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三人の関係

王子が舞踏会場で呑気に令嬢のお相手してるのにお付きは何をしてやがる?

実際は手を引かれてヨチヨチ歩いてるだけだが本当に苦労するよな。

リナの言う通りなら控室にいることになるが。しかしなぜそんなところに?


控室は舞踏会に臨む令嬢の最終チェックをする場所。

もう誰もいないそんなところで何をしてるんだトルドの爺さんはよ。

いい加減真面目に警備しろよな。暗殺者が王子を狙ってるんだろう?

これではやる気も出ない。しかもなぜか目標は王子ではなくこの爺さんだからな。

奴らも頭がイカレちまったのは間違いない。爺は気まぐれで済むがよ。



「懐かしいな。キングを埋め尽くしたあの日々を」

「そうですな。ハッチ様はまだ年端も行かずに」

「うんうん。国王も若かったしハッチだって…… 」

「いけない。これではただの爺の昔話に」

「しみじみと振り返るのも悪くないさ」

「しかし…… もう十年以上前の話。今更思い出さずとも」

「ははは! 今日と言う日は特別さ。本来ならこの私だって駆け参じていた」

「誰も覚えてない。現国王が非公式にお認められた日とは言え…… 」

「ああ…… その日は決して嬉しいことだけではなかったからな。

それに正式に認められたのはずいぶん先」

「いいではありませんか。知ってる者は知っている。我々は特別な存在。

もちろんあなたは元々が特別な存在ですがね。それはハッチ様も同様ですが」

「ハッチ…… 危ない危ない。忘れるところだった」


トントン

トントン

ノックしてるのに気づきもせずにベラベラとお喋り。

ビック隊長も殺されて王子放置もふざけてるが隙だらけで舐めてやがる。

まさかもう何も起きないと本気で思ってるのか? 

おいおい舞踏会が本番に決まってるだろうが。なぜそんなにやる気がない?


お付きの爺さんはあの例の薄気味悪いマスク野郎と二人でお喋り。

何だか知らないがオーラみたいなものを感じる。何者なんだこいつはよ?

ただのイカレタ野郎じゃないらしいな。

王子の相談役と聞くがそんなレベルの奴じゃない。

冷静に対応しないとこいつにすべてやられてしまう。そんな気がする。


「失礼します」

「コソコソと。どうしたんだいお嬢さん? 」

「ハッチ王子がお呼びです。至急おいでいただくようにとのことです」

一人では対処しきれないのでマスク野郎も参加させる。何一つおかしくない。

違和感はないはずだ。いくら警戒していても自身が狙われるとまで思ってない。

ビック隊長がやられてもそこまでは……


「これはこれはかわいらしいお嬢さんだ。では一緒に」

当然こうなるか。この男意外にも抜け目がない。

我々の計画に重大な影響を及ぼしかねない要注意人物。

ここは順番を飛ばしてこの不気味な男にって。そもそもこの男は計画にはないか。


今回の同行もハッチ王子の我がままと聞いている。相談役がいないと不安だとか。

それほど信頼されて期待を寄せられてるのだろうが見た目があれだからな。

ビック隊長とこの爺さんを王子暗殺のキーマンとして先に葬る作戦。

これだって担当の野郎にどうにか聞き出したもの。


「ですが私は忘れ物を取りに…… 」

王子の命令ついでに忘れ物を取りに戻る。不自然じゃない。

「ほお…… それは大変だね」

「それではお伝えしましたので。至急願います。ハッチ王子がお待ちです」

多少不自然で強引だがもうこの場はこれで切り抜けるとしよう。


さあ控室にも確か壺が…… あったあった。

このようなところには骨董品と称して壺があちらこちらに。

私らにとってはただのガラクタでも金持ちにとっては価値があるんだろう。

全部叩き割れたらどれだけ気持ちいいか。

こんなもので腹の足しにならねえからな。でも待てよ。盗むのもありか?

盗んでコレクターや悪趣味な金持ちに売りつければ……

いやいやどれだけ重いんだよ。二個が限界。それも持ち出すとなるとほぼ不可能。


ふふふ…… どれにする? 奥にも二つあって迷う。

手前のこれは持ちやすい大きさ。

命令では一人になったところで例の部屋に誘い込んで実行しろと。

部屋にある壺で撲殺するように言われたが構うことはないさ。

どの壺を使ったかなんて分かりっこないし部屋だって僅かな差さ。

とにかく撲殺すればいいんだ。あの爺さんの息の根を止めればいいだけ。


残念だよ爺さん。トルドだっけ? あんな情けない王子の世話役をするから。

王子に関わる奴はすべて不幸になる。

大人しく一人でやられればいいのに巻き込むんだから罪深い王子。

ではそろそろ実行するとしますか。


爺さんは王子に欠かせない存在。生まれた時から一緒で切っても切れない関係。

ビック隊長が毒殺され爺さんが撲殺されたらそれはもう震え上がるに違いない。

でもいいのか? そんなことすれば王子は嫌でも警戒することになる。

今だって充分な厳戒態勢だと言うのにこれ以上厳しくされたら手も足も出ない。

邪魔者を消しても王子に逃げられたら元も子もない。


それにいくらでも国王軍を派遣できる訳で。

来るまでの間は大枚を叩けば守りを固められる。

もはや意味不明な作戦。どうして一思いにハッチ王子を殺さないのか?

王子が恐怖で苦しむ姿が見たいんだとしたら狂ってやがるぜ。


               続く

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