が付いたらオレは、
前に出でいた。
この男は……
「だったらオレと勝負しないか。お前は王になりたかったんだろ。そのために強くなろうとしたんだろ」
「シアンさん……何を?」
「勝負だと……?」
「オレが敗けたらリヴィアはここから出ていく。二度と会えないように遠くへ行く。ただしオレが勝ったら、オレ達の話を聴いてもらおう」
「そんな! シアンさん何を言っているんですか!?」
「僕と闘うだと? いったい……」
「ごちゃごちゃ言ってないで早くしろ。やるか、やらないか。あんたが勝ったらリヴィアはいなくなるんだから好都合だろ」
「………わかった。勝負を受けて立とう」
「お兄様!? シアンさん!?」
「リヴィアは口出しをするな」
そう言うと。王子は刃渡りが長めの剣を引き抜いた
オレも音叉刀を構える
「お互い魔法ありで剣術ありだ。それでいいか」
「ああ、構わない。僕の剣と魔法の腕を見てもらおう」
そして、お互い同時に動いた
(この男はもしかしたら…)
オレはそう思いながら…
シアンは一体何を思ったのか




