11話 友人との勉強会
今回はのんびり会ですね
あの一件の後、まぁこれと言ったことも起きず平穏な日を過ごして数日後。
当たり前だがあれで解決したなんて思う訳は無く、彼女のクラスでの態度も変わる訳ではなかった。
男の時にこっそり盗み見……はあまり良くないのは知ってる。が、しかし気にするなというのは色々あった身としては心配するなという意味では難しく、つい見てしまうのだ。
まぁ……視線が気になるのかたまにこっちを見て不思議そうに首をかしげたりするが。元気そうでなによりと言った所である。
あれから少しクラスの皆と少し喋る様にもなったようで、というかあの一件で周りも何かあったんだろうと心配は少ししてるみたいだ。女子同士の会話には流石に聞き耳立てるのは変な目で見られるかもしれない為、止めておいた。
それはともかく、そんな彼女と向かい合って座っている。しかも彼女の家で、もちろん女子同士だが。
「分かんな~い!」
投げ出す様に両手を広げて背中から床へ倒れ込むかなめ。彼女はやっぱりというか運動系で勉強はあまり得意ではなくて、こうやって投げ出すこと3回目だ。因みに勉強を始めてから1時間中での話。
最初に女子の家にお邪魔するとか後で事情を知った彼女に通報されるんじゃないかと、過ぎた妄想までしたのだが。ラフな格好で気にした様子もなく、友達感覚の彼女では気にしてる自分が馬鹿なんじゃないかと思って勉強に励もうとしたがこんな状況が続けば呆れて物もいう気もでない……俺も勉強が嫌いだし人の事言えないがな。
「はぁ、貴女それで何回目よ。赤点取ったら夏休みが宿題と補習で終わるわよ」
そう言いながら入ってきたのは美河さん。
溜息吐きながらもトレイを持って3つのお茶をテーブルに置いて、静かに腰を下ろした。
「ははは……私も苦手だし気持ちはわからなくも無いけど」
「それにしても異常よ、前回のテストなんて赤点ギリギリの点数だったんだから」
因みに彼女は眼鏡をかけてる。たまに見かけるので思い切って質問した所、伊達だけど勉強する時はスイッチを入れるために掛けるらしい。キリッとした印象が更に強くなって凄く賢そう、クール系は少し嫌いじゃないと思ったりして自分の中へ静かにしまった。
「あいはテストどうだったの?」
「ん?えっと……」
前回のテストどのくらいだっけ……。前回の点数を思い浮かべていると。
「あいは転校生だから初めてだよ」
あ、そうだった……つい忘れてた。
かなめに言われて気づいた。今回が初めてだから答えられないの当たり前だった。口に出していないから問題無し……と思いたい、冷や汗かいたけど。
無駄に居心地が良いから気が抜けてたかもしれない。
かなめは体を起こしつつ、勉強へ戻るため教科書を見ているが表情がいかにも面倒というか苦虫を踏み潰したような顔になっている。
あだ名というか呼び名は俺の事は、あいと呼ばれるようになった。やっぱりむず痒い。
そういえば夏休みか、そろそろというか……さすがに親のお古着るのはどうかと思うし服買わないといけないな。何度か買いに行けと言われるんだけど行けるの午後だし、帰りにでもと思うがそういう時に限って親が忙しいとかあって今頃に。
下着だけはと連れて行かされて買ったが。
「どうしたの?」
「あ、えっと夏休みだから服でも買わないとと思って」
考えている時に美河さんに声かけられてついさっきまで考えてた事を喋ってしまった。
しまった。そういえばこの話題は……。
「水着とかも必要だよね!ついでに洋服も見ていけばいいし、何時にする?」
「それよりも今は勉強でしょ」
母親の買い物に付き合うとロクな事が無い。偏見ではあるが意外とそうでもないと自信も持っている、女子は買い物が長い!
しかもこの炎天下、色々な準備物があるだろう。日焼け止めとか荒れ防止とか。
……
俺もなんか理解出来てしまう所、染まってきたかもしれない。
美河さんも否定しない所見ると、参加しそうだな。まぁ自分から何かボロを出さない限りはバレることは無いだろうから安心できるけど。
自分の美的感覚なんてものは当てに出来ない為、買うものを選んでくれるならこちらとしても嬉しい。あれでもなんか忘れてるような気がする……なんだっけ。
なんかそれ以前に結構な問題があるような気がするけど、大丈夫だろ。
美河さんは一呼吸置き、かなめと俺の方へ交互に顔向けて訪ねた。
「そういえばこの前の貴女が襲われそうになった時の人たちはどうなったの?」
「私はよく分かってないけど、停学にはなったんじゃないの?テスト期間中に復帰できないから夏休みに強制補習だ。なんて先生が言ってた気がするよ」
校長に色々言ったというか会話を諸々聞かけせてしまってる為、普通といえば普通。問題は復帰した後にまた同じ様にしてくるかもしれないくらいだ。やっておいて心配する気は無いが約1名は確実にトラウマ植えつけたのではないだろうか。
「あの時のあいはかっこよかったよ!4人相手に一歩も引かなかったし、それにすぐ駆けつけてくれたもん」
助けた彼女はそう言って俺の方へ、少し申し訳なく嬉しそうな表情で言葉にした。
勝ち目は無かったけど、そう言ってもらえるのは嬉しいな。もっとやりようはあったと思うし、無謀だとは思っていた。だけどその分手遅れになる前で良かったのかもしれない。
「ふぅ~ん、意外と何も考えていないと思っていたけど。しっかりしてるのね、あの時の事は私もお礼を言わないとね。ありがとう、友達を守ってくれて」
何も考えてないと思われてたのか。
心から嬉しそうに微笑む美河さんに、反論しようとしても出来なかった。
「それよりも勉強!あい~ここ分からない」
「はいはい」
ちょっとしんみりした雰囲気が嫌になったのか、かなめはさっきまで嫌がっていた勉強を始める。所々俺に教えてもらう声を出しては泣きついてくる。一応転校生っていう事なんだから、その転校生に教えてもらうなよ、普通逆だろう。
そう思いつつも、分かる範囲だけでも教えて、分からない部分は優秀な美河さんに教えを乞う事に。
こういう勉強会みたいのって悪くないな。
そもそもの始まりは、全く聞いてなかったホームルームの先生がそろそろテストだという知らせをしていた事だ。午後登校の俺には個別に知らせてきた事から、そういえばテストあるんだっけと呑気にしていた時。
かなめが教科書を睨みつけ進んでないようなノートを見て、勉強を教えてくれと言葉通りの全身で泣きついてきた。最初の方は学校だけで勉強しようと思ったが中々捗らなくて、テスト期間中は部活休みなので美河さんと共に家でと誘われて今に至る。
行く時に本気でお母さんに
「レズプレイ好きなの?」
と心配されたので全力で否定はした。
……嫌いでも無いけど、ただの友達なのでそんな事はする気もない。
家に帰ってくるとお父さんには
「近すぎると後で後悔することもあるから気をつけろよ」
と凄く重い言葉を残していった。




