ルミアスさんと植物園デート!?
手を繋いだままルミアスさんと二人で歩いた。
運の良いことに廊下ですれ違う人はいなかった。
「お嬢様、あちらが玄関ですい今から外に出ますよ」
「は、はい」
意識のあるときに外に出るのはこれが始めてだ。
ルミアスさんと手を繋いでるドキドキとはまた違ったドキドキで胸を高鳴らせながら玄関をくぐった。
「うわぁぁぁぁぁぁ」
すごい!! 外に出て私は思わず声を大きくした。
ルミアスさんは嬉しそうに隣で微笑んでくれている。
「あ、あれが植物園ですか!? 」
まだ少し歩いたところに建物あり、その方角を指差して聞くとルミアスさんは頷いた。
「そうですよ、では参りましょうか」
「はいっ」
またルミアスさんに手をひかれながら植物園に向かって歩き出した。
「到着です」
「うわぁ、すごいですね! 入ってもいいですか?」
植物園はガラス張りになっており、外からも少しだけ植物が見えていた。
「はい、ぜひどうぞ」
ルミアスさんに許可をもらい、ゆっくりと扉を押し開ける。
ほぉっと息がこぼれた。
「綺麗……」
呟いた私にルミアスさんは
「ゆっくり見ていきましょう」
うい言って、扉を開けるために離していた手をもう一度繋いだ。
順路を二人で歩いていると、いろいろな植物が出迎えてくれた。
日本にもあったランやユリ、ポトスなどの観葉植物。
見慣れない、たぶんこちらの世界にしかないのだろう綺麗な色をした植物。
私が植物の名前を聞くとルミアスさんは丁寧に一つ一つ教えてくれた。
一番奥へ行くと、綺麗な彫刻がほどこされた白い丸テーブルと椅子があり、その近くにはポットなどもあった。
「ここで少しおやつにしませんか? お茶をいれますよ」
ルミアスさんの言葉に、思いっきり頷くとルミアスさんは椅子をひいては私を座らせてくれた。
「少々お待ちくださいね」
ルミアスさんはお茶の準備をし始めた。
「どうぞ」
入れたばかりのお茶を私の前と自分の席におき、空のお皿もテーブルの真ん中においた。
私が空のお皿を見て首を傾げていると、お皿の上にハンカチを被せパチンと指をならした。
ゆっくりとルミアスさんがそのハンカチをとると、その上にはスコーンが乗っていた。
「え、どうして! どうやったんですか! 」
興奮ぎみに言う私にルミアスさんは口に人差し指を添え
「秘密です」と言った。
教えてください! となお粘る私にルミアスさんはひとつだけ教えてくれた。
「歳のなせる技ですかね」
ウィンクつきだ。ずるい、と思う。
口に人差し指を添え、更にウィンクなど。
破壊力がどれほどあると思ってるんだ。
思わず手に持っていたスコーンを握りつぶしそうになった。
「では、そろそろお部屋に戻りましょうか」
その一言で部屋に戻ることとなった。
また手を繋ぎ、部屋まで戻る。
庭を通っている途中に声をかけられた。
「これはこれはお嬢様、と、執事さんじゃありませんか。おあついことで」
声のした方を見ると、いつかの庭師だ。
「早く仕事に戻りなさい。サティ様に言いつけますよ」
「はいはい、戻りますよ。あんたこそサティ様に言われたら首がやばいんじゃ? 」
その言葉にルミアスさんは返事をせず、私の手を引いて歩き出した。
「る、ルミアスさん?」
返事がない。
「あ、あの少しペースを……」
「あ、あぁ! 申し訳ありません、お嬢様! 足がなおったばかりなのに。私は……」
「いえ、足は大丈夫です」
そのやり取りをしているうちに部屋についた。
ルミアスさんはまだ手を繋いだまま、部屋の中にはいりドアを閉めた。
「ルミアスさん? 大丈夫ですか? 」
「お嬢様」
「はい? 」
「お嬢様、私は……」
続きの言葉を待つ。
「私は……」
そのあとの続きは聞こえてこず、ルミアスさんは繋いでいた手を離すと、そのまま私を抱き締め、肩に顔を埋めた。
「ルミ……アスさん……?」
「申し訳ありません、もう少しの間だけこのままで」
「はい」
その返事をしてからどれくらい時が経っただろうか。
ルミアスさんはゆっくりと顔をあげた。
「ダメですね、歳をとると。心が臆病になる」
なにも言えない私にルミアスさんはそっと髪の毛をなで、失礼しました、そう言って部屋を出ていった。
部屋が暗くなり始めているその時に、私は一人なにも言えず出来ず、立ち尽くしていた。




