表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コンプレックスは最強の個性!? 〜二つの力を両立し、世界の架け橋となる王と愉快な仲間の行進曲〜  作者: 武徳丸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
103/108

エピソード98:覚悟の刃、不滅の壁

いつもご愛読いただきありがとうございます。


激突するナバールとギルフォード。

因縁の二人がついに剣を交えます。

王としての覚悟を胸に、圧倒的な成長を見せるナバールの刃。

しかし、追い詰められた策士の笑みの裏には、最悪の結末が隠されていました。


 クレーターの底で、ギルフォードは血に塗れながら不気味に笑った。


 背中の翼は無残に引きちぎられ、ドワーフたちの爆撃によってその身体は満身創痍。

 かつての気高さなど、もうどこにもない。



「……くく、あははは! ほう、これがドラグーンの新王ですか。

 これほど大きなダメージを負い、翼すら失った私を、上空からの不意打ちの挙句に斬るのですか?

 正々堂々、剣を交えることもなく?」


 ギルフォードはわざとらしく肩をすくめ、歪んだ挑発を俺に投げかけてくる。



「みっともないですな。やはり、人の血が混ざった愚かな半純血は無粋極まりない。

 正義を騙る割には、複数で寄ってたかって一人の老兵を追い詰めるとは、随分と卑怯な英雄譚もあったものです」



 かつて我が国を滅ぼしかけた宿敵の言葉。


 確かに、古い騎士道の美談や英雄譚の舞台なら、今の俺は「卑怯者」と謗られるのかもしれない。

 悪は罠や裏切りなどの姑息な手段を使うのが当たり前で、それを正義が正々堂々と打ち破るからこそ美談になるのだから。



 だが、俺の心は一ミリも揺らがなかった。



「……お前の言う通り、俺は英雄でもなければ、高潔な騎士でもない。

 ただの不器用な男だ。そして――これは戦争だ」



 俺はただ、目の前の悪を、この国を脅かす脅威をここで終わらせる。

 その揺るぎない覚悟だけが胸の奥で静かに燃えていた。


 構えた剣、そして俺の全身から、黄金のオーラが爆発的に吹き荒れる。



「いくぞ、ギルフォード」



 音を置き去りにする速度で踏み込み、一気に斬りかかった。


 ギルフォードは咄嗟に指揮棒タクトを抜き放ち、狂ったような魔力障壁を展開して俺の一撃を弾き返す。



「ちっ、口車には乗ってはくれないようですね……!」



 言葉の応酬は終わり、鉄と魔力の衝突音が戦場に響き渡る。


 数合、十数合と火花を散らして切り合う中で、明確な力の差を肌で感じていた。

 ギルフォードがどれほど深手を負っているとはいえ、俺の剣筋は以前とは比べ物にならないほど鋭く、重い。


 奴の目に見る見ると驚愕の色が広がっていくのが分かった。



「舐めるなよ、小倅がァァッ!」



 ギルフォードが叫び、魔力を爆発させる。

 かつて俺を絶望の淵に叩き落とした、虚空から数十本もの魔力の剣を作り出す魔法。


 それらが一斉に俺へと牙を剥いた。



 だが、今の俺には全てが見えていた。


 それだけじゃない。

 手に握る、エイルが魂を込めて打ってくれた新王の剣が、まるで俺の意志に呼応するように歓喜の声を上げて震えている。



「そんなものは、もう通じない!」



 一歩も退かず、神速の剣閃で迫り来る魔剣をあっという間にすべて叩き落とした。


 ギルフォードは歯噛みし、今度は空間を埋め尽くすほどの数十本の魔槍を現出させ、一斉に放ってくる。



 しかし、今の俺は叩き落とすだけでは終わらない。

 流れるような剣捌きですべての軌道を反らし、逆にギルフォード自身に向けて弾き返した。



「なっ……、ごはっ!?」


 自らの魔法に切り刻まれ、ギルフォードが後退する。

 追い詰められた策士の顔から、完全に余裕が消え失せていた。



「これならどうですッ!!」



 ギルフォードが狂乱気味に放ったのは、かつてエルフの砦を一瞬で吹き飛ばした、最大級の破壊の魔力弾だ。

 凝縮された絶望の光が俺を呑み込もうと迫る。



 俺はただ、深く息を吸い、剣を真っ直ぐに振り上げた。

 王のオーラが、眩い黄金の光となって刃に集束していく。



「これで、終わりにする!」



 黄金の光刃が空間ごと魔力弾を両断し、一刀の下に切り裂いた。


 直撃の余波でギルフォードの指揮棒が粉々に砕け散り、奴は無様に尻餅をつく。

 死の恐怖が、その老いた顔を支配していた――はずだった。



「……く、くく。素晴らしい。ですが、私の役割はここまでです」



 血を吐きながら、ギルフォードの口元が不気味に吊り上がる。

 その目は決して諦めてなどいなかった。


 奴は初めから、俺のこの一撃を誘っていたのだ。



「――さあ、目覚めの時間ですよ。ヴェルガー様、いや、偉大なる我が主よ……!」


 奴が天に向けてそう叫んだ、次の瞬間。



 俺が放ったトドメの黄金の斬撃「ドラゴンスラッシュ」がギルフォードの首へと迫る直前、戦場全体の空気が一瞬で凍りつくような、圧倒的なプレッシャーが吹き荒れた。



 ドンッ!!



 俺の魂を込めた斬撃が、漆黒の巨大な爪によって、いとも容易く受け止められていた。



 そこに立っていたのは、禍々しい漆黒のオーラを全身から噴き出す、竜人化――いや、もはや魔神化と呼ぶべき恐るべき姿を遂げた、真の宿敵。



 だが、その姿はどこか異様だった。

 かつての傲慢なまでの王の威厳はなく、その瞳は混沌に濁り、激しい苦悶に歪んでいる。



「……ア……、オレ……、ウ……、オ……」



 ヴェルガーの口から漏れたのは、言葉にすらならない、獣のような呻き声だった。

 完全に何かの意思に心を侵食され、理性を忘却しつつある男の、それはまるで魂の悲鳴のようでもあった。



 ゾク、と背筋に冷たいものが走る。


 この手で「止めなければならない」と誓った男が、今、最悪の化け物として俺の前に立ちはだかっていた。


最後までお読みいただきありがとうございました。


「これは戦争だ」と言い切るナバールの覚悟、本当にシビれましたね!

ギルフォードを圧倒するほど強くなった新王の姿にスカッとしたのも束の間、

ラストに現れたヴェルガーの異様な姿に、一気に戦慄が走りました。

理性を失いつつあるかつての王を前に、ナバールはどう立ち向かうのか。


続きが気になる!という方は、ぜひ【ブックマーク】や【評価】をよろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ