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枯れ専女子が中年王国にトリップ!?  作者: 権左衛門
枯れ専女子中年王国にとぶ
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18/18

《特別編》今日が誕生日!?


ある夏の日。


窓の外は見ているだけでじわじわと暑そうだ。

室内は涼しいので快適だが、外に出ると熱中症になりそうだ。


「お嬢様、おはようございます」


「あ、ユリアンさんおはようございます。今日も外は暑そうですねぇ~」


「お嬢様、もし外に出るときは絶対に一人で出ないでくださいね。そんなに細いとどこかで倒れそうです」

さすがそれはないです、と思ったけどユリアンさんが本当に心配そうな顔をしていたので素直に頷いた。


「わかりました、多分でないと思いますけど出るときは誰かに声かけますね」

「そうしてくださると私も安心です」

といつものユリアンさんに戻った。


「そういえば、先ほどルミアスさんから聞いたんですけど今日のおやつは冷たいものらしいですよ」


「え、本当ですか!? 楽しみだなぁ」

ふんふんふん~と一気にテンションが上がる。


「もうすぐサティ様の誕生日なんですよ。もしかしたらその時にだす試作品かも知れないんですけれど…」

サティさん、もうすぐ誕生日なんだ。実を言うと私は今日が誕生日なんだよね。生年月日なんて向こうとこっちじゃ暦が違うだろうし聞かれもしなかったから言わなかったけれど、ここにもカレンダーが存在しててそれを見る限り今日が私の誕生日だ。

アピールするつもりもないし、黙ったままでいこう。

「サティさん、もうすぐ誕生日なんですね~! それは皆でお祝いしないとですね」

えへへ、と笑う私にユリアンさんは

「そういえば、お嬢様はいつが誕生日なんです?」

こてんと小首を傾げながら爆弾を放ってきた。


黙ったままでいくつもりだったのに。。

私嘘つくの上手くないんだよな… 昔から嘘をついてもすぐばれてた…何て言おう…


「えーっと。えー…。まだずっと先ですよ…」

いけるか…?こんな感じでいけるか…!?


「本当に?」

今度は逆向きにこてんと傾げる。


うっ…… これは怪しまれてる。


「ほ、本当ですよ!」


「サティ様にそうお伝えしますよ? 正確な日付は?」


うううううう…

サティさんに伝えるのか。。。サティさんのことだから盛大にお祝いするとか言いそう。嘘の日付を盛大に祝われるのは罪悪感が増し増しだ。


「ごめんなさい、今日です……」

素直に伝えることにした。ぐっばい、先ほどまで黙っておくと決めた私よ。


「やっぱりそうなんですね」

やっぱり?やっぱりとは??

顔に出ていたのか

「今日のお嬢様、昨日までとは違うんですよね」

かまかけて成功でした、ふふふとユリアンさんが笑った。


ユリアンさんにかまかけられた…!!という衝撃とユリアンさんの笑顔の可愛さに私の頭は大混乱だ。


あれサティさんの誕生日は本当だよね?

「サティ様の誕生日は確かにもうすぐですけど、まだ少し先なんです」

またまた私の心を読んだかのようにユリアンさんが言う。


「では、私はサティ様達にお嬢様が今日誕生日とお伝えしてきますね」

と私が返事をする前に素早くユリアンさんは部屋を出ていった。


は、早い……



そんなこんなで今度は部屋が慌ただしくノックされた。

「はーい」

と返事をするとすぐにガチャッと開く。

サティさんとルミアスさんだ。

「ゆみ子ちゃん、なんで今日が誕生日って早く教えてくれなかったんだい?」

「えーっと、訊かれなかったんで…?」

「そうだよね!! なんで訊かなかったんだろうか…」

「サティ様、嘆くより前に準備にとりかかりましょう」

準備?なんの準備?

「そうだね、ルミアスの言うとおりだ。早く準備しよう。」

じゃあ、ゆみ子ちゃん今日は部屋にいてね!!とサティさんは念押しして出ていき、ルミアスさんも一礼して出ていった。


うーん?まさか誕生日会とかするのかな?しなくていいのに…

と思いつつ部屋にいて、と言われたのでいつもの椅子に深く腰を預けた。

いつのまにかうとうとしていたのか、コンコンというノックの音ではっと目が覚めた。

「はーい」

と返事をすると

「ゆみ子ちゃん、誕生日おめでとう!!」 とガチャと勢いよくドアを開けながらサティさんとルミアスさん、ユリアンさんにカメルさんエルティスさんが入ってきた。


ルミアスさんの手にはケーキがのっており、ユリアンさんの押すカートにはいつも以上においしそうな食事がたくさん乗っていた。


「わ! どうしたんですか、皆さんで…」

「ゆみ子ちゃん誕生日だから簡単で申し訳ないけどお祝いしようと思って…」とサティさん。

「おめでとうございます、お嬢様」

「おめでとう、嬢ちゃん」

「おめでとう、ゆみ子ちゃん」

と口々にサティさん意外の方が伝えてくれる。


「ありがとうございます…!!!」


「はい、これ今の暑いときにぴったしのケーキだよ。皆で食べよう!」

とサティさんがルミアスさんの持つケーキを指差す。


「はい、ありがとうございます!」

「何もプレゼント用意できてなくてごめんね」

とサティさんは謝ってくる。

「いや、これが最高のプレゼントですよ!」

こっちに来てから誕生日を祝われるなんて思わなかったし、正直誕生日なんて関係ないと思ってた。

だってそれ以上に非日常的な日を過ごしてたから。私の誕生日知ってる人なんて誰もいないし、そもそも私のことを、私がいた世界を知らない所に来たんだから。

本当は朝は少し向こうが懐かしく恋しくなった。

向こうにいたら家族から、友達から「おめでとう」の言葉をもらえたから。


ここでももらえるなんて思ってなかった。嬉しい。

少し涙目になってきた。

ばれないようにこっそり上を向く。

ルミアスさんが綺麗にケーキを切り、ユリアンさんが美味しそうな食事を美味しそうに盛り付けてくれる。


みーんなニコニコしてて(カメルさんはいつもの眠そうな表情だけど)、嬉しい。

朝の恋しさなんて、もう本当のちょっぴりになった。

家族のおめでとうも友達のおめでとうもないけど、皆さんのおかけでまた今年もおめでとうを聞けた。

「さ、食べよう」とサティさん

「皆さん、本当にありがとうございます…!」ともう一度伝えると

「また来年もお祝いしようね」

とサティさん。他の皆さんもうんうんと頷いている。


つい涙がこぼれ泣き笑いになってしまった。


おめでとう、私。

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