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コンプレックスは最強の個性!? 〜二つの力を両立し、世界の架け橋となる王と愉快な仲間の行進曲〜  作者: 武徳丸


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エピソード81:超魔導要塞わが家

いつもご愛読いただきありがとうございます。


死の都での死闘を終え、一行はいよいよ故郷ドラグーン王国へと帰還します。

しかし、懐かしき我が家で彼らを待っていたのは、感動の再会……だけではありませんでした。


 追われている身でなければ、空の旅というのはこれほどまでに気持ちが良いものか。

 眼下に流れる雲、どこまでも続く青い地平線。


 魔導船のデッキでは、初めての空に興奮を隠せないガーラントたちが、子供のように身を乗り出してはしゃいでいた。


「おい、見ろよ! 雲があんなに下にあるぞ!」

「これが世界初の魔導船か……。ガーラにいた頃は想像もできなかったな」


 彼らの浮かれっぷりを見ていると、こちらまで鼻が高くなる。

 だが、そんな穏やかな時間は、目的地が近づくにつれて一変した。


 死の都を抜け、懐かしきドラグーン王国の領空に入る。

 そして、見えてきた王都の姿に、俺は思わず目を疑った。


「……アルテオ、あれなんだと思う?」


「……ドラグーン城、だよね? たぶん。僕の記憶が確かなら」


 あまりの変貌ぶりに、俺は隣の親友に確認せずにはいられなかった。

 俺が知っているドラグーン城は、あんなにトゲトゲしていなかったはずだ。


「ナバール様……。気のせいか、無数の巨大バリスタがすべてこちらを向いているような気がするのですが……」


 オーウェンが、冷や汗を流しながら良からぬ進言をしてくる。


「アタイが言うのもあれだけどさ」

 エイルが呆れたように鼻を鳴らした。

「魔族の襲撃で大きな被害を受けたばかりの国がさ、正体不明の巨大な飛行物体が空から近づいてくるのを見て、どう思うかねぇ?」


「……間違いなく、迎撃体制をとりますな」

 オーウェンが真面目な顔で頷く。


「しかもさ、それが『死の都』の方角から飛んできて、真っ直ぐ王都に突っ込んでくるんだよ? どうなると思う?」


「いやいや! さすがに望遠鏡で我々の姿を確認してるでしょう!」

 クロードが笑い飛ばそうとしたが、エイルがたんたんと追い打ちをかけた。


「その望遠鏡でさ、デッキで魔族たちがはしゃぎ回ってるのを見ていたとしたら?」


「「「「「やばい!!!」」」」」


 全員の声が重なった。


「迎撃一択だね、あはは!」

 一人だけ楽しそうなアルテオが指差す先で、さらなる絶望が待っていた。


「んん!? アルテオ、あの城、なんか変形してないか!?」

「あ、本当だ。城壁がスライドしてる……。ナバール、あれはヤバいかもね!」


 轟音と共に、ドラグーン城の城壁が移動し、見たこともない重厚な防衛要塞へと姿を変えていく。

 そして、城の中央部からせり上がってきたのは、巨大な回転式の砲台だった。


「わーっ、スッゲー! なんだあの魔導ギミック!」


 エイルが職人魂を燃やして感動しているが、こっちは命の危険を感じている。

 あの砲口、間違いなく俺たちをロックオンしている!


「クロード、まずは停船だ! アルテオ、俺と一緒に甲板に出て手を振るぞ!」

「オーケー、目立つようにね!」


 迷っている暇はない。

 俺とアルテオは急いでデッキの最前部へと走り、ちぎれんばかりに手を振った。


 だが、無情にも砲台は青白い光を帯び始める。

「……ねえ、あの光り方。たぶんエタンの魔導砲と同じ理論だね」


「呑気に解説してる場合か! あれ、防げると思うか!?」

「むりー」


 アルテオが即答した。終わった。

 自分の家に撃ち落とされる王なんて、歴史上俺くらいだろう。


「こうなったら、上に花火みたいなの放ってみるかい? 二人の魔力コントロールならいけるでしょ」


「やれることは全部やる! アルテオ、頼む!」

「任せて。僕のタイミングに合わせてね」


 俺とアルテオは同時に空へ向かって右手を掲げた。

 練り上げた特大の魔力弾を、天空高くへとぶち上げる。


「今だ!」


 アルテオの合図で、魔力弾を空中で炸裂させた。

 俺たちの繊細な魔力操作により、真っ昼間の空に、黄金の竜が舞う『ドラグーン王国の紋章』が鮮やかに浮かび上がった。


「ふふっ、こんな時だけどさ、ナバール。本当に魔法のコントロール上手くなったよねぇ」

「サンキュー! ……で、どうだ!? 伝わったか!?」


 祈るような気持ちで城を見つめる。

 すると、青白く光っていた砲台のエネルギーが、ゆっくりと、しかし確実に減衰していった。



「……助かった。エイル、そのまま王都の広場に降りてくれ!」


 着陸した広場には、サムソン率いる騎士団が今にも斬りかからんばかりの勢いで集まっていた。

 だが、アヴァニールから降りた俺たちの顔を見るなり、全員が武器を納めた。


「ナバール王! お帰りなさいませ!」

 サムソンの安堵した声に、ようやく肩の力が抜ける。

 そこにはエドルやクリス、そして……満足げな笑みを浮かべる母上がいた。


「出迎えありがとうございます。……ってか、母上! 城があれ、とんでもないことになってるんだけど!」


 俺が叫ぶと、横にいたクリスが申し訳なさそうに視線を逸らした。

「私も止めたのですが……アイリス様が、どうしても試してみたいとおっしゃって……」


「あら、失礼ね。すべては国の防衛のためですよ? ナバールたちが協力してくれたお陰で、実戦形式の予行練習もできたし。……あぁ、楽しかったわ!」


「……母上、本音漏れてるよ」

「あらやだ、ホホホ!」


 天才魔道具師の母に、城をリフォームさせてはいけない。

 俺は固くそう心に誓い、苦笑いする仲間たちと共に、ようやく故郷の土を踏みしめるのだった。


最後までお読みいただきありがとうございました。


ナバールの居ぬ間に、ドラグーン城はアイリス様の手によってとんでもない変貌を遂げていました。

自分の城にロックオンされるという、前代未聞の「お出迎え」でしたが、無事に土を踏めて何よりです。


久々の故郷、少しだけ羽を伸ばせるといいのですが……。


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