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悪魔だらけの探偵部  作者: 木板 実
第2章 歓迎の予告状
19/30

第18話 女子会が終わり、陰謀が始まる

 青里さんは役割のため去っていった。

 つまり今は、江さんと2人で白澤くんを待っている状態にいる。


 ・・・。

 ・・話すことがない。

 今回の事件に関する推理はさっき一区切り着いたし、そもそも私の推理なんて何の当てにもならない。

 そんな私の逡巡が伝わったのか伝わらなかったのか、

「あの、少しよろしいですか?」

 江さんから話しかけてくれた。

 驚きのあまり少し固まってしまったが、すぐに我を取り戻すと、私は江さんと目を合わせる。

「な、何か?」

「1つ気になっていたんですけど、赤崎さんって美咲さんのことを苗字で呼んでいますよね?」

 ・・は、はい。

 声に出して返事をしたかったが、なぜか出来ずに首だけ振って意思表示をする。

 声が出なかったのは、江さんのクールな声色に圧倒されたのも理由の1つだけど、それよりも感じたのは・・

「もしよければ」

 さっきも同じ展開になった覚えが・・

「下の名前で呼んであげれませんか?」

 デジャブってこういうことなんだ・・。

「あの人、本当は同級生の女子と友好的になれる機会を得られて、頑張っているはずなんですよ。ただ今まで一匹狼だったことが影響して、人と距離を近づけるのが苦手みたいで」

 あなたも同じようなこと言われてたよ?

 なんてモチロン言えるはずもなく、私は黙って傾聴に徹する。

「なので、呼び名を変えるところから始めて、徐々に近づいてほしいな、と。余計なお世話ですけどね」

 そう言って含み笑いをする。

 江さんが”楽しいことがあって”笑うところをあまり見たことないので、ちょっと嬉しかった。あと可愛い。抱き締めたい。

 まぁ多分、江さんが言ったようなことを本人に言っても「余計なお世話よ」とか言って割り切られそうだし、私と2人きりになってから提案したのは正解だっただろう。

「無論、可能になった時で構いませんよ」

 そう言うと江さんはスマホに視線を落とした。


 青・・美咲さんと江さんがお互いに気をつかい合っている。

 なんか、2人って姉妹みたいだなぁ。

 見られてないのを良いことに、私は思わず笑みを溢した。




 ※※※




「お待たせ、部長。交代しようか」

 教室の隅で腕を組んで宝石を見守っていると、横から声を掛けられる。

 美咲は、相変わらず無表情ではあるものの、僅かながら声にポジティブな雰囲気を帯びている。

「なにかあったのか?」

「ん?ああ、強いて言うなら・・」

 美咲は自分が来た道を振り返ると、


「・・女子会をしてきた、かな」


 喜びの笑みを添えて、静かに呟いた。

 ・・・じょ、女子会?




 ※※※




 そして時刻は11時半。

 文化祭来客数もピークを迎えようとしている。

 来客者の盛り上がりとは無縁の場所で、悪意の込められた陰謀が動き出そうとしていた。


「よし、やるか」


「よし、やるか」


 校舎裏の白澤と、生徒会室の三寧が、同時に言う。

 各々《おのおの》の思惑が交錯する戦いが、音も無く始まった——。

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