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10話 牙向いた怒り

こう言っては変ですが、感情部分とかあまり得意ではなかったので少し見直し甘かったかもです……。

 ――そこで何をやっている


 あんな覚悟を添えて、突然出てきておいて俺は……凄く後悔していた。

 発言自体何時もの喋り方と違うし、どちらかというと男寄りの喋り方になってたし、そもそもなんで現状も分からずに突っ込んだ。

 後先考えずに突っ込むから、と他人事のように言ってもしょうがないし時が戻るわけでもない。むしろこのままの口調でやっていった方がいいのではないか。

 心の中で誰に向けるわけでもなく後悔してから深呼吸、女子だと侮っているのか自信があるのか余裕たっぷりで気持ち悪い4つの視線に、強めの視線で相手を睨みつける。


「誰だこいつ?」

「あぁ確か2組に転入してきた高橋じゃね?」

「うわっすげぇ美人」

「へへっこいつもついでに色々しちゃおうぜ」


 4人の男は言葉も下品極まりない。怯えているのか後ろでうつむいたまま震えるかなめを確認し、俺の中で怒りが芽生え始める。

 お前らは何をしようとした?4人でそいつをどうしようとしたんだ?なぜその子なんだ?

 入ってきた扉に手を添え、怒りの矛先を扉に向ける様に思いっきり響くように俺は叩く。その音は体育館全体に響き、男たちはそれに少しどよめき、驚きの表情を隠せていなかった。

 もうこの際俺はどうなっても構わない。彼女という友達を守れるなら抵抗する、彼女に迷惑だって言わられたって構わない。俺は友達を大事にしている、泣いたり笑ったり出来なくするのは誰だって消してしまいたいくらいだ。


「なぁ、先に聞きたいけど。どうするつもりだったんだ?お……いや、私が来なかったとして」


 自分でも分かる、俺は久々に苛ついていた。ゆらゆらと幽霊の様に少しずつ前へ前へ歩いていく。

 こんな経験はここ1年はなかったからな。どんなに吐け口を言われようが馬鹿にされようがどうだって良かった。いや最近あったか?そうだ松本が苛められてる時にあったなそういえば、虐めた連中を傷が残らない程度に痛めつけたな。


「今から体に教えてやるよ!」


 俺に抱き込むように両手を広げてやってきたのは1人の太った男の方だった。身長は俺の方が低く、頭から奴の体に呑まれそうになる。

 冷静に1つ口に出した。


「知ってるか、人間には……いや男子には1つ鍛えられない場所があるって」


 はっきり言って今の俺は力が弱い、それは母親相手であっても全力で掴まれると抵抗が難しい程に。

 だからこそ、なのか母親から言われたのは身を守る術『相手のどうしようもない急症』を狙うことだった。それを聞いた俺は少し青ざめることはあったものの事実ではあることだ。

 相手の肥え太った肉が多少邪魔だが、大股で近づいて来た奴に向かって、体を斜めにさせて足を腰の辺りまで上げて、急症その股間へ蹴りをくらわせる。丁度かかとの辺りを。


 醜い声を上げ、抱きかかえるポーズから膝を折って股間を抑えるようにうずくまった。

 それを俺は鼻で笑うように見下ろした。


「次はどいつが蹴られたい?」


 威圧するように目で睨み、声を低くする。

 俺の言葉を聞き、残り3人は逃げるようにして覚えてろよと捨て台詞を吐き走り去った。その後遅れて蹴られた男も去っていった。

 全員が去ったのを確認した後、胸に手を当て目を閉じて大きく深呼吸をする。すると、タッタッタと足音と共に誰かに倒れかかれる。そんなことをするのは1人しかおらず、俺はその勢いに負けて床へ倒れ込んでしまう。

 冷たくて固い床が背中に激突して痛いが、やった本人のかなめへどうしたのか聞く。


「頭打ったらどうするの、それにどうしたの急に」


 倒れてなお離そうとしない彼女へ耳を傾ける。


「だって……なんでここまでしてくるの、とか助けに来てくれたんだ、とか巻き込んじゃうなんて考えたら……」


 色々爆発した感じらしい、まぁ良くあることではあるがな。さて、今後俺も彼女に乗っかる形で色々されそうだなぁ。

 それはそれで彼女の柔らかい感触が擦れて少し理性が……とりあえず、立ち上がらないと。でも最近は最初見たく興奮の鼻血とかは無くなったからいいね。最初は母親でなるとかもう今となっては悪夢に近い。別に老けてるとかではなくてな。

 変なことを考えない様に体を起こすと、体育館の入り口の方から人が歩いてくる。

 あぁ松本か、まぁやってくれるんだろうなとは思ったけど、解決しちゃったからな。いらん心配だったか……本当は時間稼いであいつらまとめて絞めてもらおうかと思ったんだが、意外と頭に来てしまったからな。


 後、電話は繋いでおいて良かったなまとめて拾えるように広域にして放置しておいた。繋がってる場所へ連絡するため、スカートの中のポケットから携帯を取り出して声をかける。


「校長先生、今のやりとり聞いてましたよね」


『あぁバッチリだ、が。お前は相変わらずやりすぎなんだ、これだから停学になったり教頭から叱られるんだぞ』


 別に馴染みという訳ではない。協力関係では無いものの暴力行為が少し、ほんの少し起こした時様に連絡を取っていることがある。それもあってか性別が変わったあの時に良い機会なのか、色々小言を交えつつ要求を増やされたりしたのが少しムカついたが。

 なんだってこういう何かを起こるにも、起こすにも学園側もしくは親を通すのが一番で有ることを知ってる。

 自分達では証拠は薄いし、何か本当の部分で見逃して処分を下されたりしては困るからだ。


『録音もしたが、これではまだ証拠は不十分だ。早急に対処したいが……まぁお前ならなんとかやるだろ』


 ため息を吐きながらそういうと、忙しいから切ると言って電話を終える。

 すると気づくとかなめはこっちを見ていて、後ろには松本と教師が立っていた。



 事情を話して筋肉教師……は軽い説教で済ませてくれた。どう転んでも相手の方が悪い上に女子生徒というのもあって考慮したというより、褒められた。

 やっぱり俺のことは知らないんだな、と思いつつも普通にいい先生だな、暑苦しいけど。そう思った俺でした。


 加えてかなめは今回の事で色々遠慮がなくなったのか、色々な意味で今まで以上に元気にベタベタとしてくる様になってしまった。

 どうせこの後もありそうだから、少しでも彼女の気分を軽くさせられないかと気づかれない様に溜息を吐いてまで考える事に。

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