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尾行開始!

ラクエラをビアンカと優雅にお散歩。

「うん。素敵なところ」

ラクエラで大人気のパンのお店。とは言え今はまだ開店したばかり。

後一時間もすれば行列になってるでしょうが今はまだ余裕がある。


屋敷からスリーブロック行ったところ。

あの最悪の地下室からも遠くなくあまり近寄りたくないが敵を探る意味がある。

まさか暗殺者がこんなところで呑気にパンを食べてるはずもない。

もちろんそんなことは百も承知。ただ逆に言えば情報収集にはもってこいとも。

お食事ついでに少しでもお話が聞けたらな。


「いらっしゃい! 何にする? そろそろ焼き上がる頃だよ。新作も見てってね」

お洒落な雰囲気には似つかわしくないハキハキとした女性。

夫婦二人で切り盛りしてるらしい。


焼き立てパンとカリカリ食感の新作の二つを注文。

紅茶がサービスでついて来る。

まるで夢の世界かのようにオシャレで素敵。

内装もかわいらしいもので親しみを感じる。

焼き立てのパンの甘い匂いに包まれ幸せ。


「どうマリオネッタ? 」

真剣な表情で見つめるのではちみつ入りの紅茶を吐き出すところだった。

もうビアンカったら。私は仮にもお嬢様なのですよ? 吹き出すなどあり得ない。

「はい結構なお点前で」

上品にやってみる。これはお婆様の真似。うんさすがは私。

「違うでしょう? 」

これでは満足してくれないらしい。どうしろと言うの?


ゴッホゴッホ……

まずい。パンが詰まって吐き出すところだった。急いで紅茶で流し込む。

だが余計にむせてしまう。散々な目に遭う。今日はついてない?

それを言えば最近ずっとついてない。ビアンカにきちんと占ってもらおうかな。


「もうこんなにして! マリオネッタはまだまだ子供なんだから」

そう言ってテーブルを拭き始める。どうやらまだメイドの癖が抜けてないらしい。

絶対ビアンカのせいなのに私が悪いみたいに言われて恥ずかしい。

「うるさい! 」

つい我慢できずに不機嫌になる。ですがこれはビアンカが悪い。

私は何も悪くない。ただの八つ当たりでしょう? 何が気に入らないの?

パンがお口に合わなかった? それとも紅茶が熱すぎた。

私だってメグレン様のチョコレートが飲みたいですがここに置いてないでしょう?

我がままを言ってはいけない。


「ほらごめんね。マリオネッタは全然悪くないよ。うん」

ダメだ。何としても私のせいにしようとしている。

「それで何なのさっきから? 」

人がせっかく楽しくお食事しているところを邪魔ばかり。

一体このメイドは何を考えてるんでしょうか?


「怪しい者はいませんか? 」

ビアンカは口を拭いて改めて向き合う。

食べながらのお喋りは品がありませんからね。

特にお嬢様の前でそのような振る舞いは絶対ダメ。

でも逆にお嬢様の私がやる分には何の問題もない。


「ダメでしょうマリオネッタ! 」

注意されてしまった。もう厳しいんだから。

「いる訳ないじゃない! 皆さんお食事とお喋りを楽しまれてるだけ。違う? 」

「すぐに諦める。少しは手伝って。もとはと言えば…… 」

ビアンカはそこで止める。優しいんだな。そうすべての元凶は私の好奇心。

彼女はただ巻き込まれただけ。そして今は姉として厳しく接してくれる。

でもいちいちうるさいのよね。大体言われなくても分かってますって。


「はいはい。今のところ怪しい者は見当たりません。奴らも仲間も王子もいない。

いるのはただ優雅に楽しんでいるご婦人ばかり。ああイライラする! 」

まずい。ついイラっとしてしまう。だってあっちはのほほんとしてるんだもん。

こっちは逃げるに逃げれない最悪の状況。

「いいから集中しなさいマリオネッタ! 」

「ハイお姉様! 」


うん? 左前方の一番奥の席に似つかわしくない方が座っておられる。

まさかあの人…… 二人で談笑されている。その相手はきっとあいつだ。

私たちを地獄に誘い込んだ男。先ほどあったばかり。

黒で目立たないはずがここでは異様に映る。


「ねえお姉様はもう少し背を伸ばして下さらない」

気づかれてはいないだろうがあの男のことだから油断できない。

今はまだ準備段階。仮に見つかってもただ同じ店に入っただけで咎められない。

ただこれ以降はダメ。必要以上に追跡すれば処分されてしまう。悟られてはダメ。

「どうしたのマリオネッタ? 」

まだビアンカは感づいてない。それは当然そうでしょう。振り返らないと無理。

今は奴らについてほとんど知らない。少しでも情報を得れば有利に働く。

どうせ暇潰しの散歩で気分転換と食事に寄ったのだから秘密に迫るのも悪くない。


ビアンカにこっそり伝えて判断を仰ぐ。大丈夫。楽しく談笑されている。

今気づかれることは恐らくない。

「嘘でしょう? 」

「大声を出さないで。騒いでもだめ。後ろは絶対に振り返らない」

自然に。談笑する振り。それを十分近く続ける。


男たちはお食事を済まし外へ。どうやらここで別れるらしい。

「追跡しますよ! 」

「ちょっと待って…… どう言うことか詳しく説明して! 」

なぜ問題の男ではなくその相手なのか。ビアンカは納得がいってない様子。

それに私たちは監視されているから危険と消極的。


                続く

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