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目立ち過ぎのビアンカ

パチパチ

パチパチ

進行役の女性の拍手に釣られて招待客の令嬢たちが倣う。

そして私もその輪に入る。乗り遅れては疑われますからね。

ただ私は本物の令嬢。疑われるのは心外。

これではストの教育が行き届いてないことになる。

ストやお父様の名誉の為にも恥ずかしい真似はできない。

だから気合は充分。ただどうしても緊張してしまう。


この状況で右往左往してる者は明らかに偽物。

地下でみっちり叩き込まれたことを実践してるようだがいまいち場慣れしてない。

笑い方さえ満足にできない。王子への想いさえ薄い者が混じっている。

これでは白けてしまう。

ビック隊長の毒殺の影響で心の弱い令嬢たちは参加辞退を申し出た。

主催者側としても強制はできない。だから数を減らすことに。

その結果半分近くが暗殺者に。

大変残念でなりませんがやはりこれも仕方ないこと。


候補の一番手が昨夜に続きあの口の悪い乱暴な方。ビアンカが気に掛けている。

間違いなく私たちの仲間でライバル。

その隣の隣で必死に手振りで示す可哀想なパートナー。同情さえ禁じ得ない。

彼女にいくら言ったところで突然改善されることはない。

私が気づくのだからあのお付きの爺さんも承知してるでしょう。

私の横にもなぜかキョロキョロするだけで参加しようとしない愚か者。

やはり付け焼刃ではボロが出るのでしょう。ため息が出るほど。

ただこれで選別ができるので助かりますが。問題はお嬢様に完全擬態してる方。

きっと私のようにお嬢様だった過去を持つ者が必ずいる。

それを見極めないと最後の最後で失敗することになる。


とにかく今は当たりをつける程度でいいでしょう。

偽物を暴いて行けばそのうちあぶり出される。焦る必要はまったくない。

本物のお嬢様と偽物では明らかに違うのだから。

徹底的に教え込まれてないからいい加減。これでは乗り切れるはずない。

対して私は田舎領主の娘とは言え令嬢に違いありませんから。

皆さんの邪魔をすることはない。ただ真似してるに過ぎないんですが。


そうだビアンカは…… いるにはいるがどうも待遇が違う。

もう頭が痛い。暴動が起きなければいいのですが。 

まだ小さくて生意気な王子のエスコート役をしている。

これでは素敵な令嬢の私でなくても嫉妬の対象。たとえ頼まれても断るべきこと。

ビアンカは真面目だから引き受ける。もう本当に困ったビアンカお姉様。


まだまだお嬢様の何たるかが分かってない。

それでは周りから称賛されない。勘違いして嫉妬され嫌われてしまう。

今回は楽しく美味しくお食事をするのではないんですよ。

王子のお相手したい方は大勢いる。エスコートだって人を押しのけてでも。

ビアンカが独占してどうするの? 初めてを奪ってしまうのはよろしくない。

なり切ろうと厳しくしてきたのにこの失態は何? もちろん嫉妬ではありません。

いくらなんでもやり過ぎでしょう。もう言葉もない。

私の元で何を学んできたの? 令嬢の振る舞いをもう少しお勉強すべきでしょう。

これでは目立って仕方がない。それでは動き辛くなってしまう。


きゃあああ!

いやああ!

もう毒殺事件の影響はなさそう。彼女たちは王子に夢中。

「さあビアンカ踊ろうか」

独り占めはイメージが悪い。

別に私は構いません。メグレン様さえ踊って頂けるならそれで幸せなのです。

王子を独占しようとは思わない。そのような我がままでも分からず屋でもない。

令嬢たちはいかにしてビアンカを離し自分と踊ってもらうかしか考えてない。

誰も危険な場所にいると認識していない。

キャーキャー言い二人を取り囲んでるがこの混乱状態で何か起きるか考えないの?


あれ…… いない。ちょっと目を離した隙に市長の娘たちがいない。

どこかに姿を消した。さっきまでいたのにこれはまずい。

ビアンカはまだ踊ってる最中。今ならいくらでも見て睨みつけてもいい。

でも彼女には頼れない。ここはこのマリオネッタお嬢様の本領発揮と行きますか。



「もう王子は見つかるのにそのお付きがいないってどう言うこと? 」

「ホラ嘆かない嘆かない。それよりもどう似合ってるこのドレス? 」

「知らないって! 着たことも見たこともない。昨日だって無理やり…… 」

不満だとイライラを隠せないリナ。

「何で市長な訳? 」

「いいんだって。あっちがそうしろと言ったんだから大人しく従う! 」

下っ端の者は大人しく従うもの。迷いも不満も顔にも口にも出さない。

それが生き残る鉄則。


「あっちって何? 」

分かってるくせに質問する。

身長も見た目も彼女の方が上なのになぜか私が姉で引っ張る。

これは頭と言うか能力の差。ただついて来るだけなら楽でしょうね。

私だってそっちを取りたいわ。

「私たちを大金持ちに導く集団。それ以上は知らない」


奪い合った招待状が落ちたのを拾った。

そいつらは殺し合いで息を引き取った。誰もそんな二人を助けようとしなかった。

やめろと言うのに骸に近づいて風で飛ばされそうになってた招待状を手に入れた。

これが始まり。ううん。もっと前からか。


                 続く

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