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逃亡そして……

控室で不死身の爺さんと対決!

「凄いな爺さん。尊敬するぜ。だがそれだと長生きしねえぞ」

負け惜しみのつもりはない。ただのアドバイス。

「もう充分してる。それよりもこの陰謀はお前たちが思ってるほど単純じゃない。

裏にはとんでもない奴が暗躍している。それを見破らないとお互い生き残れない」

「おいおい情けはいらねえ! とっとと始末しやがれ!

その代わりリナだけは守ってくれないか? 」

「ほうこの期に及んで命乞いか。しかしそれを決めるのもこの私ではない。

残念だが助命まではしてやれんぞ」

「ははは…… 本当におかしな爺さんだぜ」


自称市長の娘は戦意を喪失した。もはや言い訳も何もできない。

すべてお見通しでは言い訳するだけ無駄と言うもの。

こうして囚われた市長の娘は大人しく観念する。



「お前らは確かによくやった。しかしまだまだ詰めが甘い。なぜすり替わった?

市長の娘に化けて何の意味がある? 」

質問攻めにする。王子暗殺計画は失敗に終わった。

「隙を見せると踏んだんだ。王子は小さいし幼いからそう言うのが好きかなと」

まさか王子に合わせた二人組だったとは。実際の姉妹はどうしてる?

そもそも市長は今どこにいるのか? それが分からないと何かとやりづらい。


「市長一家はどうした? 返答次第ではただでは済まさんぞ! 」

暗殺されそうになったから怒りが収まらない。もし気づかなかったら?

危うく自分自身があの世に行っていた。

それはもう間もなくお迎えだとして決して気持ちのいいものではない。


「市長? さあな。家族でのんびり旅行にでも出かけてるんだろう。

あまり邪魔をするのも悪いぜ。せっかくの家族旅行なんだしよ」

「本当に本当だな? 危害を加えてないと誓えるな? 」

「知らねえよ! そこまで面倒見切れないって! 」

「何だと! 」

そうやって言い争いをしていると突然ハッチ王子の声が。


「おいトルド大丈夫か? 一体何があったんだ? 」

ハッチ王子が居ても立っても居られないと様子を見に来たようだ。

間の悪いことこの上ない。もう少し後ならいくらでもお相手して差し上げたのに。

不用意に近づいたことで暗殺者に逃亡の隙を与えてしまう。


「ハッチ王子ダメです! 相手に隙を与えてはなりません」

言うがもう遅い。ハッチ王子危機一髪。

「どけ! それではまた次の機会に会いましょう。ははは! 」

こうして捕らえられえたかと思われた偽市長の娘は辛くも逃げ帰るのだった。


「こら! ハッチ王子に指一本触れるでないぞ! 」

あまりに間の悪すぎるハッチ王子。

わざわざ捕まりにも暗殺されに来たはずもない。

何のつもりかと言えばもちろん助ける為。理解はしている。

それが逆に自らを危機にさらすことになるとは何と言う皮肉。

「今回はこれで勘弁してやる。次はトルド。お前の命はないものと思え! 」

そう言うと笑いながら姿を消す。


「もう! ハッチ王子…… 」

せっかく捕まえられたのに寸前のところで取り逃す。

これはハッチ王子の失態と言っていい。ただそれが王子らしいと言えばらしい。

「はっはは! 」

笑い飛ばしてごまかそうとするハッチ王子。本来笑いごとでは済まない。

だが相手は王子では厳重注意するぐらいしかない。

思いっきり叱りつけるのも違う。


「それで王子にお怪我はありませんか? 」

尻餅をついた王子を起こす。こっちが襲われたんですがね。

もうどちらが哀れな被害者か分かったものじゃない。

「済まんな。トルドのことが心配で急いで来てしまった」

下手な言い訳。しかも大した言い訳にもなってもない。


「もうハッチ王子! あれほど近づくなとおっしゃったではありませんか! 」

怒り心頭で今にも手を出しかねない勢い。

せっかく捕えて相手の動きを封じ込めようとしたのに。

その上で襲撃グループの全容を聞き出す予定が狂った。

それが王子の命と安全と引き換えなら安いものだがあまりのことに何も言えない。


すべてはこちら側の作戦。襲撃者を誘い込んで捕まえる。

とは言えもう市長の娘の振りも子供の振りも無理。

屋敷を離れれば侵入は不可能。これで二人組の動きを封じたことになる。

情報共有はどうしても必要。さあ誰が味方になるか。



はあはあ

はあはあ

まったく冗談じゃない! 捕まって堪るかよ!

会場を離れて一人逃げ回る。


「おい大丈夫か手を貸すぞ」

そう言って笑顔の女が近づいて来る。

明らかに怪しいが彼女は襲撃仲間。お膳立てした一人。

「ありがとう。トルドを仕留め損なったよ。ははは! 」

呑気にも失敗談を語る。


「あんたはどうしてここにいるんだい? リナは? 」

「相棒なら会場で大人しく軽食を食い尽くしていたさ。

あんたが逃げたところを見かけたんで追いかけたところさ」

「それは済まなかったな」

「怪我はしてないか? よく見せてくれ」

「ああいいよ。でも何かおかしくない? まるで迎えに来たみたいな」

違和感を覚える。仲間とは言え皆ライバル。助け合おうなどと誰がするか。

王子の懸賞金はとんでもない額だ。ライバルが減ればそれだけ貰える額も増える。

皆で助け合うなど馬鹿のすること。それがラーリットの暗殺者だろう?

それはこいつも同じ。だとしたらなぜ構う? 放っておけばいいものを。

違和感しかない。


              続く

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