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枯れ専女子が中年王国にトリップ!?  作者: 権左衛門
枯れ専女子中年王国にとぶ
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11/18

特別編 バレンタインのチョコはいかが?

「ふんふんふーん」

鼻唄を歌いながら、カレンダーを眺めた。


前にもこんなことあったなぁと思ったら、11日前の節分のときにもカレンダーを眺めたのだ。


そして今日はそれから11日が経った14日。

日本で言えばバレンタインデーだ。


「バレンタインといえば、チョコ! チョコといえば……」


本命チョコ!! と心の中で叫び、日本にいた頃を思い出した。

なかなかあげる相手ができなかったが、唯一高校時代で本命チョコをあげた相手がいたのだ。

おいしいって言って食べてくれたなぁ。


「会いたいな…… 」

一人ポツリ呟いた。


そんなときにノックの音がし、返事をするとユリアンさんが入ってきた。

「お嬢様、掃除に参りました」


「あ、ユリアンさん。ありがとうございます。私に手伝うことはありませんか?」


「お嬢様に手伝ってもらうわけには。散歩でもされててください」

と言われて、部屋を追い出された。



「んー、散歩と言われてもなあ」

そう言いながら、廊下で見たことのある顔のメイドさんがこれまた見たことのある顔の執事さんにチョコを渡していた。


「こっちにもバレンタインはあるんだ!」

そうと決まれば、ユリアンさんを誘って…!! 一人意気込み、部屋のドアを開け部屋に戻った。


「ユリアンさん、ユリアンさん! 今日ってなんの日か知ってます?」


「どうしたんです、急に」


「いいからいいから」


「えーっと、今日は……、普通の日じゃないんですか?」


「今日は! バレンタインデーですよ! 」

私が少し大きい声で言うと、ああ、というように頷き

「そういえば、今日はみんなそわそわしていましたね。でも、それがどうかされました?」


「私、チョコ作りたいんです! ダメですか……?」


「いえ、それなら私が調理場まで行って話を通しましょう」


「そこでお願いが……」


「お願い?」


「ユリアンさんも一緒に作ってくれませんか?」


「私が、ですか?」


「そうです、一緒に作りましょう! 」

無理矢理ユリアンさんを誘い、一緒に調理場に行った。








調理場の一番偉い人にお願いし、一部分だけ場所を空けてもらった。


「で、何を作るです?」

私が無理矢理連れてきたせいか、少しため息を吐かれながら聞いてきた。


「えーっと」

視線を斜め上に逃がす。


「まさか、決めてないのですか」

声が刺々しい。


「すいません。私、料理が苦手で」

しゅんとしながらそう言うと、仕方ないですねと言いながら

「じゃあ、私が簡単なのを教えますからそれを作りましょう」

と冷蔵庫へ向かった。


私も小走りでユリアンさんに付いて冷蔵庫へ向かい、ユリアンさんの背中越しに冷蔵庫を覗いた。


「はい、これ持ってください」

渡されたのはチョコレートだ。大きいチョコレート。


「あと、これも」

そう言って、今度はテーブルの上のかごに入った卵をかごごと渡してきた。


「今朝のとれたてです」

とも教えてくれた。


「さあ、作りましょう」

ユリアンさんが渡してくれたエプロンをつけると、ユリアンさんはてきぱきとボールや泡立て器を取り出した。


「まずは、卵を卵白と卵黄に分けてください」

そう言われ、5個の卵を頑張って卵白と卵黄に分けた。


「次に卵白に砂糖を入れて、角が立つまで泡立ててください」

はい、頑張ってという風に卵白の入ったボールと泡立て器を渡してきた。


「はいっ」

気合いを入れて返事をし、がしゃがしゃと混ぜる。

私が混ぜている間に、チョコを刻んでいる。


「ふーっ」

額に浮いた汗を拭い、手を休める。


「できました?」


「ま、まだです……」


「頑張ってください」

ユリアンさんが応援してくれたので、頑張って混ぜた。


「できました! これぐらいで大丈夫ですか?」

そう聞きながらボールの中身を見せると、いいでしょう、とユリアンさんは頷いた。


「次はチョコを湯煎で溶かします」

これはできると思ってるんるんしていたら

「ですが、時間短縮のため、もう私が溶かしました」

とユリアンさんに言われた。


私にもできそうだったから少し残念だったけど、さすがユリアンさん。

効率的だ。


気をとりなおしてユリアンさんの次の指示に耳を傾けた。

「泡立てた卵白と溶かしたチョコをまぜ、混ざったらといた卵黄と混ぜ合わせます」


卵白と溶かしたチョコをまぜ、卵黄も同じボールにいれた。


「で、ここの中に流し入れてください」

言われた通りに用意してくれた型に流し入れた。


「はい、あとは焼いて終わりです」

簡単でしょという風にユリアンさんは言うが、すごく大変だったような気がする。

ただたんに私が不器用なだけかな?


オーブンが完成を知らせてくれた。

少し冷ましてから、包丁を入れてユリアンさんがまたまた準備してくれたラッピングに包んだ。


「で、できた~」


「お疲れさまです」


「はい、じゃあこれはユリアンさんに! いつもありがとうございます」


「え、私に?」


「はい! 私の国では友達同士であげたりお世話になった人にあげたりもするんです! こっちにはないですか?」


そう聞いた私にユリアンさんは少し頬を赤くして、お礼を言ってくれた。

ちなみにこっちには友チョコなどの習慣はないようだ。


私はもう一度ユリアンさんにお礼を言ってから、ラッピングしたチョコケーキを持ち、調理場を出た。



廊下をパタパタと走っていると、とんっと誰かにぶつかってしまった。


「す、すいません」


「いえ、こちらこそ……、ってあれ?お嬢様じゃないですか~」

この間延びした喋り方は……


「エルティスさん! 」


「はい、エルティスさんですよ~」


「いいところに! ハッピーバレンタイン! 」

そう言って、私はエルティスさんにさっき作ったばかりのチョコケーキを押し付けた。


「おっと、そういえば今日はよくチョコレートをもらうなぁ。お嬢様からももらえるなんて光栄ですね」



そう軽く言うエルティスさんに答えず走り出したが、後ろを振り向き

「あ、ユリアンさんと作ったので、ユリアンさんにもお礼言ってくださいよ!」

それを言ってからまた前を向いた。


後ろでエルティスさんが「はいよー」と返事をしたのが聞こえた。


次に、縫合室のカメルさんのところへと行った。

ノックをして、部屋にはいるとカメルさんは頭をガリガリとかきながら集中しているようでこちらには気づいていない。


そーっと近づき、何をしているのか覗き見るとデザインを考えているようだ。

また素敵な服ができるんだなと思いながら、肩をとんとんと叩いた。


「おっと、嬢ちゃんいつ来たんだ?」


「今来たんですよ。はい、これどうぞ」


「なんだ、これ」


「バレンタインです! ユリアンさんと作ったので!」


「ユリアンと?」


「はいっ」


「ふーん。あいつが俺に作ってくれるとはねぇ。嬢ちゃんも俺にくれちゃっていいの?」


「カメルさんにはいつも素敵な服をもらってるので、ささやかなお礼です」



私はそれだけ言うと、急いで部屋を出た。

次の人を探さなければならない。

広いここではなかなか人が見つからないのだ。



廊下にでて、残り二つになったチョコケーキを抱え直す。


「あとは、サティさんとルミアスさんだけだ」



「僕がどうかした?」

声のした方を見ると、なんとサティさんが立っている。

「さ、サティさん! ちょうどいいところに! 今から探そうと思ってたんですよ」


「どうしたんだい?」


「あの、これ! 受け取ってください!ユリアンさんと作ったので味はきっと大丈夫です! 」


「おお、ありがとう。そういえば、今日はバレンタインデーだね。嬉しいよ。あとでユリアンにも礼を言うよ」


サティさんはニコニコしながら、私の作ったチョコケーキを受け取ってくれた。

素直にお礼を言われて、少し恥ずかしくなりペコリと頭を下げるとその場を去った。


「ルミアスさん、どこだろう。」

なかなかルミアスさんが見つからず、ほとほとと歩いていると

「お嬢様!」

声をかけられた。

振り替えると、顔は見たことあるがしゃべったことのないメイドさんだった。


「先程から、ルミアスさんが探していらっしゃいます」


「え、本当ですか?ルミアスさんが今どこにいるかわかりますか?」


「向こうにいきました」

とメイドさんが指差した方向に、お礼を言ってから向かった。

そちらに向かうと、見覚えのある背中が見つかった。

あの後ろ姿は……!


「ルミアスさん!」


「お嬢様!探していたんですよ?」


「すいません、これを作っていて……」

そう言って、チョコケーキを見せると納得がいったようだ。


「ああ、今日はバレンタインですものね。サティ様にですか?」


「あ。いや、これはルミアスさんにです。サティさんにはもう渡したので」


「私に?いいのですか?」


「はい、ユリアンさんと一緒に作ったので上手くいったとおもいます!」


「そうなんですか。それでは美味しくいただきますね」

そう言って、ルミアスさんはふわりと笑ってくれた。


つられて私も思わず笑ってしまった。







そのあと部屋に戻って掃除を再開していたユリアンさんをお詫びとして手伝っていたのだが、その時にユリアンさんが教えてくれたのだ。


「お嬢様。知っていますか?」


?を浮かべた私にユリアンさんは、ニコリと綺麗に微笑みながら

「この国のバレンタインデーで、女性が男性にチョコを渡すのは結婚を迫るものなんですよ」


「え」

冷や汗がぶわぁと浮かぶ。

「お嬢様は何個か包んでらっしゃいましたが、誰に逆プロポーズを?」


「えええええええええ!なんで教えてくれなかったんですかぁぁぁ!」


「だって面白そうだったんで」

そうユリアンさんは言って、さっきのように綺麗に笑った。













「逆プロポーズされてしまった」

貰った男性人は頬を赤く染めていた。

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