表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/133

トルドの運命

控室。

邪魔なマスク野郎を王子の元に向かわせトルドの爺さんと二人っきりに。

だからって危ない展開になるはずもなく。まさか爺さんにその気はないよな?

最期にいい思いをさせるほど人はできてないぞ。

ではさっそくこの壺で静かになってもらいましょうか。

残念だが口うるさい短気で邪魔なトルドの爺さんはもう間もなく……


「おい! そこで何をしてる? 」

咎められる。一応は市長の娘だと言うのに失礼な。

いくら王子のお付きでもそれ以上の無礼は許されない。

ガキみたく大声で泣き喚いたっていいんだから。

そうすれば困った爺はアメ玉でも寄越すに違いない。

でも私はガキではないからその命を頂きたいな。強欲か?


今のところ時間が掛かってるとは言え失敗まではしてない。

爺にも王子にも気づかれていない。まだ市長の娘として振る舞い続けてる。

どんなに疑わしくても市長の娘の正体を見破る術はない。裏切り者がいない限り。

きっとそいつは仲間を売って自分だけいい思いをしようとする最低クズ野郎だ。

そんなのがゴロゴロいるのがラーリットの暗殺者って訳だ。

外道は制裁を受けるのが鉄則。あぶり出してこの手で葬ってやる。


「どうされました? 何かトラブルでも? あの方は? 」

面倒な相談役。正体不明の敵だか味方だか判断しづらい見た目。

そいつがいなくなればこちらのもの。爺暗殺に障害はなくなった。

「王子の要望ならば仕方なかろう。心配するな。メグレンは行った」

そう言うが誰も心配してない。

王子の安全もあのイカレたマスク野郎のこともどうでもいい。今はお前に夢中さ。

どうだ爺? こう言ってもらいたかったんだろう? でも生憎趣味じゃない。


メグレン…… あの男はメグレンと言うのか。

王子暗殺の邪魔と見なされれば命令が下るだろう。

この爺さん亡き後はマスク野郎が王子の盾となる。

いや待てよ。ここは命令に従う必要もない。

機会があればその時に仕留めてしまおう。どうせ邪魔者なのだから。

邪魔者は早く消し去るに限る。こうして王子を丸裸にすればもうこっちのもの。

後は誰が王子を狩るか。ただそれだけだ。


「それでなぜお前はここに? 」

ちょうどいい具合にターゲットの爺が迫ってきた。

千載一遇のチャンス。これは神からのお導き? もちろん信じてはいないが。

こんな時にばかり神の名を出すのはフェアじゃない。

「それは…… 」

「疑わしいからお前の様子を見ていたんだ。市長の娘ではないな? 」

意外にも鋭い。当然か。この爺は怪しげな奴にカマを掛けていた。

王子に近づく不審者を全力で排除しようとしてる。それが役目であるかのように。

しかしそれが逆効果。今回は墓穴を掘ったよう。残念だがもう次はない。


ただタイミングといいこの凶器といいどうも嵌められてる気が……

嫌な予感。いや気のせいだ。そんなあやふやなことでこの爺を見逃してやれない。

ははは…… もしかして情でも湧いたか? 非情にならないとこっちがやられる。


「メグレン様とおっしゃるんですね? 私もぜひお相手して頂きたいな」

慣れない言葉に痒くなる。だが今は市長の娘だからな。

「ふふふ…… 演技はそれくらいにしろ! どこまで抜けているんだお前らは?

もう一人も捕まえてやる。その時は依頼人を吐いてもらう。覚悟しておけ! 」

もう完全にバレてしまっている。ならばなぜ近づく?

やはりこれは罠なのか? もう一度出直すのがセオリー。だがもう……


「妹に何を? 私たちは市長の代理でやって来ただけですよ」

どうにか取り繕うが無意味なような気もする。

「まだ手は出してない。しかし私が市長と懇意なのを知らないのか?

ラクエラは貴重な友好都市。当然交流はあるのだ」

「はあ…… 」

まずいぞ。その話は初耳だ。誰も知らない市長の娘だからとなり替わったのに。

初めからバレバレだったとはこれは私らのせいじゃない。

調査不足が招いた悲劇。その犠牲が私だと? 酷いものだぜ。


「ほらもう表情を曇らせて…… 間抜けめ! 」

どうやら謀ったらしい。揺さぶって正体を現すよう仕向けた。

相手が一枚も二枚も上手。さすがは王子の最側近。知能が比べものにならない。

「爺。お前の言う通りだ! 私はお前らを殺しに来た! 」

ついに正体を明らかにする。早過ぎたかな?

まさかこれが計画の内だと誰も知らない。私だって意味不明だったからな。

だがそれはもしもの場合。作戦が失敗した時。今は実行に移す時。

もう慎重にターゲットに近づく必要ない。今振り向いてこの壺を叩きつけてやる!


しかしそれにしても軽いな。壺ってこんなもんだっけ?

それともこれが特別軽いのか? 持ちやすいのか? 手に取りやすいのか?

「どうした市長の娘はこんなところで油を売っていていいのか?

忘れものは? お前は市長の代理なのだろう? もし本物なら失礼をしたがな。

だがどうやらもう演じるほどの余裕はないだろう」

キレた爺は何をするか分からない。まさか捨て身で来るとは思わなかった。


「ごめんなさい。今すぐ行きます! 」

そう言って振り向き妙にいい匂いの甘ったるい壺を振り下ろす。

爺の頭に目一杯叩きつけてやる。

さすがはお付きの爺さんだけあって反応は早い。

それでも一歩動いただけ。とっさの防御姿勢も取れずに喰らってしまう。


ついにトルドまでが暗殺者の魔の手に?


                 続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ