懐かしい夢?
ぱちり、と目が覚めた。気持ちがいい目覚めだ。
昨日とは違う天井。2回目の今日は昨日とは違い、すぐにみんながいるところへ戻ってきたのだと気づいた。
「先生・・・ お母さん・・・ 夢だったのかな。」
それにしてはリアルな夢だなとぽつりつぶやく。 そういえば最後に先生がこちらへ駆けつけてくれていたような気がする。もしかして将棋のお誘いにでも来てくれたのだろうか。
ふぅーと溜息をついた。そろそろ起きなければユリアンさんが起こしに来るはずだ。
そう思った途端、ドアをこんこんとノックする音がした。きっとユリアンさんだ。
「はーい」
と返事をする。がちゃりとドアが開き、ユリアンさんが姿を現した。
「おはようございます、よく眠れましたか?」
小首をかしげながら綺麗な顔が訊いてくる。
「はい、いつも通り良い睡眠でした」
にこりとして私は言う。嘘はついてない。いい目覚めだったのだし。
本当に?とユリアンさんは疑り深そうに更に問い詰めようとしてくる。
その視線に耐え切れず私は、あー・・・と言って視線をユリアンさんからずらしてしまった。
「お嬢様、私はあなたの味方です。なにがあろうとも」
おぉ、ユリアンさん発言がイケメンだ。
「ありがとうございます」
心の中でつぶやいたつもりが、言葉になって声に出していたらしい。
「ですから、何かあって男共に相談しにくいときは私に言ってください。サティ様に対する文句でも不満でもいいんですからね」
その発言に私はふふふと笑ってしまった。
よく見るとユリアンさんも笑っている。
「ありがとうございます。今日はちょっと懐かしい夢を見て。それでちょっと」
「夢、ですか」
「はい、そうなんです。たかが夢なんだろうけど無性に懐かしくて」
ユリアンさんの方を見るとなんだか少し寂し気な顔だ。
「ユリアンさんどうしました?」
「いえ、なんだかちょっと・・・」
ん?とユリアンさんの言葉の続きを待っていたがなかなか出てこない。
「言葉で表すのは難しいですね、もう着替えて朝食にしましょう。」
とユリアンさんは言い、私が今日着る服を選ぶためクローゼットを開けた。
私はそれを見ながら行儀が悪いと思いつつももう一度ベッドにゴロンと横になった。
「お嬢様、これにしましょう」
とユリアンさんが用意してくれた服に着替え、朝食を持ってくると言って部屋を出たユリアンさんを椅子に座って待つ。
するとこんこんとドアをノックする音が聞こえた。ユリアンさんがもう戻ってきたのだろうか。
「はぁーい」間延びした返事をする。
「失礼します」
この声は・・・。 間延びした返事をしたことを今更ながら後悔する。
ルミアスさんだ。
「おはようございます、お嬢様」
よく眠れましたか?とユリアンさんと同じことを質問された。
おはようございますと返事をしつつ、いつも通りに見えるルミアスさんに安心した。元気に戻ったようだ。
「ルミアスさんこそよく眠れましたか?」
と私はユリアンさんのように追及されないように質問返しをした。
「私はいつでも快眠です」
ルミアスさんはそう言ってにこりと笑った。
ルミアスさんが机の上に朝食を並べ始めたのでユリアンさんは?と問うと
「あぁ、ユリアンはカメルに用があるとかなんとか言ってましたよ?」
と教えてくれた。 ユリアンさんは気を遣ってくれたのかもしれない。いつも通りになってルミアスさんをいち早く私に見せてくれようとしたのかな? 考えすぎか。だって私は自分の気持ちをユリアンさんに話してないんだから。
あれ・・・?自分の気持ち?自分の気持ちってなんだろう。
朝食を前に私の頭はぐるぐると回りだした。




