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コンプレックスは最強の個性!? 〜二つの力を両立し、世界の架け橋となる王と愉快な仲間の行進曲〜  作者: 武徳丸


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エピソード74:死地への舵取り

【前書き案】

地上を駆ける装甲車と、空を裂く魔導船。

退路を断たれたナバールたちが挑むのは、前代未聞の「走行中収容」!

そして、アルテオが下した予想外の決断とは――。


ドックを背にした俺の視界には、すでに魔族の影が躍っていた。


彼らの狙いがドックにあるのは明白だが、今は一刻の猶予もない。

エイルたちが命懸けで飛ばした船に、地上組が追いつけないなんて訳にはいかないからだ。


タウロスの待つ門外へ躍り出ると、十名ほどの魔族小隊が立ち塞がった。


「邪魔だ、どけッ!」


俺は地を蹴る。

その踏み込みの一歩で、地面が爆ぜた。


「早いっ……!」


背後でオーウェンが驚愕の声を漏らす。

エイルが打ち直した新たな相棒は、恐ろしいほどの吸い付きで魔族の鎧ごと肉を断ち切った。


以前のような、武器の重さに振り回される感覚は微塵もない。


連日の魔力枯渇と、エイルへの回復魔法の反復。

それは、俺の魔力量を劇的に底上げしてくれていた。


竜人の力と魔力の混合オーラを纏った身体強化は、今までの域を遥かに超えている。


「流石はナバール様、私もうかうかしていられませんな」

「魔力量が以前とは桁違いです。……これなら!」


オーウェンとクロードが頼もしげに頷き、一行は爆走するタウロスへと飛び乗った。

クロードが舵を握り、俺とオーウェンは屋根の上で空からの追撃を迎え撃つ。


オーウェンの放つ鋭い斬撃と、圧縮した俺の土弾が空を舞う魔族を次々と叩き落としていく。

だが、その時、タウロスの『ビービー!』という警告音が非情に車内に響き渡った。


『前方2キロ、魔族軍約5000。待ち伏せを確認。完全な包囲網です』


「5000とは、また随分と歓迎してくれますな。元々こちらの退路を断つ算段だったようですね」

オーウェンが剣を構え直すが、その表情には流石に険しさが混じる。


「クソ、突撃するしかないか……!」


前方は大軍、背後からは追手。退路はない。

俺が玉砕覚悟の突撃を決めたその時、腰の通信機から激しい雑音が弾けた。


『(ザサッ)……そのままッ! (ピッ)……スピードを落らさず走らせて……ッ!』


アルテオの声だ。

空を見上げれば、火花を散らしながら高度を下げてくる巨大な影があった。


「クロード……(ザッ)……わかってるね!」

「ええ! ナバール様、オーウェン殿、衝撃に備えて中へ! 舌を噛まないでくださいよ!」


上空から猛然と現れた魔導船が、タウロスの速度に合わせるように低空へと滑り込んでくる。

船底が開き、そこから巨大な金属製のスロープが、まるで舌を出すように展開された。


「このまま……タウロスごと乗り込むのか!?」

「もう、行くしかありませんからね!」


目前には魔族の大軍が迫る。

クロードはアクセルを床まで踏み込み、タウロスのエンジンが悲鳴を上げた。



ドォォォン!! (キャッ!)



激しい衝撃が一行を襲う。

走行中の船体と車体。わずかな速度のズレがタウロスを激しく跳ねさせた。


車体を斜めに傾かせ、火花を散らしながらも、タウロスは魔導船の腹の中へと吸い込まれていく。



ガキィィィン!



すぐさまスロープが閉鎖され、魔導船は魔族の軍勢の頭上をかすめるようにして急浮上した。

激しく揺れる船内の中、待ち構えていた職人たちが手際よくタウロスをベルトで固定していく。


「……ふぅ。死ぬかと思った」

(私も怖かった……みんな無事で良かった)


どこからか聞こえたような気がしたが、周囲にそんな余裕のある者はいない。

俺は乱れた息を整え、オーウェンたちと共にブリッジへ駆け上がった。


「助かった、アルテオ!」


「いやー、礼を言うのはまだ早いんだなぁ。見てよ、これ」


アルテオが指差すモニターには、空中に展開する無数の魔力の光。

「前方は空中戦に特化した魔族部隊だ。この船、今は飛ぶのが精一杯で、まともにやり合ったら一瞬で落とされるよ」


エイルが必死にレバーを操作し、機体のバランスを保っている。

「このままエイシェンツリーへ向かえば、空中で蜂の巣だな……」


俺の呟きに、アルテオは苦渋の決断を口にした。


「今、急旋回して山沿いを進ませている。目的地を変更するよ。……『死の都サイレンス』に向かう」


「……っ!? あそこはアンデッドの巣窟だろ! 正気かい!?」


エイルが悲鳴のような声を上げる。

だが、アルテオの瞳に迷いはなかった。


「魔族は生者だ。アンデッドを嫌う彼らは、あの呪われた土地までは追ってこない。理想を言えばそのまま、霊峰スインウィッシュ沿いにドラグーン王国に向かいたいのだけど……」


俺はアルテオの目を見つめた。

そこにあるのは、勝つための冷徹な計算と、仲間を信じる熱。


「……わかった。アルテオの判断なら間違いない。よし、死の都サイレンスへ行こう!」


大軍との正面衝突を避け、あえて死地へと潜り込む。

一行を乗せた魔導船は、夕闇に沈む不気味な都を目指し、重苦しく舵を切った。


【後書き案】

第74話、いかがでしたでしょうか。

ついに「タウロス・オン・魔導船」が実現しました!アルテオの秘密の改造はこれだったわけですね。

しかし、安堵したのも束の間。行き先はまさかの「死の都」。

次回もお楽しみに!


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