表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

100/160

スカーレット

「ははは…… さあマリオネッタ。踊ろうか? 」

ぼんやりした感じのメグレン様がきちんと向き直ってくれた。

もうそれだけで嬉しい。王子などどうでもいい。

私はメグレン様一筋。初めて出会った時からお慕いし続けていました。

まずいまずい。つい興奮して冷静さを失うところ。

「嬉しいメグレン様! 」

こうして夢のような二人の時間を過ごす。


たとえ私が変態暗殺令嬢でもメグレン様が王子をお守りするナイトであっても。

二人の間にどのような事情があっても愛し合っている限り離れることはない。

メグレン様からまさか手を離すことはないでしょう。

できるなら私のナイトであって欲しい。それがたとえ叶わないとしても今は……

その強い想いは変わらない。ああメグレン様。


まずは体を密着。できる限り強く長く激しく。

メグレン様を放すつもりはない。メグレン様は私のもの。誰にも渡すものか。

「もうちょっと早くしてよ! 」

後ろでブーブー言うはしたないルール無視の醜い令嬢。

きっと心も醜いに違いありません。

大体ハッチ王子がいるんだからそっちに行きなさいよ。

真似ばかりして私のメグレン様を奪おうとしないでよね。


足を合わせて手を伸ばす…… ダメだメグレン様について行けない。

器用にダンスをこなす姿はまるで本物の王子のよう。

私だってもう少し練習していれば上手く行ったのに。

奴らと来たらあのおかしな異国の踊りばかり。

私には必要ないと笑っていた。でもやっぱりもっと真剣にやってればよかった。

お屋敷ではお父様のお相手をさせられたけど小さかった。

ストが一人前になるまで舞台に上げないと意地悪するから。

だからってつまらない踊りなど三日で飽きて遊びに行っていた。

それは忍耐などお嬢様に必要ないと判断したからだけど。

でもその考えは間違いだったみたい。


「きゃあごめんなさい! 」

一生懸命ついて行こうとしたけどつい足を踏んでしまいバランスを崩す。

もう恥ずかしい。メグレン様に悪いことしたな。怒ってる?

「済まない。これくらいでいいかい? 」

後ろが詰まっているので仕方なく交代することに。

もうあいつらったらどう言うつもり? 王子の相手せずメグレン様に媚び売って。

本当に信じられない! 仕方ない。ここはまた並び直しましょう。


それにしても悔やまれるのは地下室での猛特訓の日々。

おかしなダンス。どうも外国のダンスで旅の踊り子が披露していたのに近い。

先生の厳しい特訓で随分踊れるようになったけど苦手なのよね。

何と言っても衣装もちょっと…… お嬢様に相応しくない派手なもの。

殿方を誘惑する刺激的なダンス。ストがいたらきっとこう表現するんだろうな。

特に後ろを向いて腰を振るのが嫌。慣れないと恥ずかしい。

音に合わせるのが凄く苦手。こっちに合わせてくれるといいんだけど。

こんなこと言えば甘えたことを抜かすなと叱られる。どれだけ厳しいの?

もしお屋敷なら二日で逃げていたでしょう。それくらい激しい。


地下で逃げ場所も自由な行動もできずに制限されていた。

きちんとやらないと先生の怒りが爆発するから真面目にやってる振りだけはした。

どうにか習得したけどそれでもスカーレットには敵わない。

彼女には天性のものがあり勝てる気がしなかった。気合だって半端なかった。

彼女も恐らく暗殺者の一味でしょうが先生の話では一人では上達が遅いのでと。

特別に仲間を用意。スカーレットにも同様のことを言ったと推測できる。

私たちが馬鹿だと思ってきっといい加減なことを言ったに違いない。


僅か三日間だったけど仲良くなった。でも例の通り余計なお喋りは禁止。

スカーレットの本名も故郷も過去も何も聞かされていない。

お互いに教えない方がいいと分かっていたから。

あの惨劇が私たちの交流を消極的なものに。それが今は正しかったと思っている。

もし過去を知り仲良くなれば奴らは放ってはおかない。

それだけでなく最悪殺し合うライバルとなるかもしれないから。


だからラインを超えないように守った。地獄の特訓にも二人で耐えたのにね。

特訓でのことはビアンカにも秘密に。言えばどう言う目に遭わせられるか。

でも今回裏切ると決めてからはいつかビアンカに伝えようと思っていた。

秘密を秘密のままにしておけない。それにもう奴らの影におびえる必要はない。

さあもう少し。この舞踏会が終わればすべてを告白しようと思ってる。


「王子! 」

騒いでるのはビアンカのお友だちの暗殺者。鋭い目つき。

さすがに王子も警戒するでしょう。それにまだ王子は安全。

狙いはお付きの爺さんのはずだから。彼がやられたらもうお終い。

メグレン様だけではハッチ王子をお守りできない。

まあそうなったらすぐにでもここから抜け出して帰国の途に就くでしょう。


「ちょっと私が先! 」

どうやら順番で揉めている。ビアンカ? 違う……

彼女はまさかのスカーレット。なぜ彼女がここに?

彼女もやはり暗殺者だったからに違いない。

すると彼女のパートナーもどこかに存在するはず。

どこ? 一体どこにいるの? 急がないとスカーレットが無茶をしかねない。

でも待って。そう言えば彼女もあのダンスを習ったんだから最後。

ただなぜ今まで彼女に気づかなかったんだろう?

それがどうしても気になる。あれほどを見て回ったのに。


まさか…… 彼女は令嬢側に隠れていた? するとパートナーも同じように。

とにかく今は急いでスカーレットのパートナ―を探さないと。


                 続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ