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ビック隊長の最期

朝から行方の分からなかったビック隊長の当然の訪問。

体調が優れないのかまるで毒を盛られたかのような弱り方。

なぜか私たちを頼りにやって来た。

一応は暗殺者側なんですけどね。


「はいはい。私たちは王子をお守りにここラクエラへ。

いえ王子の子守に来たのでございます」

ビアンカは発覚を恐れて何も言えないので代わり私が嫌味を込めて。

そうこの今にも倒れそうな見た目が演技で私たちが試されてる恐れもある。

でもそれを気にして躊躇すれば得られるものも得られない。

ここは危険を冒してまでも積極的に向き合うのがいい。

どうせ私が言ったことは世間知らずの妹の戯言として流してくれるんだから。


「ありがたい。敵は恐らく王子の兄弟の手によるもの。

第一王子を狙って仕掛けて来たと見て間違いない。

だから事を荒立てないように暗殺の方に。その第一段階として毒殺されるらしい。

医者ももう助からないと。だから抜け出してきた。

お前たちには奴らの陰謀を暴いて王子を守って欲しい」

やはりこの方も誰も信用できなくなりつつあるのでしょう。

王子には弱音を吐けないしイマイチあのお付きの爺さんは信用ならない。

まさかメグレン様まで疑ってはいませんよね? 


「でもなぜこんな手を? 暗殺なら一人の時にでも。

衆人環視の中で病死や不審死に見せかけるメリットがどこにあるの? 」

どうしてもこれだけは聞きたかった。奴らに同じ質問しても答えは返って来ない。

はぐらかされて機嫌を損ねられるだけ。それなら……

しかし襲撃される側が知るはずもないか。特に隊長程度では。


「それは…… 」

苦しそうに咳き込む。まずいこのままでは……

「続けて。どうしてこんな面倒なことをする必要があるの? 」

「待ってマリオネッタ! 無理を申してはいけません。体力の回復を待つのです」

ビアンカは体を気遣うがもう手遅れなのは本人も認めてるところ。


「そんな悠長なことしてられない。きちんと答えて! 」

「それは王子暗殺を企てた者は処刑されるだけでなくその兄弟も継承権を失う為」

第一王子が現在の正当な後継者で。下に二人。

彼らのどちらかが企てればもう一方も処分される。それは王家の滅亡を意味する。

「嘘でしょう? あり得ない! 」

「しかしそれには例外があって十二歳未満はその対象から外れる。

当然十二歳未満でも企てるか命令すれば処分は免れない」


現在国王の子供は三人の王子だけだと言われている。当然隠されてる場合も。

だから第一王子を暗殺をまともに正面から襲撃すればその継承権を失う。

衆人環視の元で事故または病死を装うか証拠が出ないやり方で暗殺するしかない。


隊長のビッグは限界をとうに超えているよう。

ゼイゼイと息が荒い。いつ倒れてもおかしくない。

「奴らは用意周到だ。もう動き出してるはず。王子を守ってやってくれ。

たとえお前らが何者であろうとこの約束だけは守って欲しい」

「分かりました。ハッチ王子をお守りします! ですがそれはあくまでついで。

私はメグレン様を全力で守る所存です! 」

「こらマリオネッタ! 何てことを言うの? 失礼でしょう? 」

「いや…… それでいい。ついでの方も頼む」

最後の願いを受け取る。でもどうしたらいいの?

これでは何も分かってないのと変わらない。

多少の動きが見えたとしてもそれがどうしたと言う感じ。

できればもっと詳しく…… と言っても無理はさせられない。


「なぜ奴らはすぐに王子を狙わないと言ったな? 」

限界のビッグは声を振り絞るがわずかにしか聞こえない。

仕方なく耳を前に。少々失礼ですがこれくらいしないと。

今は緊急事態。令嬢としての品も何もない。

「そう。まともなやり方では無理なのは承知。でもなぜ未だに王子を狙わないの?

どうして周りから片づけようとするの? おかしいでしょう? 」

「それはな…… 王子には誰にも言えない秘密があるんだ。

奴らは指令を受けて実行してる。だが兄弟である以上分かるのだろう。

秘密にはもう感づいている。だけどそれ以上は動けない。なぜなら…… 」

ビッグは倒れ込み絨毯に血を吐く。


「王子には秘密が…… それは…… 」

「どうしたの聞こえない? 秘密って何? それは? 」

「それは王子が…… 」

息絶える隊長ビッグ。最後の言葉を残せずに悔いの残る終わり方。


急いでお医者様を呼ぶ。

同行の王子の主治医を呼び見てもらうことに。


きゃああ!

部屋の外にはお嬢様たちが集まって来て人だかりができる。

恐怖で引きつって叫ぶがそれでも我慢できずに失神してしまう者まで。

それを私たちと使用人で手分けして部屋に送り届ける。


処理を終えて戻ってみるがまだ医者は確認作業中。

蘇生を行ったのかまだ辛うじて生きていると言う。

しかしそれも十分と持たずに耐え抜いて最期の時を迎える。

これで完全にお亡くなりになった。


「残念ですが…… 」

王子側の強力なコマであるはずのビッグ隊長を失った。

せめてハッチ王子の秘密さえ伝えてもらえたらよかったのに。

あのお付きの者に聞くのも不可能でしょう。ハッチ王子だって言える訳ない。


                続く

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