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招待状ゲット!

殺戮の果てに屍が山のように積み上がっている。

それが今の激戦地ラクエラ。

僅かな招待状を求めて醜い争いを繰り広げた結果がこれだ。


「ピオーネ! 」

ライムは勢いよく駆けこんで来た。

恐ろしかったのだろう。恐怖のあまりもう涙さえ流してない。

「ほら大丈夫だから。心配しないで。落ち着いてライム」

震えている。当然か。それは私も同じ。初めて人を……

いやもう忘れたな。ただ初めて銃を撃ってただ興奮してるだけ。


ライムを引き寄せ抱きしめる。こうすることで悲惨な光景を見ずに済む。

さあ戦利品の招待状を手に急いでこの場を離れる。

危機は去った。もう襲われることもないが治安部隊がいつ駆けつけて来ることか。

そうなれば拘束されるのは間違いない。奴らは私らを目の敵にしてるだろうから。

追われる者。長い長い旅の途中。もう間もなく目的地ラクエラ中心街。

都合の良いことにこの招待状に書かれた場所もラクエラのお屋敷だっけ。

ではご招待されるとしますか。


「へへへ…… あんた本当に凄いよ。ためらいがなかった。感動したぜ! 」

そう煽てるが私はこいつと行動を共にしない。

こんな恐ろしいことに巻き込んだクズだ。ロクな人間でないのは分かり切ってる。

どうせ私たちを使って金儲けする気だろう。だがそうはいかない。

もう二人でも充分生きて行ける。こんな得体のしれない奴のお供はごめんだ。


「あんたも大したものさ。このどさくさに紛れて招待状ゲットしちまうんだから。

代償がその足とはついてないが。でも仕方ない。私たちはここらでオサラバする」

助けも情けもなし。放っておけば治安部隊に拘束されるが知ったことではない。

奴にはどれほどの信念があるのか知らないが次に会う時は仲間。

または懸賞金を懸けてのライバルになるだろうさ。


「最後にアドバイスだ。それは二人一組。参加者は女のみ。

男のお前には不要なものだろう? 私が処分してやろうか? 」

せめてもの優しさ。これを持っていれば没収されてしまう。

預ければ無事に参加できるかもしれない。

「おいおい強欲な。これは自分で持ってるさ。お前の助けは必要ない」

随分と強情な男。それなら放っておくしかない。


「そうか。だったらもう分け前はいらないな? お礼してやろうと思ったが」

「それとこれとは別だが…… でもいいさ」

意外にもあっさりしている。当然か。どうせ懸賞金を手に入れた訳ではない。

この招待状はただの資格を得たに過ぎない。だが可能性はあると思っている。

修羅場を超えた私にはきっとすべてを乗り越えて懸賞金を手にできるだろうさ。

「よし。私たちは行く。もう治安部隊が嗅ぎ付けているだろうから気をつけな」

そう言って最期の挨拶を済まる。どうせもうこいつとは会うこともないさ。


「どうしたのピオーネ? 」

大人しく待っていたライムの手を取り殺戮現場から脱出する。

一秒でも早くこんな場所を立ち去るのがいい。

こうしてピオーネとライムは血塗られた招待状を手にラクエラの中心街へ。



現在ラクエラ。

屋敷を離れてビアンカとのんびりお散歩。

ここラクエラは巨大交易都市であるため故郷と比べれば危険度は高い。

しかしそれも黄昏から夜明けまで。町のダニもそれまでに消え雰囲気が一変する。

それでも場所によっては昼間から危険な箇所はある。

なるべく避けるしかない。ですが今の私たちは暗殺者だから何とも言えない。

はっきり言えば恐れる立場にない。もう純粋無垢なお嬢様ではないのです。

穢れたとまでは思いませんが客観的に見ればそうなのでしょうね。


「ねえお昼にしませんか? 」

ビアンカはもうお腹が空いたと笑いながら文句を言う。あらあら子供ね。

それではお姉様はおろかメイドだって務まらない。


一応は外の動向を探るのが主な目的。

しかし今は暗殺者としての重圧から解放され笑顔を零れるビアンカ。

恐らく彼女がそうなのだから私だって楽しく笑ってるんだろうな。

自分ではよく分からないもの。その水晶でも見れば別でしょうが。

重くてただ荷物にしかならないものをよく持ってるな。

そう言うところは真面目なのかな。


ですがそれはメイドとしてなのかただの暗殺者としてなのか?

私のつまらない好奇心で彼女を巻き込みこんな恐ろしい場所へ招待してしまった。

全容がまったく分からないので不安で仕方がない。でもここで迷っていてもね。

さあ楽しみましょう。僅かな時間ですが楽しいひと時を満喫しよう。


「ここはいかがですお嬢様…… ごめんマリオネッタ」

気を抜くところではない。私たちの関係はなるべく知られないようにしている。

存在しない姉妹として動くことがたぶん自分たちを守ることに繋がる。

そう信じて不慣れな姉妹ごっこをしている。いつどこで誰が見てるか分からない。


私には間もなく屋敷を離れるお姉様が二人。

だからお姉様と呼ぶのは慣れているのですがさすがにビアンカは違うかな。

何て言うかやっぱりかわいらしい新人メイドだから。

エラになってもそれはあまり変わってない。

この姉妹ごっこだって私を必死に守ろうとしてくれてるだけだし。


                 続く

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