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第39章 美織大学最終年に入って

年が明け美織も美空も芸能界の仕事を無難に熟していた。美織は4月20日に第6弾シングルで新曲の【the smell ofcherryblossom】(桜の匂い)をリリースした。美空は2月26日に第2弾シングル【blue sky blue】をリリースしていた。美織は第1弾シングル【ビーラブドラバーボーイ】はミリオンヒットはしたが第2、第3.第4、第5シングルは80万枚.90万枚でミリオンヒットはしていなかった。このままでは一発屋の可能性もあり内心焦っていた。大学も4年生になり来年は卒業だった。単位はかろうじてクリアしていた。7月に教員免許試験がある。卒業見込みで美織は試験を受ける資格はあったが2週間の教育実習を受けないと資格がもらえなかった。社長に頼んで5月に2週間の休みをもらえないかと頼み込んだ。4月20日の第6弾シングル発売日に渋谷のCDショップで即売会イベントが行われた。【the smell ofcherryblossom】だ!ショップ前は朝から行列が出来ていた。やはり、開店30分前にお店を開けて対応した。午前中に1000枚を売った。ランチの時間になりお店が用意したお弁当を目の前にした「頂きます。」美織は合掌し箸を持って幕の内弁当を食べ始めた。皆も「頂きます。」合掌し食べ始めた。今日は美空もお手伝いをしてくれていた。食べ始めてすぐに「社長、相談があります。来月2週間くらいまとめてお休みを下さい。教員免許試験を受けるのに教育実習をしなければならないのです。単位は社長のおかげでクリアしています。実習だけしないといけないみたいで是非お願い致します。」美織は社長の目をじっと見つめて頭を下げた。「わかった。休め。早いうちにとっちまえ!」社長は美織の目をじっと見つめた。「美織さん。教員免許取るんだ?羨ましい限りです。歌手はどうするんですか?私立なら副業は出来ると思いますが公立は無理だと思います。美織さん。有名な歌手ですから、その辺臨機応変にやってくれたりしてくれたりしないのですかね?」美空は美織の目をじっと見つめた。「たぶんないと思うよ。お硬い仕事だかね。私は、是非私に音楽の先生で来て欲しいと言ってくれる学校を希望するのね。ただそれだけよ。駄目なら社長に作詞作曲家として紹介してもらえたらそれだけは続けていたいと思っているのよ。ヒット曲書けるかわからないけどね。後バイトでヤマハ音楽教室の講師とかあるよね。」美織は皆の顔を見て優しく微笑んだ。「教員免許は音楽と何を取るんですか?」美空は美織の顔を見た。「音楽と英語かな?私、英検1級持ってから。」美織は美空の顔を見てニカッと笑った。「美織さんは素晴らしいなぁ!なんでもで来て?」美空は憧れの眼差しで美織を見て優しく微笑んだ。「今まで一生懸命やって来た事が為になっただけだよ。これからどう生きて行くかが問題だよ。今は宮園社長他皆さんに可愛いがっていただいているけど?これから先は自分の手で切開かないといけない。それで手っ取り早いのが教師ね。宮園社長には悪いけど私、歌手にこだわりはないから!運よくデビュー曲が売れたけどその後はふんだりけったりだから一発屋て終わりそう?」美織は微妙な表情を美空に見せて「ご馳走様でした。」合掌し箸を置いた。5月に入って、教育実習の授業のカリキュラムが入り始めた。6月の初旬から2週間の予定で各小学校、中学校、高校と希望する所への教育実習が決まった。美織は都立の公立中学校への教育実習が決まった。6月1日に指定された中学校へ行くと全校朝礼で「本日から教育実習生が本校にも来ておられます。生徒がザワザワしていた。音楽の梅澤美織先生です。皆さん、梅澤美織先生の事は知ってますよね。」教頭が美織を紹介すると「は〜い!」と全校生徒が返事をした。美織は朝礼台に上がり「皆さん。おはようございます。本日から教育実習のお世話になります。梅澤美織です。宜しくお願いします!」美織は全校生徒の顔を見て笑顔で深々と頭を下げた。朝礼終了後早速1年2組の授業があった。音楽室の教壇に立った。ステージに上がった感覚と一緒だった。「一発屋が来た。」と男子生徒がコソコソ話してるねが聞こえた。美織はその男子の顔と名前をしなと覚えた。前澤陽斗だ。「本物はテレビより綺麗よ。」篠崎恵がコソコソ言った。美織は耳が良いからどんな音も拾ってしまう。生徒全員、美織の出方を観察していた。美織は皆が最も興味がありそうな話をした。芸能界の話だ!どのアイドルが可愛いとかカッコいいとか知っていた範囲で話した。「芸能界には興味をもってはいけない。ただ自信があれば自分のチカラを試すには最適な所だ。チャレンジはすべきだと背中を押した。まず、皆はどんな音楽をやりたい?」美織は一人一人にプリントを配った。回収したプリントにはハードロックから演歌まで多種多様で面白い意見が聞けた。美織はピアノで全てのジャンルを表明し音にした。ハードロックならこうね。音と歌でわからせた。元になるおきまりのリズムを刻んだだけだったが皆の食いつきがハンパ無かった。掴みはオッケーだった。美織は音を変えないで色んなリズムを組み立て曲にして聞かせた。生徒達は前のめりになってくるのを肌で感じた。エレキギターまで持ち出し演奏すると生徒達から感嘆のため息が出た。ベースを持ってリズムを刻むとR&Bの表明が簡単に出来るようになり生徒達は理解してくれていた。最初の授業としては手応えを感じた。これと同じ授業を2年生や3年生にも行った。先輩の先生の授業はメモをとり良く観察した。生徒達も良く観察し、どんな授業が良いか確認した。生徒からの憧れの眼差しと憎まれ口は実習が終わるまで続いた。「梅澤美織は一発屋だ!」構内に張り紙までされた。クソ!と言う気持ちで毎日の授業に前向きに臨んでいた。中学生を相手にするのは疲れるなぁ?と思った頃に実習は終わった。音楽の先生から厳しい言葉を貰った。「元歌手だか何だか知らないけど授業が押し付けがましい。」とハッキリ言ってもらえて感謝した。性根を入れ替えないと出来ない仕事だと知らされた。校長や教頭からは温かい言葉を貰ったが嬉しくはなかった。こうして2週間の教育実習は終わった。そして、7月の教員免許試験にも合格した。卒業までの論文のテーマは「ワンヒットワンダーの勧め」だった。中々ヒット曲に恵まれなく辞めて行く多くの歌手に向けた論文であった。美織はそれを体験したから書けたものであった。美織は教員免許取得を事務所の仲間と共有すると共にファンにもSNSで知らせた。家族にも勿論の事。全員が喜んでくれた。美織は今後の事を社長や筒井マネージャー、美空と話した。芸能界を引退するか、続けるか美織は悩んでいた。本人は辞めたい気持ち半分続けたい気持ち半分だった。社長がまだまだ行けるから別に辞めなくても良いと言ってくれた。公立の小学校中学校高校は無理だから私立の中学校へと推薦した。そんな時、教育実習でお世話になった都立中学校の秋元校長か、興味があったら私立中学校から是非うちの学校に来て欲しいと誘いを貰ったと美織に連絡が入った。都内の私立中学校の面接を受けた。学校側も是非芸能界をやりながら生徒の指導をして欲しいと頼まれた。美織は大学院への進路を諦めて私立中学校へお世話になる事を決めた。そして、翌年3月に大学を卒業した。また、2足のわらじを履く事になった。ここに世田谷区成城学園中学校への音楽教師の赴任が決まった。そして、美織はマンション探しをした。

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